「父にもコーチとして改善すべきことを考えてほしいと言った。キャディのジミーにも、もっと僕の側へ踏み込んでほしいと頼んだ」
それぞれから具体的にどんな言葉を得たのか、どんな改善点が指摘されたのかは明かされなかったが、「お互い常に正直であろうねと確かめ合った」。それが団結を強め、彼と彼らの精神面を強くし、そして見事な勝利につながったのだと私は思う。
近年、トッププレーヤーをチームでサポートするスタイルが増えつつあるが、選手が“裸の王様化”するケースはきわめて多く、往々にして、そうしたチームは空中分解してしまう。チームの状態が揺らいだ途端、選手の成績が下降することは、昔も今も想像以上に多い。
そんな中、トーマスのようにチームメンバーと腹を割って話し合いをするというのは珍しく、「僕を含めた全員」の改善を図るという試みは、とても珍しい。そして、トーマスのその姿勢は、彼の父親や祖父母の存在を抜きには、おそらく語れない。
トーマスの父親も祖父もゴルフプロフェッショナル。ツアープロではなくクラブプロだが、祖父は1960年の「全米プロ」に出場し、予選通過も果たした実力者だ。