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専属トレーナー・渡邊吾児也が望むイ・ボミのこれから【特別連載〜イ・ボミは燃え尽きてしまったのか〜】
専属トレーナー・渡邊吾児也が望むイ・ボミのこれから【特別連載〜イ・ボミは燃え尽きてしまったのか〜】
配信日時: 2017年12月7日 09時23分
2015、16年の賞金女王、イ・ボミ(韓国)。無類の強さに加え、常に笑顔を絶やさず、ファンサービスを積極的にこなす姿勢から、今でも多くのゴルフファンに愛されている。
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そんな彼女にとって2017年は試練のシーズンだったに違いない。8月の「CAT ladies」で1勝したものの、予選落ち4回は日本に来てから初めてのことだった。
それでも、どうにかトップ10入り7回で、賞金ランキングは23位に入ったが、長らく高い場所を見続けていたボミからすれば、納得のいかないシーズンだったに違いない。
2015年から今年までの3年間、専属トレーナーとしてボミを支えたのが渡邊吾児也(あるや)だ。選手やキャディと違い、決して表舞台に出ることはない。だが、彼も2年連続賞金女王時代を支えた一人だ。
オフシーズンからツアー中のトレーニングメニューやコンディション調整、試合後のケアなどを一手に担っていた。ボミからの信頼も厚く、時にはマネージャー役にも徹していた。
そんな彼は今季のボミをどう見ていたのか。
「今年、ボミさんはフィジカル面が落ちることはなかったですし、シーズン中に大きく体調を崩すこともありませんでした。コンディションにはまったく問題はありませんでした」
1年間を戦い抜く体力に問題はなく、むしろ年々衰えてくる体力的な部分をトレーニングでしっかり補ってきた。そこは評価されてもいい部分だろう。
では、ボミは何に悩んでいたのか
「本人がメディアに話していたと思うのですが、スイングのフィーリングがしっくりこないとよく話していました」
確かに今季は、スコアが伸びないとき、ボミは自分のスイングの感覚が戻らないことをしきりに気にしていた。
「7勝した15年、5勝した16年にももちろんスイングの調子が悪いときもありました。ただ、かつては朝から修正して、正常なスイングに戻すことができていました。今年はそれがうまくいかないことが多かったんです。そのギャップを埋めるために、ボミさんは試合中にもいろいろなことにチャレンジしていましたし、努力していました」
トレーナーにできる仕事は限られている。選手の体を見るプロではあるが、メンタルを整えるプロではない。精神的に落ちこむイ・ボミをどうにか立ち直らせたい気持ちが渡邊にもあっただろうが、どうすれば良くなるのか――その答えは、イ・ボミ自身が探さなければならない領域だったに違いない。
「トレーナーの私にできることは、いつも通りにコンディションが落ちないようにすること。彼女が言う“フィーリング”の部分は本人しかわからない世界なので、がんばって乗り越えてもらうしかありませんでした」
今もボミはスイングについて悩んでおり、「2018年の新シーズンに向けて、しっかり調整していきたい」とも話している。
渡邊が口を開く。
「ボミさんは体が元気でケガがないのが不幸中の幸い。体の悩みがないのは、現役を続けるうえですごく大事なことですから。あとはきっかけや変化があれば、また良くなるとは思います」
渡邊は女子ツアー最終戦の「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」が終わり、スマホでイ・ボミにこうメールを送った。
「もっと自分のためにゴルフをやってみたら?」
どういう意味なのか聞くと、笑顔でこう言った。
「例えばの話ですが、アン・ソンジュ選手やテレサ・ルー選手のように結婚して、伴侶となる新たな家族のために戦うとか、何かきっかけを作って、モチベーションを少し変えてみてもいいのかなと。そうすれば、もっとゴルフを楽しめるんじゃないのかなって思ったりもします。今までは父を亡くし、母や姉妹のために一家を背負って戦ってきた。そろそろ、自分の人生のためにゴルフをする時期に来ていると思ったから、そういうメッセージを送ったんです」
残念なことに渡邊は、ボミの専属トレーナーを務めるのは今季までだという。それでも3年間、ボミを支えてきた彼の目には、この先、試練を乗り越えて復調していくボミの姿が見えているのかもしれない。
文/キム・ミョンウ
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そんな彼女にとって2017年は試練のシーズンだったに違いない。8月の「CAT ladies」で1勝したものの、予選落ち4回は日本に来てから初めてのことだった。
それでも、どうにかトップ10入り7回で、賞金ランキングは23位に入ったが、長らく高い場所を見続けていたボミからすれば、納得のいかないシーズンだったに違いない。
2015年から今年までの3年間、専属トレーナーとしてボミを支えたのが渡邊吾児也(あるや)だ。選手やキャディと違い、決して表舞台に出ることはない。だが、彼も2年連続賞金女王時代を支えた一人だ。
オフシーズンからツアー中のトレーニングメニューやコンディション調整、試合後のケアなどを一手に担っていた。ボミからの信頼も厚く、時にはマネージャー役にも徹していた。
そんな彼は今季のボミをどう見ていたのか。
「今年、ボミさんはフィジカル面が落ちることはなかったですし、シーズン中に大きく体調を崩すこともありませんでした。コンディションにはまったく問題はありませんでした」
1年間を戦い抜く体力に問題はなく、むしろ年々衰えてくる体力的な部分をトレーニングでしっかり補ってきた。そこは評価されてもいい部分だろう。
では、ボミは何に悩んでいたのか
「本人がメディアに話していたと思うのですが、スイングのフィーリングがしっくりこないとよく話していました」
確かに今季は、スコアが伸びないとき、ボミは自分のスイングの感覚が戻らないことをしきりに気にしていた。
「7勝した15年、5勝した16年にももちろんスイングの調子が悪いときもありました。ただ、かつては朝から修正して、正常なスイングに戻すことができていました。今年はそれがうまくいかないことが多かったんです。そのギャップを埋めるために、ボミさんは試合中にもいろいろなことにチャレンジしていましたし、努力していました」
トレーナーにできる仕事は限られている。選手の体を見るプロではあるが、メンタルを整えるプロではない。精神的に落ちこむイ・ボミをどうにか立ち直らせたい気持ちが渡邊にもあっただろうが、どうすれば良くなるのか――その答えは、イ・ボミ自身が探さなければならない領域だったに違いない。
「トレーナーの私にできることは、いつも通りにコンディションが落ちないようにすること。彼女が言う“フィーリング”の部分は本人しかわからない世界なので、がんばって乗り越えてもらうしかありませんでした」
今もボミはスイングについて悩んでおり、「2018年の新シーズンに向けて、しっかり調整していきたい」とも話している。
渡邊が口を開く。
「ボミさんは体が元気でケガがないのが不幸中の幸い。体の悩みがないのは、現役を続けるうえですごく大事なことですから。あとはきっかけや変化があれば、また良くなるとは思います」
渡邊は女子ツアー最終戦の「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」が終わり、スマホでイ・ボミにこうメールを送った。
「もっと自分のためにゴルフをやってみたら?」
どういう意味なのか聞くと、笑顔でこう言った。
「例えばの話ですが、アン・ソンジュ選手やテレサ・ルー選手のように結婚して、伴侶となる新たな家族のために戦うとか、何かきっかけを作って、モチベーションを少し変えてみてもいいのかなと。そうすれば、もっとゴルフを楽しめるんじゃないのかなって思ったりもします。今までは父を亡くし、母や姉妹のために一家を背負って戦ってきた。そろそろ、自分の人生のためにゴルフをする時期に来ていると思ったから、そういうメッセージを送ったんです」
残念なことに渡邊は、ボミの専属トレーナーを務めるのは今季までだという。それでも3年間、ボミを支えてきた彼の目には、この先、試練を乗り越えて復調していくボミの姿が見えているのかもしれない。
文/キム・ミョンウ