創業のISMが復活!ゴルフクラフトフォーティーン誕生秘話。「一人ひとりに最適を」
先月発表されたフォーティーンのカスタム展開のニュースに問い合わせが殺到中。カッコ良すぎる『RM-B』アイアンがその主役ですが、仕掛け人に話を聞くことができました!(撮影・山代厚男)
配信日時: 2022年3月22日 03時00分
なぜ、今カスタムフィットなのか?
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カスタムフィット=パーツ購入で、個々人に最適なシャフトを工房で組み上げ
群馬県高崎市にある、フォーティーンヘッドオフィス。創業者の故・竹林隆光氏が1981年に「フォーティーン」を創業し、山深いこの地に本社を構えたのが1993年のこと。当時は、さまざまなメーカーから依頼を受け、「ゴルフクラブ設計」が事業の中心だった。
本社竣工時からフィッティングルームを設けて「カスタムオーダー」を展開。ところが、フォーティーンの事業内容は次第に変化を迎えていく。「クラブ設計」を各社が内製化し、事業は縮小していった結果、フォーティーンは他のメーカーと同様に、クラブを量産し、販売する方向へとシフトする。
本社竣工時からフィッティングルームを設けて「カスタムオーダー」を展開。ところが、フォーティーンの事業内容は次第に変化を迎えていく。「クラブ設計」を各社が内製化し、事業は縮小していった結果、フォーティーンは他のメーカーと同様に、クラブを量産し、販売する方向へとシフトする。
当時を「創業時から、一人ひとりに最適なクラブを提供することが本質でした」と述懐するのが、フォーティーンの池田純氏だ。今回の「ゴルフクラフトフォーティーン」を復活させた仕掛け人の一人で、竹林氏が培ったISM(イズム)を継承していく存在でもある。
「ここ高崎のヘッドオフィスで創業当初からカスタムフィッティングを行っていましたが、量販へと事業の中心が移りゆく中、そこに注力しづらくなりました。ただ、近年ゴルファーの好みも多用化していることから、創業時のフォーティーンISMを復活させたいと、準備を進めてきました」(池田氏)
「ここ高崎のヘッドオフィスで創業当初からカスタムフィッティングを行っていましたが、量販へと事業の中心が移りゆく中、そこに注力しづらくなりました。ただ、近年ゴルファーの好みも多用化していることから、創業時のフォーティーンISMを復活させたいと、準備を進めてきました」(池田氏)
「全ては、アマチュアのために」。竹林ISMは通底
今回の『ゴルフクラフトフォーティーン』の第一弾となる『RM-B』は、一体鍛造のマッスルバックとなる。当然、使い手を選びそうな印象もあり、このカスタムフィッティングブランドは、難しいものを打ちこなせる【上級者向けのみ】になるのだろうか。池田氏は即座に否定する。
「ヘッドパーツを購入して、カスタムフィッティングするゴルファーには、そういった上級者の方が多いのは事実ですが、難しくて使い手を選ぶものを作ろうなどとは、一切考えておりません。むしろ逆で、創業からのモノづくり、竹林の『アマチュアの最良の結果のためにクラブを作る』考えは踏襲しています。
「ヘッドパーツを購入して、カスタムフィッティングするゴルファーには、そういった上級者の方が多いのは事実ですが、難しくて使い手を選ぶものを作ろうなどとは、一切考えておりません。むしろ逆で、創業からのモノづくり、竹林の『アマチュアの最良の結果のためにクラブを作る』考えは踏襲しています。
『RM-B』はマッスルバックですが、過去のオーダー専用の名器の流れを汲む形状を踏襲しつつも、現代技術をふんだんに取り入れて作り込んでいます。代表となるのが【ステップブレード】と呼ぶトゥ側に分厚く肉厚変化させた独自の形状で、操作性の良さとミスヒットへの強さを両立するマッスルバックを目指しました」(同)
遡れば、同社を一躍有名にした『MT-28』ウェッジや、アーニー・エルスが使用してメジャー勝利した元祖・中空アイアン型UT『HI-858』などは、全てがアマチュア向けに開発されたモデルだった。
遡れば、同社を一躍有名にした『MT-28』ウェッジや、アーニー・エルスが使用してメジャー勝利した元祖・中空アイアン型UT『HI-858』などは、全てがアマチュア向けに開発されたモデルだった。
「創業者の竹林がずっと言い続けてきたことですが、【プロの満足のために作るのではなく、アマチュアのために作る結果、プロも使う】ということ。このクラブ作りの哲学は、弊社にずっと継承されており、ブレード作りにおいてもそれは同じなんです」。やはり、創業者・竹林ISMがここでも踏襲されている。
『RM-B』は7番で30度。ムリせず飛ばせる
ロフトも現代的だ。同社には大人気の『TB-5』や4月21日に発売を迎える『TB-7』など、やさしいキャビティも揃えるが、今作『RM-B』も含め、鍛造モデルは全て7番のロフト30度に設定している。
「これも弊社に流れるISMですが、ゴルファー個々人でクラブの扱いやすさは、ヘッド形状の違いに現れます。どのモデルが使いやすいのか、好みで選んで頂ければ。そして、コンボセットで番手群における最適化を図ることも可能になっています」。
竹林は「一般アマチュアに30度未満のロフトのアイアンは厳しい」との哲学も残している。ロフト30度の7番アイアンは、そこからすれば「少し余裕を持った状態で打てて、しっかり飛ばせるギリギリのライン」と、池田氏は言う。
「これも弊社に流れるISMですが、ゴルファー個々人でクラブの扱いやすさは、ヘッド形状の違いに現れます。どのモデルが使いやすいのか、好みで選んで頂ければ。そして、コンボセットで番手群における最適化を図ることも可能になっています」。
竹林は「一般アマチュアに30度未満のロフトのアイアンは厳しい」との哲学も残している。ロフト30度の7番アイアンは、そこからすれば「少し余裕を持った状態で打てて、しっかり飛ばせるギリギリのライン」と、池田氏は言う。
余計な刻印が一切ない、バックフェースのデザインは「引き算の美学」が貫かれた。これは単なるデザイン上の問題ではなく、性能面ともしっかり繋がっている。そして “300セット限定という希少価値” を生んでしまった。
「一体鍛造でヘッド重量が決まっているため、微細な重量でさえムダにしないため、最も細かなCNCミーリングでバックフェースを仕上げています。より低重心で球の上げやすさを追求してこの加工にこだわり抜いたため、量産不可能になってしまいました……」
この部分こそ、「創業時のISMの最たるもの」が現われていると言えるだろうか。コストを下げて量産し、利益を取るのがクラブビジネスの本質だが、『ゴルフクラフトフォーティーン』にその概念は当てはまらない。創業時の「一人ひとりのための最適を」の考えを儲け度外視で貫いていた。
「一体鍛造でヘッド重量が決まっているため、微細な重量でさえムダにしないため、最も細かなCNCミーリングでバックフェースを仕上げています。より低重心で球の上げやすさを追求してこの加工にこだわり抜いたため、量産不可能になってしまいました……」
この部分こそ、「創業時のISMの最たるもの」が現われていると言えるだろうか。コストを下げて量産し、利益を取るのがクラブビジネスの本質だが、『ゴルフクラフトフォーティーン』にその概念は当てはまらない。創業時の「一人ひとりのための最適を」の考えを儲け度外視で貫いていた。
副産物は、「カッコ良さ」。唯一無二の存在感
ビジネス的な「旨味」はないが、貫きたい“美学・哲学”をカタチにした結果、思わぬ副産物が生まれている。「先月『ゴルフクラフトフォーティーン』を発表したばかりですし、全国約100店舗限定の取扱店を選定したばかり。そんな中、『RM-B』を目にしたたくさんの方から既に【欲しい!】との声が殺到しています」と、池田氏。
量産の効かないCNC処理、徹底的に引き算でデザインされたシンプルなアイアンは、目の肥えたゴルファーを一瞬にして虜にしていた。「お店の方の話しでは、【カッコいいから欲しい】【打てないかもしれなくても、とにかく所有したい】との声が殆どだそうです。有り難いことに、まだ打つ前から、モノとしての存在感に期待して頂けているようです」。
量産の効かないCNC処理、徹底的に引き算でデザインされたシンプルなアイアンは、目の肥えたゴルファーを一瞬にして虜にしていた。「お店の方の話しでは、【カッコいいから欲しい】【打てないかもしれなくても、とにかく所有したい】との声が殆どだそうです。有り難いことに、まだ打つ前から、モノとしての存在感に期待して頂けているようです」。
今回の取材では、高崎のヘッドオフィス併設のフィッティングルームで『RM-B』と『TB-7』新作両方を打たせてもらった。ヘッドスピード50m/sの筆者の結果では、『TB-7』がフェードで185〜190ヤード前後。ややシャフトの短い『RM-B』の方がターン具合が快適で、こちらは8Iのストレートドローで170ヤードを連発できた。
また、同行したハンデ8〜9のヘッドスピード45m/sのアマチュアも、『RM-B』の8Iで163ヤード前後、7Iで175〜180ヤード前後をマーク。いずれも「軽いストレートドローが意のままで、マッスルバックなのにラクに飛距離を出せた」と、興奮気味に語っていた。
文句ナシのカッコ良さと、ラクに距離を出せる“バッファ”のある性能。唯一の難点は、“手に入れづらい”点のみ。フォーティーンの創業時の息吹が復活し、「第2弾の商品も控えていますので、ご期待ください」とのこと。手に入れられるゴルファーは、かなり限られている。
Text/Mikiro Nagaoka
また、同行したハンデ8〜9のヘッドスピード45m/sのアマチュアも、『RM-B』の8Iで163ヤード前後、7Iで175〜180ヤード前後をマーク。いずれも「軽いストレートドローが意のままで、マッスルバックなのにラクに飛距離を出せた」と、興奮気味に語っていた。
文句ナシのカッコ良さと、ラクに距離を出せる“バッファ”のある性能。唯一の難点は、“手に入れづらい”点のみ。フォーティーンの創業時の息吹が復活し、「第2弾の商品も控えていますので、ご期待ください」とのこと。手に入れられるゴルファーは、かなり限られている。
Text/Mikiro Nagaoka