だが、宮里の最終戦優勝はそのドラマ性もあいまって男子ツアーに大きな注目を集めることに成功した。苦しい時期を乗り越えながら自らのゴルフを磨き、人生を積み重ねて人間としても厚みを増した33歳の見せた劇的な勝利に日本中のゴルフファンが思いを重ねあわせた。石川遼、松山英樹がいなくとも年齢を重ねて研鑽を続けてきた30代の選手にはこんなにもドラマがある。そう訴えかけることができただけでも、宮里のツアー初勝利は何勝分もの価値があったのかもしれない。
初めての優勝スピーチで男子ツアーの現状を語った宮里は記者会見でもこう言った。「僕らの世代の成績が良くないと思う。僕らみたいのがどんどん絡まないとツアーが盛り上がっていかない」。最終戦でさした一筋の光を消さないために。男子ツアー活性化を支えるのは、遅れてきた30代の実力者達しかいない。