対して小林伸太郎選手は、最後にちょっと勝負を急ぎ過ぎてしまったように見えます。それが1打差で迎えた17番。このホールは基本的にまっすぐですが非常にタイトなフェアウェイで、右にあるバンカーを越えた位置は斜面となっていて、池へと落ちて行ってしまう要注意ホール。そこで彼はドライバーを持ち、ティショットを右に曲げました。ギリギリのところで止まり、池ポチャは避けられましたが結局ボギー。少し焦りが見えました。
結果論になりますが、普通で考えれば17番はバーディを獲るホールではないですから、スプーンを持つ場面だったとボクは思います。そして18番に勝負をかけるべきだったのではないでしょうか。本人がどう振り返っているかは分かりませんが、片山晋呉ならやらないであろう選択でしたね。
とはいえ、彼のしぶとさ、あきらめない強さを感じました。首位から出たものの5番でダブルボギーを叩き、片山選手に抜かれましたが、その後もコツコツとスコアを伸ばして15番、18番でイーグルチャンスにつけるなど最後まで永久シードプレーヤーに食らいつきました。飛距離も出るし、良いショット打つ選手ですが、それ以上にメンタルの強さ、我慢強さが際立っていたように思います。優勝する人のゴルフを目の前で見た経験を今後に活かしていってほしいですね。
・佐藤信人
1970年3月12日生まれ。千葉県出身。薬園台高校卒業後に渡米、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。1993年に帰国しプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝を挙げた。ツアー通算9勝。現在はゴルフ雑誌やテレビの解説で幅広く活躍している。趣味は旅行と読書