<ダンロップフェニックス 最終日◇19日◇フェニックスカントリークラブ(宮崎県)◇7042ヤード・パー71>
最終組の2つ前でプレーした蝉川泰果はトータル9アンダーでホールアウト。単独首位に立っていた杉浦悠太(日大4年)に2打のビハインド、暫定3位の中島啓太には1打のリードを持って18番グリーンを下りた。アテスト後の取材対応を終えると、蝉川はひと言聞いた。「啓太、最後バーディですか?」。
中島の最終18番の結果が、賞金王争いの動向を大きく左右した。バーディとしたことで、トータル9アンダーに“並んで”フィニッシュ。優勝したのがアマチュアだったことから、配分は繰り下がり。現在ランキング1位に立つ中島と5位の蝉川がともに2位タイとして、3000万円を獲得した。
5000万円差を追いかけていた蝉川。ランキングは3位に浮上したが、中島の最後の一打によって、差を埋めることができなかった。少し苦笑いも浮かべていたが、「まだまだわからないので、この2試合で全力で勝ちに行きたい」と大逆転を目指していく。
一方、中島は17番からの連続バーディで蝉川に追いついた。もちろん、最終組で直接争った杉浦に勝つための意地でもあったが、賞金王争いとしては頭ひとつ抜け出すことができた。3000万円を上積みし、今季賞金総額は1億6288万6179円。2位につける金谷拓実との差をおよそ4000万円に広げた。蝉川に追いつけなければ、賞金は2000万円で金谷との差は3000万円となるはずだったので、最後のバーディは大きい。
来週からは「カシオワールドオープン」(総額2億円、優勝4000万円)、最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」(総額1億3000万円、優勝4000万円)が控えているが、早ければ、最終戦を待たずして来週での戴冠が決定する。
「来週に優勝して現実的なものにしたいし、それくらいの気持ちで臨みたい」。今季4勝目と栄誉あるタイトルの両掴みを目指す。(文・笠井あかり)