契約フリー選手たちも続々『JPX921』にチェンジ。なぜ、「ミズノ」のアイアンが選ばれる?
ジェイソン・デイ、ジャスティン・ローズ、ポール・ケーシーら錚々たる海外トップ選手だけでなく、宮里美香、藤田さいき、イ・ミニョン、穴井詩ら【クラブ契約フリー】選手たちは、なぜミズノのアイアンを選ぶ!?
配信日時: 2021年3月25日 02時00分
PGAツアー選手に、もし契約が無かったら?
プロゴルファーは、様々なスポンサーと契約を結んでいる。昔から大きなものは、クラブの使用契約。14本全てとボールを含めた総合契約を結ぶ選手もいれば、ボールだけ契約する選手もいる。今も昔も、その契約内容は一人ひとり異なる。
ALBA.Netは2016年前後から契約プロのみならず、こういった「契約に縛られず、自由に合うものを選べる」契約フリー選手の動向に注目してきた。我々アマチュアと同じで、それが一番の性能評価だと思う。ちょうど2016年のナイキのクラブ・ボール撤退を機に、大物プロたちも契約フリーで戦うケースが激増していた。
ここから急激に世界でプレゼンスを増したのが、ミズノである。ブルックス・ケプカが同社の『JPX900ツアー』を選び、メジャーで勝ちまくったのも記憶に新しいだろう。そのケプカは、直近でスリクソン『ZX-7』アイアンへ移行したが、ミズノのプレゼンスは失われるどころか、ますます増している。
ALBA.Netは2016年前後から契約プロのみならず、こういった「契約に縛られず、自由に合うものを選べる」契約フリー選手の動向に注目してきた。我々アマチュアと同じで、それが一番の性能評価だと思う。ちょうど2016年のナイキのクラブ・ボール撤退を機に、大物プロたちも契約フリーで戦うケースが激増していた。
ここから急激に世界でプレゼンスを増したのが、ミズノである。ブルックス・ケプカが同社の『JPX900ツアー』を選び、メジャーで勝ちまくったのも記憶に新しいだろう。そのケプカは、直近でスリクソン『ZX-7』アイアンへ移行したが、ミズノのプレゼンスは失われるどころか、ますます増している。
元世界ランク1位だった、ジェイソン・デイが今年から『JPX921ツアー』を使用し始めた。そうこうしていると、同じく元世界ランク1位のジャスティン・ローズも『MP-20』を使用しだした。ポール・ケーシーは、変わらず『MP-5』で勝利しており、酸いも甘いも噛み分ける契約フリーの強者たちがミズノを選ぶ。
これは5年ほど前に米国ゴルフワールド誌が調査した「契約が無関係ならどのアイアンを選ぶ?」の問いに、PGAツアーの実に36%もの選手が「ミズノを選ぶ」と応えたアンケート結果と符号する。ある種、当然そうなるべき結果に落ち着いただけに過ぎない。
これは5年ほど前に米国ゴルフワールド誌が調査した「契約が無関係ならどのアイアンを選ぶ?」の問いに、PGAツアーの実に36%もの選手が「ミズノを選ぶ」と応えたアンケート結果と符号する。ある種、当然そうなるべき結果に落ち着いただけに過ぎない。
ただ、軟鉄鍛造アイアン信仰も同時に崩壊…
昔から「アイアンは進化してない」と実しやかに言われてきた。ドライバーと比較すればその通りだが、タイトリスト『T』シリーズや、テーラーメイド『P790』『P750』『P770』、キャロウェイ『APEX』シリーズなど、複合構造のアイアンが登場してきたここ数年で、アイアンも大幅にアプデされている。
軟鉄鍛造=ミズノ、ミズノ=軟鉄鍛造。築き上げた昔からの信頼があるとはいえ、海外勢のアプデの波に飲み込まれ、時代の要請に応える必要がある。そこで生まれたのが、クロモリフォージド、クロモリフェースを軸にする『JPX921』シリーズである。昔を知る人は、このアプデで「ミズノらしさは失われたのか?」と懸念しがちだが、結果は真逆となった。
軟鉄鍛造=ミズノ、ミズノ=軟鉄鍛造。築き上げた昔からの信頼があるとはいえ、海外勢のアプデの波に飲み込まれ、時代の要請に応える必要がある。そこで生まれたのが、クロモリフォージド、クロモリフェースを軸にする『JPX921』シリーズである。昔を知る人は、このアプデで「ミズノらしさは失われたのか?」と懸念しがちだが、結果は真逆となった。
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『JPX921』シリーズ。左2つは、素材が弾きがよく、寛容性を高められる【クロモリ】へ!
原英莉花がクロモリフェースの『JPX921ホットメタル』で昨年メジャー2勝したが、今年になって国内女子ツアーでも続々と『JPX921』シリーズへの切り替えが進んだ。契約プロの西郷真央はクロモリフォージドの『JPX921フォージド』で、吉本ひかるは軟鉄鍛造の『JPX921ツアー』を投入した。さらに、続々と契約フリー選手たちも続く。
さらに『JPX921』シリーズは多くの契約フリーの選手が投入をしている。そのプロたちの声と使用クラブが下記だ。
さらに『JPX921』シリーズは多くの契約フリーの選手が投入をしている。そのプロたちの声と使用クラブが下記だ。
宮里美香 (JPX921 TOUR 5I〜9I)
「今までJPXのイメージはヘッドが大きいというイメージでした。なので今までずっと『Mizuno Pro』を使っていましたが、この『JPX 921ツアー』はいい意味で今までのイメージと違ってやさしくて、球がががりやすく、とても打ちやすいです!」
藤田さいき (JPX921 FORGED 6I〜PW)
「初めてミズノのアイアンを使いました。顔、打感、操作性の良さに驚きました!」
イ・ミニョン (JPX921 TOUR 5I〜PW)
「ミズノのアイアン、最高です!打感、操作性も良くとても使いやすく、なんの違和感もなく『JPX 921ツアー』にチェンジできました!」
「今までJPXのイメージはヘッドが大きいというイメージでした。なので今までずっと『Mizuno Pro』を使っていましたが、この『JPX 921ツアー』はいい意味で今までのイメージと違ってやさしくて、球がががりやすく、とても打ちやすいです!」
藤田さいき (JPX921 FORGED 6I〜PW)
「初めてミズノのアイアンを使いました。顔、打感、操作性の良さに驚きました!」
イ・ミニョン (JPX921 TOUR 5I〜PW)
「ミズノのアイアン、最高です!打感、操作性も良くとても使いやすく、なんの違和感もなく『JPX 921ツアー』にチェンジできました!」
契約有無に関わらず、いいものを選ぶだけ
また、同じく契約フリーの木戸愛が『JPX921 TOUR』の6I〜PW、穴井詩も『JPX921 TOUR』の5I〜PWを投入。PGAツアーだけでなく、国内女子ツアーでも「契約フリーはみな『JPX921』を選ぶ」と言っても過言ではないほどの一大勢力となった。この背景をミズノの女子ツアー担当はこう明かす。
「契約の有無に関係なく、ほとんどのプロは打感、操作性、顔の良さで選んでくれています。ミズノのアイアンは【難しい】イメージを持たれがちですが、実際『JPX921』シリーズを試してもらうと打ちやすさや操作性の良さを実感してもらえるはず。今回『JPX921フォージド』が軟鉄から【クロモリ】へ素材が変わりましたが、変わらぬ打感の良さと操作性の良さで選んでくれますね。契約フリー選手から選ばれることは、性能の証明ということで光栄なこと。これまで同様、選手の要望に応え続けます」(同社、ツアー担当者)
以前から、契約フリー選手のギアを見てきた筒康博、元ツアーレップで穴井詩のアイアンを仕上げていた片岡裕次も以下のように話す。
「契約の有無に関係なく、ほとんどのプロは打感、操作性、顔の良さで選んでくれています。ミズノのアイアンは【難しい】イメージを持たれがちですが、実際『JPX921』シリーズを試してもらうと打ちやすさや操作性の良さを実感してもらえるはず。今回『JPX921フォージド』が軟鉄から【クロモリ】へ素材が変わりましたが、変わらぬ打感の良さと操作性の良さで選んでくれますね。契約フリー選手から選ばれることは、性能の証明ということで光栄なこと。これまで同様、選手の要望に応え続けます」(同社、ツアー担当者)
以前から、契約フリー選手のギアを見てきた筒康博、元ツアーレップで穴井詩のアイアンを仕上げていた片岡裕次も以下のように話す。
「お金じゃなく、選手はただパフォーマンスを上げたいだけ。特にアイアンは猛烈にプレーに影響するので、契約の制限内で問題が出たら、仕方なく契約フリーになるしかない。どのプロも、ツアーで成績を残すにはそれなりの理由がありますが、打ちたい球が打てるアイアンと打てないものがある。何が理由か?は選手によって違いますが、アマチュアの100倍以上の高性能センサーを持つ選手が感知するものは言語化できない。そこにフィットさせるのは、本当に難しいと痛感します」(筒康博)
「(穴井)詩ちゃんのアイアン選びは、本当にシビアでした。全く同じモデルを作っても、職人の研磨で微細な個体差が出ますよね? 彼女に合うモデル自体が少ないのに、例えば5、6セット作って合格するのは選りすぐりのエースだけ。ヘッドだけでも大変なのに、シャフトも加わると本当に納得するセットを作るのは至難の業です。彼女が求めるレベルには、何百万ものコストと時間がかかるのが普通で、自分の苦労を振り返ると、ミズノさんが今やってることの凄さを感じます」(元ツアーレップの片岡裕次)
「(穴井)詩ちゃんのアイアン選びは、本当にシビアでした。全く同じモデルを作っても、職人の研磨で微細な個体差が出ますよね? 彼女に合うモデル自体が少ないのに、例えば5、6セット作って合格するのは選りすぐりのエースだけ。ヘッドだけでも大変なのに、シャフトも加わると本当に納得するセットを作るのは至難の業です。彼女が求めるレベルには、何百万ものコストと時間がかかるのが普通で、自分の苦労を振り返ると、ミズノさんが今やってることの凄さを感じます」(元ツアーレップの片岡裕次)
PGAツアー担当者が明かす、評価の本質
また、ジェイソン・デイが『JPX921ツアー』を使用に至った経緯を、ミズノのPGAツアー担当者は次のように明かしている。
「使用に至った経緯は、【複数メーカーのアイアンをテストした結果、ミズノのパフォーマンスがベストだった】と彼のマネージャーから聞きました。ターフの取れ具合、スピンコントロール、飛び出し角度、アイアンに必要な要素全てのパフォーマンスが良かったんだと思います。PGAツアー選手に限ったことではないですが、【1】見た目、【2】ソール形状、【3】打球音の3つがアイアン選びで重要なのは言うまでもありません。
「使用に至った経緯は、【複数メーカーのアイアンをテストした結果、ミズノのパフォーマンスがベストだった】と彼のマネージャーから聞きました。ターフの取れ具合、スピンコントロール、飛び出し角度、アイアンに必要な要素全てのパフォーマンスが良かったんだと思います。PGAツアー選手に限ったことではないですが、【1】見た目、【2】ソール形状、【3】打球音の3つがアイアン選びで重要なのは言うまでもありません。
【1】は『JPX921』に限らず、全てのアイアンを構えて全番手が同じ方向に向くよう、気をつけています。それはフェースゲージのみならず、オフセットと見え具合、ホーゼルの付き方など。例えば、5番が左に向いているのに、9番が右に向くものは嫌ですよね? また【2】ですが、アイアンヘッドが接するのはボールと地面。故にやはりソール形状には細心の注意を払っています。ただ芝の差異でターフの切れ具合は異なりますが、総じて同じ傾向にあると思います。
▶▶▶【超マニアック】なミズノのアイアンだけ、他社と違う部分◀◀◀
【3】の打球音は、まだまだ奥が深いと感じます。必要最低限の要素ではありますが、音は非常に重要だと思いますね。アイアン選びについて総じて言えることは、性能も求めながらも【経験、予測と異なる打球】が出ることは、ピンを狙うクラブでは致命的かと考えます。これら3つが揃った上でも、ピンを狙えないものは弾かれてしまうのです」(ミズノPGAツアー担当者)
▶▶▶【超マニアック】なミズノのアイアンだけ、他社と違う部分◀◀◀
【3】の打球音は、まだまだ奥が深いと感じます。必要最低限の要素ではありますが、音は非常に重要だと思いますね。アイアン選びについて総じて言えることは、性能も求めながらも【経験、予測と異なる打球】が出ることは、ピンを狙うクラブでは致命的かと考えます。これら3つが揃った上でも、ピンを狙えないものは弾かれてしまうのです」(ミズノPGAツアー担当者)
選手の成績を大きく左右する「ピンを狙えるアイアン」選び。これが手に入るかどうか死活問題なため、契約フリーになってでも合うものを探し続ける背景が見えてきた。そして、当然のことだが、「気に入ったものを自由に選べる」という一点では我々アマチュアと同じに見えるが、深刻度がまったく違う。
契約フリーの選手たちが、なぜミズノのアイアンを選ぶのか? 我々のスコアアップの近道も、ここに隠れているのかもしれない……。飛ぶドライバーばかりを探し、あれじゃない、これじゃないと右往左往してきた自分をいたく反省した……。(スコアを目指すなら、ベストアイアンを!)
Text/Mikiro Nagaoka
契約フリーの選手たちが、なぜミズノのアイアンを選ぶのか? 我々のスコアアップの近道も、ここに隠れているのかもしれない……。飛ぶドライバーばかりを探し、あれじゃない、これじゃないと右往左往してきた自分をいたく反省した……。(スコアを目指すなら、ベストアイアンを!)
Text/Mikiro Nagaoka