世界ランク1位のジョン・ラームが『ローグ ST』でさらにボールスピードUP。他のプロの結果は?
昨年キャロウェイ契約になったジョン・ラーム。待望のメジャー制覇を成し遂げ、揺るぎない世界1位の座を新作『ローグST』で強化に成功。時代はまさに、ボールスピードゲーム!?(画像・GettyImages)
配信日時: 2022年2月4日 11時30分
完成された技術。違いが出るのは「ヘッド」とボール
毎年1月は選手たちの契約変更報道が散見される。近年で最も衝撃だったのが、2021年1月のジョン・ラームのケースだろう。クラブ・ボールの一新に一部は「リスク」と見たが、結果で払拭したのが2021年だった。
「全米オープン」で待望のメジャー制覇をはたして世界ランク1位の座につくと、2022年の1月を終えた現在までずっと王座を維持。猛者たちひしめく世界最高峰の舞台で、このポジションを保つ難しさは誰もが知る所で、キャロウェイ契約は完全に【正解】だった。
ところで、彼のキャリアでずっと変わらないのが、そのシャフトである。特にウッドの『アルディラ ツアーグリーン』はアマ時代から使用しており、つまり2020年以前までと、21年以降とでは【ヘッドとボールが変わっただけ】。この違いが実に大きかった。
▶▶▶ラーム3試合で−61。笹生優花2試合で−21。【ボール変更】はリスクなのか?
「全米オープン」で待望のメジャー制覇をはたして世界ランク1位の座につくと、2022年の1月を終えた現在までずっと王座を維持。猛者たちひしめく世界最高峰の舞台で、このポジションを保つ難しさは誰もが知る所で、キャロウェイ契約は完全に【正解】だった。
ところで、彼のキャリアでずっと変わらないのが、そのシャフトである。特にウッドの『アルディラ ツアーグリーン』はアマ時代から使用しており、つまり2020年以前までと、21年以降とでは【ヘッドとボールが変わっただけ】。この違いが実に大きかった。
▶▶▶ラーム3試合で−61。笹生優花2試合で−21。【ボール変更】はリスクなのか?
飛びに7割も影響する「ボールスピード」は?
ラームの場合、シャフトと長さが大幅に変わらないため、その【ヘッドとボール性能の差が如実に数字に現れやすい選手】だと言える。そこで「飛距離への影響度が7割」と言われる【平均ボールスピード】の彼の推移を見てみよう。
2018年/ 177.12mph(79.18m/s)24位
2019年/ 176.62mph(78.96m/s)33位
2020年/ 175.89mph(78.63m/s)35位
――――――キャロウェイ契約へ――――――
2021年/ 178.46mph(79.78m/s)23位
2022年/ 180.29mph(80.60m/s)17位
なんと、上記のように2020年と比べて、キャロウェイ契約後の21年は約1.15m/s上昇させていた。そして『ローグST◆◆◆』を投入した今年は大台の180mph台をマーク。契約以前の20年より約2m/sも平均ボールスピードを引き上げることに成功していた。
2018年/ 177.12mph(79.18m/s)24位
2019年/ 176.62mph(78.96m/s)33位
2020年/ 175.89mph(78.63m/s)35位
――――――キャロウェイ契約へ――――――
2021年/ 178.46mph(79.78m/s)23位
2022年/ 180.29mph(80.60m/s)17位
なんと、上記のように2020年と比べて、キャロウェイ契約後の21年は約1.15m/s上昇させていた。そして『ローグST◆◆◆』を投入した今年は大台の180mph台をマーク。契約以前の20年より約2m/sも平均ボールスピードを引き上げることに成功していた。
しかも、『ローグST◆◆◆』に替えて3試合目の先週の「ファーマーズ・インシュランス・オープン」の結果が凄かった。いよいよヘッドに慣れたのか、4日間の平均飛距離で323.5y(3位/昨年は298.3yの23位)を記録。そして、昨年大会より平均ボールスピードを【+8.71mph(3.89m/s)】と強烈な引き上げ。
このデータを見れば、キャロウェイが「さぁ、ボールスピードゲームのはじまりだ!」と謳うのも納得である。2020年終了時点でも、世界ランク2位だったラームのこと。技術的に完成の域に近づく中、ヘッドとボールを替えることで自身の「進化」をしっかり見据え、しっかりと現実にしていた。
このデータを見れば、キャロウェイが「さぁ、ボールスピードゲームのはじまりだ!」と謳うのも納得である。2020年終了時点でも、世界ランク2位だったラームのこと。技術的に完成の域に近づく中、ヘッドとボールを替えることで自身の「進化」をしっかり見据え、しっかりと現実にしていた。
開幕戦で13人が変更、ドライバー使用率1位に
2021年内から各選手への調整が進んでいたのか、22年の開幕戦「セントリー」では13名がキャロウェイのドライバーを選び、その内9人がいきなり『ローグST』シリーズを選んだ。その後も、試合を重ねるごとに使用者が増えている。
ボールスピードUPは、ラームだけではない。昨年『EPIC SPEED◆◆◆』や『MAVRIK Sub Zero』などを使用していた大会比較で、『ローグST』投入で上がっていたのが下記の選手。天候や気温、風の状況で総距離は変わるが、ボールスピードは余程の雨や気温が低気温でない限り、影響を受けにくいはずである。
●キム・シウー(+3.44mph 、22年第2戦)
●クリス・カーク(+1.77mph、22年第2戦)
●アダム・ハドウィン(+1.95mph、22年第3戦)
●フランチェスコ・モリナリ(+2.2mph、22年第4戦)
●マーク・リーシュマン(+1.16mph、22年第4戦)
ラームが『ローグST◆◆◆』を使い始めて3試合目で【+8.71mph(3.89m/s)】を記録したように、他の選手も慣れるほどにその振りが鋭くなり、ボールスピードUPは必至。加えて、もうひとつの慣れによる期待が【FWキープ率】の向上だ。
ボールスピードUPは、ラームだけではない。昨年『EPIC SPEED◆◆◆』や『MAVRIK Sub Zero』などを使用していた大会比較で、『ローグST』投入で上がっていたのが下記の選手。天候や気温、風の状況で総距離は変わるが、ボールスピードは余程の雨や気温が低気温でない限り、影響を受けにくいはずである。
●キム・シウー(+3.44mph 、22年第2戦)
●クリス・カーク(+1.77mph、22年第2戦)
●アダム・ハドウィン(+1.95mph、22年第3戦)
●フランチェスコ・モリナリ(+2.2mph、22年第4戦)
●マーク・リーシュマン(+1.16mph、22年第4戦)
ラームが『ローグST◆◆◆』を使い始めて3試合目で【+8.71mph(3.89m/s)】を記録したように、他の選手も慣れるほどにその振りが鋭くなり、ボールスピードUPは必至。加えて、もうひとつの慣れによる期待が【FWキープ率】の向上だ。
今作のヘッド後方には「タングステン・スピード・カートリッジ」が入ったことで、ヘッドMOIが高まっている。誰でも初めてのヘッドだと操作性が変わり、予期せぬ球が出るなど調整に時間を要してもおかしくないが、2022年第3戦目以降、興味深いデータが。昨年大会比較で、FWキープ率UPする選手が続出していた。
●アダム・ハドウィン(+5.36%、22年第3戦)
●フランチェスコ・モリナリ(+14.28%、22年第4戦)
●アレックス・ノレン(+16.07%、22年第4戦)
●ザンダー・シャウフェレ(+7.14%、22年第4戦)
●ジョン・ラーム(+5.36%、22年第4戦)
●マーク・リーシュマン(+5.36%、22年第4戦)
●テイラー・グーチ(+3.58%、22年第4戦)
もちろん、風向きや選手の調子にも左右されるが、同じコースでFWキープ率が高まる選手が増えたことは注目に値する。そして、ヘッドに慣れて「曲がらない」となれば、より鋭く振れてボールスピードUPに繋がるサイクルになるだろうか。
●アダム・ハドウィン(+5.36%、22年第3戦)
●フランチェスコ・モリナリ(+14.28%、22年第4戦)
●アレックス・ノレン(+16.07%、22年第4戦)
●ザンダー・シャウフェレ(+7.14%、22年第4戦)
●ジョン・ラーム(+5.36%、22年第4戦)
●マーク・リーシュマン(+5.36%、22年第4戦)
●テイラー・グーチ(+3.58%、22年第4戦)
もちろん、風向きや選手の調子にも左右されるが、同じコースでFWキープ率が高まる選手が増えたことは注目に値する。そして、ヘッドに慣れて「曲がらない」となれば、より鋭く振れてボールスピードUPに繋がるサイクルになるだろうか。
笹生優花のティショット指標も2位!
キャロウェイといえば、忘れてはならないのが笹生優花だ。昨年『全米女子オープン』優勝を機に米ツアーメンバーになった。そして今年同社と契約を結んだが、実は昨年9月末から既に『EPIC SPEED』を使用していた。
注目の飛距離は当たると270、80ヤードは当たり前だが、正確性も見逃せない。21年のFWキープ率が75.16%で、『ローグST◆◆◆』を投入した22年の2試合でも73.21%と高水準をキープ。シャフトは三菱ケミカル『テンセイProホワイト1K』を継続していた。
スコアへの貢献度を示す「ストローク・ゲインド」のティショット部門で21年6月からここまでネリー・コルダ(米国)に次ぐ2位の笹生。『ローグST◆◆◆』投入後もいきなり6位⇒3位。「素晴らしい年になると確信」と契約時に語った言葉通りだ。
2月に入ってトップ選手も動き出し、ますます競争激化を迎える海外男女ツアー。試合を重ねる度に『ローグST』シリーズがどう選手の手に馴染んでいくのか? ボールスピードが“ラーム化”していくのは誰なのか? 引き続き動向を追いかけていく。
Text/Mikiro Nagaoka
注目の飛距離は当たると270、80ヤードは当たり前だが、正確性も見逃せない。21年のFWキープ率が75.16%で、『ローグST◆◆◆』を投入した22年の2試合でも73.21%と高水準をキープ。シャフトは三菱ケミカル『テンセイProホワイト1K』を継続していた。
スコアへの貢献度を示す「ストローク・ゲインド」のティショット部門で21年6月からここまでネリー・コルダ(米国)に次ぐ2位の笹生。『ローグST◆◆◆』投入後もいきなり6位⇒3位。「素晴らしい年になると確信」と契約時に語った言葉通りだ。
2月に入ってトップ選手も動き出し、ますます競争激化を迎える海外男女ツアー。試合を重ねる度に『ローグST』シリーズがどう選手の手に馴染んでいくのか? ボールスピードが“ラーム化”していくのは誰なのか? 引き続き動向を追いかけていく。
Text/Mikiro Nagaoka