星野といえば、今でもスイングに対するこだわりが強いが、その気質は当時からあったようだ。「普段から黙々と練習するタイプでしたね。ゴルフに対する研究心がすごく、スイングについてもかなり勉強していました。ただ、それを他人にひけらかすようなことは一切なかったですね」。ことあるごとに、片山晋呉や宮本勝昌など、同校のOBが高校時代にどのような練習をして、それがどのような効果があったのかなど、事細かに熱心に石井氏に質問していたという。
また、勝負に対するこだわりが強く、勝つことへの執念は人一倍だった。それが顕著に表れたのが、高校2年で出場した「関東高校ゴルフ選手権冬季大会」のことだ。
星野は2日間通算2アンダーの首位タイでフィニッシュし、勝負は3人によるプレーオフにもつれた。ところが、数ホール戦ってもなかなか決着がつかず、ついには自動車のライトでグリーンを照らし始めた。さすがに競技委員も全員優勝でどうかという判断を下そうとした。
「普通の生徒は同時優勝でもいいと喜んで受け入れるんですが、陸也は最後までその申し出を受け入れなかったですね」。結局、あと1ホールだけ行うことになり、残念ながら星野は敗れてしまったが、勝負は決着をつけるものというこだわりが、25歳にしてツアー5勝の成績につながっているのではないだろうか。
■星野陸也
ほしの・りくや/1996年5月12日生まれ、茨城県出身。身長186センチ、体重76キロ。水城高校時代は全国大会のタイトルには縁が無かったが、関東ジュニア連覇の実績がある。日本大学に進学したが2年時の2016年6月に中退し、同年8月にプロ転向。17年は下部ツアーでプロ初優勝を遂げ、レギュラーツアーでも初シード獲得。18年の「フジサンケイクラシック」でツアー初優勝を遂げた。近い将来海外ツアー参戦をにらんで日々ゴルフの研究を怠らない。ツアー通算5勝。