何から始めよう…そう感じるほど 「直した方が良い箇所」だらけ
その後、私が豊永プロのセッションを見させて頂くようになったのですが、まずは“体の使い方を改善すること”に主眼を置いたんです。理由は、体を使えていない…支えられていない状態に見えたからです。それが様々な部位の痛みや違和感に繋がっていたと思います。豊永プロは190cm近くの身長で体が大きく筋肉もありますが、インナーマッスルは使えていない状態で力任せにスイングしているように見えました。インナーマッスルと外側の筋肉が連動していないのですが、それでも飛距離が出せる筋肉量を持っていたわけです。
しかし、この状態でプレーを続けるとケガや故障もしやすくなります。そのため、インナーマッスルも含め体のコンディショニングが必要でした」
当時、柳本さんは「この体でよくプレーしているな…逆に凄いかも」と心配に思ったという。
「潜在的なポテンシャルの高さは申し分なかったので、インナーマッスルを鍛えて体を効果的に使えるようになれば “この人は本当に凄くなる” と感じました。ちょっと失礼な言い方ですが、高いポテンシャルが無駄使い状態だったわけです(笑)。そこを変えれば、さらに自信もついて大きく変わると思いました」
足の裏の筋膜リリースや 股関節の引き込みがポイントに!
インパクトの瞬間に内側に強く踏み込めないと、踏ん張りも効きません。豊永さんは、それを体と筋肉の大きさでカバーしてボールを飛ばしていたわけです。この点を解消するため、足の内側の筋肉が使えるようになるトレーニングを取り入れました。例えば、タオルギャザーなど、足の指を動かす運動ですね」
プロ選手は特殊なトレーニングをしているのでは…と思いがちだが、実は意外とシンプルなところから始めるケースも多いようだ。
「さらに、豊永さんは股関節も硬かったので関節の可動域を広げるトレーニングも行いましたね。関節をしっかり動かしていく形で…あとは “股関節の引き込み” です。ゴルフはアドレス時に股関節を引き込みますが、豊永さんは少し反り腰で上手くできていないと感じたんです。引き込んでいる風に見えているだけと言いますか…。股関節の引き込みは、歩く、しゃがむ、踏み込むなど、普段の生活でも行っている動きなんです。いわば、人間が生きていくうえで必要な動作ですね。それがスポーツにも繋がっています」