フェアウェイど真ん中からのセカンドショット。グリーンに届くかは怪しいが狙いたい。でもまだ前の組がいる。こんなとき、大抵の場合はグリーンが空くのを待ち、満を持してボールに向かう。それなのに、準備万端で絶好のポジションから打ったボールは思いもしない盛大なチョロ! ゴルフ“あるある”の代表格、「待ちチョロ」の原因と対策を知覚心理学の権威、一川誠教授に解説してもらった。
人間だけでなく、ほとんどの動物は基本的に待つのが苦手です。苦手なことをするとストレスになりますから、なるべく待たないほうが快適に過ごすことができます。ただし人間は記憶力に優れていますし、なぜそうしないといけないかなど必要性を認識しながら待つ能力を持っています。とはいえ待つ時間が長いと、どうしてもフラストレーションが溜まっていきます。その根本には、何もしないでボーッとしていると一定の頻度で時間の経過に注意が向くという裏付けがあります。
「まだ終わらないかな」「あとどれくらいかかるかな」などと、時間を気にすることでストレスやイライラを引き起こすことが、さまざまな研究により分かっているのです。
時計で示される時間とは別に、心理的に感じる時間軸を体感時間といいます。時計で計る時間の長さや早さは普遍のものですが、体感時間はさまざまな要因や条件の組み合わせによって長くなったり短くなったり、また早く進んだり遅く進んだりするようにも感じます。退屈な会議はなかなか終わらず、楽しい趣味の時間があっという間に過ぎてしまうのはそのためです。
退屈な時間を長く感じるのは、時間経過に注意が向くからです。ゴルフでも待っている間、「まだかな」「早く進まないかな」と時間を気にするのはNG。イライラが溜まり、自分のスイングやプレーリズムが崩れてしまいます。ナイスショットの条件をお膳立てしてもらったかのような絶好の場面で、思いもしない待ちチョロをやらかしてしまうのは、そういうときでしょう。
反対に、何かに没頭するあまり時間を忘れてしまうこともあると思います。例えば、打ちっ放しのレンジで練習をしていて、「30分くらい打ったかな?」と思って時計を見たら、いつの間にか1時間以上経っていたというような経験があるのではないでしょうか?
時間を気にしなければ、イライラの元が溜まらないので、体感時間が短くなってあっという間に時間が過ぎてしまうのです。ゴルフで待たされている間イライラしないためには、30秒でもいいので、目前のショットから離れて他のことに目や脳を働かせ、時間に注意を向けないことが大切。“待ちチョロ”対策を紹介するので、プレー中の待ち時間が30秒あればやってみてください。
■身嗜みのチェック
一般的に、身嗜みには男女を問わず多くの人が関心を持っている。鏡がある場所では、ほとんどの人がそこで自分の髪型や服装をチェックするという。ホテルのエレベーターホールに鏡を置くと、身嗜みのチェックをすることで“待たされ感”が減少しやすいというように、ゴルフの待ち時間中もバッグから鏡を出してチェックすると良い。ない場合は、スマホのインカメラで代用できる。日焼け止めを塗るなどでもOKだ。
■会話をする
人と会話をするには、脳の働きや集中力を必要とするため時間経過に注意が向きにくい。つまり大好きなゴルフの話をしていれば、イライラの元も溜まらない。しかもプレー中の会話のいいところは、たとえ30秒でも、待ち時間の長さに応じてできることだ。コースの印象や特徴など感想を言い合うだけでも楽しく過ごせるだろう。
【解説】
一川 誠(千葉大学大学院人文科学研究院教授)
いちかわ・まこと/時空間に関する人間の知覚認知や感性の特性について、実験心理的手法に基づく研究を行っている。日本認知心理学会、日本時間学会各会員。『大人の時間はなぜ短いのか(集英社新書)』『ヒューマンエラーの心理学(ちくま新書)』など著書多数。
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