時間経過を気にすればするほどイライラが溜まってリズムが崩れる
人間だけでなく、ほとんどの動物は基本的に待つのが苦手です。苦手なことをするとストレスになりますから、なるべく待たないほうが快適に過ごすことができます。ただし人間は記憶力に優れていますし、なぜそうしないといけないかなど必要性を認識しながら待つ能力を持っています。とはいえ待つ時間が長いと、どうしてもフラストレーションが溜まっていきます。その根本には、何もしないでボーッとしていると一定の頻度で時間の経過に注意が向くという裏付けがあります。
「まだ終わらないかな」「あとどれくらいかかるかな」などと、時間を気にすることでストレスやイライラを引き起こすことが、さまざまな研究により分かっているのです。
時計で示される時間とは別に、心理的に感じる時間軸を体感時間といいます。時計で計る時間の長さや早さは普遍のものですが、体感時間はさまざまな要因や条件の組み合わせによって長くなったり短くなったり、また早く進んだり遅く進んだりするようにも感じます。退屈な会議はなかなか終わらず、楽しい趣味の時間があっという間に過ぎてしまうのはそのためです。
退屈な時間を長く感じるのは、時間経過に注意が向くからです。それによって注意ゲートが開き、時間が長く感じられるようになり、イライラしやすくなってしまいます。
ゴルフでも待っている間、「まだかな」「早く進まないかな」と時間を気にするのはNGです。注意ゲートが開いてイライラが溜まり、自分のスイングやプレーリズムが崩れてしまいます。ナイスショットの条件をお膳立てしてもらったかのような絶好の場面で、思いもしない待ちチョロをやらかしてしまうのは、そういうときでしょう。
反対に、何かに没頭するあまり時間を忘れてしまうこともあると思います。例えば、打ちっ放しのレンジで練習をしていて、「30分くらい打ったかな?」と思って時計を見たら、いつの間にか1時間以上経っていたというような経験があるのではないでしょうか?
時間を気にしなければ、注意ゲートは閉じたままです。イライラの元が溜まらないので、体感時間が短くなってあっという間に時間が過ぎてしまうのです。
時間経過に目が向くと注意ゲート(砂時計のくびれ)が開いてイライラの元が溜まる
光は目、音は耳で感じるが、時間はその長さを知覚する器官がない。そのため人は、脳が発信する“パルス(時間の長さを感じる基礎、いわばイライラの元)”の量を主な材料として時間の長さを推測している。
パルスの量は、砂時計の砂に例えられる。楽しいときは時間経過に注意が向かないため砂時計のくびれの部分(注意ゲート)が閉まる。砂が下に落ちていかずイライラの元が溜まらないため、本当は1分経ったとしても体感時間はそれより短く感じるのだ。
一方、時間を気にするとくびれの部分が開き、砂はサーッと落ちてどんどん溜まっていく。実際は1分でも3分くらい経ったように感じて、イライラも増幅してしまう。プレー中の待ち時間に“イライラ砂時計”のくびれを開くのはNGだ。
ストレスで集中力が低下するからミスをする
時間経過に注意が向くのは仕事やプレーに集中できていないということでもあり、作業が不正確になったり、ミスをしやすくなったりする。さらに、イライラが溜まることで自分のリズムが崩れてしまう。それに気づかずミスをして、どんどん悪循環にはまって大叩きをしかねない。待たなければならない状況でも自分のペースを崩さないためには、時間を気にしないことが大切だ。