ツアープロも【飛び系ブレード】!? ヤマハ『RMX120』アイアンの真価をギア賢人はどう見る?
ツアープロが使うアイアンは、古今東西「軟鉄鍛造」が常識。ところが、これを打ち破る動きが、ヤマハから……。一体、何が起きているのか? そして、この流れに乗るべきなのか?
配信日時: 2019年11月11日 02時11分
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Mr.ヤマハ・藤田寛之、ガチで「軟鉄鍛造」卒業!?
藤田やヤマハ担当者から聞くと、現状使う軟鉄鍛造『RMX020』アイアンに不満があるわけではない。むしろ「サイズの割にやさしい」と高評価。が、藤田が求めるのはゼロベースの改革。「日々進化する世界や、周囲のライバルについていかないと。そのために、あらゆる可能性を試す」と、使い慣れた軟鉄鍛造アイアンのその先を模索していた。
フィーリング派に見えて、近年藤田はデータ主義も加速。一打ごとにトラックマンの数字を確認し「今(RMX020)より全番手7ヤード分キャリーを伸ばしたい。だけど、スピン量も減らしたくない」と、担当者に語る。当然、通常なら難しい要求だ。ロフトの立った飛び系アイアンだと、飛距離は伸びても、スピン量と打ち出し角が減って止まりづらくなるのは常識なのだ。
ところが、ヤマハは藤田の要望を実現した。「軟鉄鍛造ではなく、クロモリ一体鋳造で、ボール初速が速く、ミスに強いからです」と、同社担当は言う。言い換えると「軟鉄鍛造ではないからこそ、達成できた」と聞こえる…。
藤田寛之は5I、永井花奈は6Iに『RMX120』を投入
永井花奈 「前まで6Iと6UTで迷っていて、UTだった理由は、アイアンだと球が上がらなくて止まらなかったから。でも、練習していて7Iが上手く球が上がるようになって、この流れなら6Iでも打てるかもしれないとなりました。風の日には6Iのほうがコントロールしやすいので使い分けられたらと。『RMX120』アイアンを選んだ理由は【球が上がりやすかった】から。やさしさもあったので、このシリーズにしました」
永井は現在『RMX020』の7I〜PWを使用中。それよりも上の番手は普段6Uだったが、今回は『RMX120』の6Iを投入したのだった。
永井がトライアル的に投入したのに対し、藤田はとても前向きで、全番手『RMX120』にする方向でテストを進めているのだとか。ただし、これらは打点の狂わないプロの話。アマチュアでも「7ヤードキャリー増、スピン量変わらず」といった藤田と同じ結果が手に入るのか? 編集者4人がテストした結果が下記だ。
アマ試打でも藤田と同結果。『120』はスピン量が多かった
★編集A(持ち球ハイフェード)
RMX020 6257rpm 130.6y
RMX120 6203rpm 139.3y(020比+8.7y)
RMX118 5974rpm 137.2y
★編集B(持ち球ローフェード)
RMX020 5072rpm 125.2y
RMX120 5157rpm 139.0y(020比+13.8y)
RMX118 4806rpm 136.3y
・編集C(持ち球ハイドロー)
RMX020 7653rpm 135.0y
RMX120 6764rpm 143.3y(020比+7.7y)
RMX118 6827rpm 136.0y
★編集D(持ち球ロードロー)
RMX020 7321rpm 136.4y
RMX120 7515rpm 150.7y(020比+14.3y)
RMX118 7342rpm 141.8y
ちなみに、全て7Iで比較試打を行ったが、ロフトには当然差がある。『RMX020』はロフト34度、クロモリ一体鋳造『RMX120』と前作の軟鉄鍛造『RMX118』はロフト31度と、少し立っている。が、結果的に3度もロフトが多い『RMX020』に対し、テスター4人中3人が藤田寛之と同様に『RMX120』が同等のスピン量を記録する結果に。
また、同じロフト、長さの『RMX120』と『RMX118』だったが、軟鉄鍛造の『118』よりもクロモリ一体鋳造の『120』の方が、テスター全員が距離の出る結果に。そして、ロフトの寝た軟鉄鍛造『RMX020』より当然距離の出る結果で、藤田寛之の7y差以上を全員が記録。しかも、ロフトが少ないのに、なぜか同等以上のスピン量を記録した。この結果について、筆者はマニアックチームと議論することにした。