<アジアパシフィックアマチュア選手権 3日目◇28日◇ロイヤル・メルボルンGC(オーストラリア)◇7055ヤード・パー71>
日本チーム最年少、松井琳空海(りうら、香川西高2年)は自分でキャディバッグを担いでティイングエリアに現れたかと思うと、そのまま素通りしてどこかへ歩いていってしまう。呼び止めようとすると、松井は手引きカートを持って引き返し「キャディさんがいない」とつぶやいた。
ここまでの2日間は大会が用意したキャディとともに戦ってきたが、この相棒が週末は担げない都合があったため、もともと土曜日から新たな人にスイッチする予定だった。大会側に再び手配をお願いしていた松井だったが、日本人スタッフが急いで確認に行くと手違いが判明。『松井はきょう自分でキャディを用意する』ことになっていたという。
そこで急きょ白羽の矢がたったのが、たまたま近くにいたロイヤル・メルボルンGCのメンバーである女性。無事、担いでもらえることになり事なきを得たが「何が起きたかまったく分からなかった。本当にびっくりです」と、朝からのトラブルにタジタジだ。
それでも1番、2番と難なくパー発進。強風の影響で「風を読み間違えて、距離が合いませんでした」と、3番から3連続ボギーを喫するも、「キャディさんがとっても明るい方で、落ち込んだときも盛り上げてくれた」おかげもあり「イライラせずにプレーできました」。急造コンビながらいい連携で山場を乗り越えた。
その後も風に悩まされ続け、アイアンの距離も合わず。「パットのときも思ったより伸びてしまった」。それでも、16番のパー3ではかなりのアゲンストが吹くなか、143ヤードを3番手上げた7番で打ったボールが1ピン半の距離について、この日初めてのバーディを奪取。ナイスプレーも飛び出した。
18ホールを終え「今持てる力を出して、ベストなプレーができました」と、朝のトラブルに暴風と、厳しい条件のなかで「77」をマークできたことをポジティブにとらえる。まだ高校2年生の松井。強風と日本では体感できないコース、特にグリーンの硬さと傾斜の強さは「いい経験になっている」。成長につながる4日間になりそうだ。
ここまで「74」、「72」、「77」ときてトータル10オーバーの21位タイにつける。「まだアンダーを1回も出していないので、それを目標に楽しみたいです」。1つでも上を目指し、オーストラリア最後の18ホールをスタートさせる。(文・杉本夏希)