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打打打坐 第33回【キャディバッグの神話】

打打打坐(ちょうちょうだざ)とは、打ちまくって瞑想の境地に入るという造語。コースで打たなければわからないと試打ラウンドだけで年間50ラウンド以上しているロマン派ゴルフ作家が、瞑想、妄想、迷走…… 徒然なるままにゴルフを想い、語るというお話。

2020年11月27日

キャディバッグへの新しいこだわり

 
ゴルフ用具で、絶対に必要なものを挙げていくとします。

クラブにボール、ティーなどの小物、グローブ、シューズ…… そして、キャディバッグという感じです。

年に1度程度、頼まれて、ゴルフを始める人の用具選びに付き合うことがあります。もう30年ぐらいは続いていて、誰かに頼まれる年中行事みたいになっています。若い人の用具選びの優先順位が大きく変わってきたのは、5年ぐらい前からです。どうでも良いという用具の筆頭だったはずだったのに、一番最初に、キャディバッグを選びたがる若い人が多くなってきたのです。

「遠くからでも目立つし、家でも玄関に置くので、納得するデザインとカラーじゃないと嫌です」

と哀願されたりするわけです。コレが欲しいというキャディバッグが予算に見合わないときもあるので、クライアントの親御さんに電話して、予算を増やしてもらったり、好みのカラーのキャディバッグを在庫しているショップを探して、都内をぐるぐる回ることもあります。

自分はキャディバッグに特別なこだわりはないので、最初は彼らの強いこだわりに驚きましたが、何度か同じ経験をする内に慣れました。

ゴルフコースに行ったときに、キャディバッグなしで、剥き出しのクラブのままではプレーできません。絶対に必要だから、逆に、とりあえずで購入して、その後、買い直すときに、好きなメーカーやブランドを選ぶゴルファーはいますが、なんとなく選んだキャディバッグを使うというのが、ずいぶんと長い間、常識だったような気がします。

スタンドバッグの今昔

現在の市場には、大まかに2種類のキャディバッグがあります。昔からある筒型のキャディバッグと、足が2本あるスタンド型キャディバッグです。

僕が高校生でジュニアゴルファーだった頃、アメリカのピンゴルフが担ぎ用のバッグに足を付けた、と話題になりました。キャディバッグを担いでゴルフをするジュニアゴルファーだけの狭い世界の話です。昭和50年代の後半(1980年代前半)、ジュニアゴルファーは、かなり特殊な存在で、キャディバッグを担いで、電車で移動する際に“子供がゴルフなんてして”という白い目で見られるのが普通でした。国内のジュニアゴルファーを合計しても、数千人だった時代です。

足付きのキャディバッグは、憧れの対象でしたが、国内のショップで扱っているところはありませんでした。並行輸入している業者から購入しようとすると、3万円を超えました。その頃のジュニアゴルファーは、小さめの普通の形のバッグを担ぎ用のバッグとして利用するぐらいしか工夫のしようがなかったのです。馬鹿でかいプロ用の重いバッグを担いで、ふらふらになっている新入生や初級者は、ジュニアゴルファーの『あるある話』でした。

僕が足つきのピンゴルフのキャディバッグを手に入れたのは、大学に入学してからでした。自動車の免許を取って、自分用の車を買い与えられたときよりも、実は、足つきのキャディバッグを買ったときのほうが感動しました。

足つきのキャディバッグは、学生ゴルフでも、まだ、かなり珍しく、憧れのバッグだったので、一部の先輩からは、嫉妬されて使用禁止命令を受けました。しかし、個人戦なら大丈夫だと内緒で使用して、チクられてばれて、体罰を食らったりもしました。全ては笑い話です。足つきのキャディバッグの良い点は、クラブの出し入れが楽で、地面に触れないので、濡れたり、汚れたりしないことです。

足つきのキャディバッグではなく、スタンド型バッグと呼ばれるのようになったのは、21世紀になってからだと思います。あらゆるメーカーから次々に発売されるスタンド型バッグを見ながら、担がないのに、どうして、足つきのキャディバッグが必要なのだと不思議に思いました。サーフィンをしないのに、車にサーフボードを積んでいる人たちを「陸(おか)サーファー」と、からかう感覚と同じで、担ぎのゴルフと無縁なのに足つきのキャディバッグを使っているゴルファーを馬鹿にしていたときもあります。

考えてみれば、その頃から、キャディバッグはファッション的なアイテムとして注目され始めたのかもしれません。

若いゴルファーで、コレが欲しいとこだわっているキャディバッグが、スタンド型のバッグであることがあります。練習場や、ゴルフコースで、並んでいるバッグを観察すると、スタンド型のバッグは3割から4割ぐらいのシェアのように見えます。

一般的なキャディバッグのことを、カートバッグと呼ぶこともあります。乗用カートなどに乗せて使うかららしいのですが、よくよく考えてみると、セルフプレーしかしたことがないゴルファーが半数近くいると言われる現代において、キャディバッグという名称自体が間違っているのかもしれません。

キャディさんたちのバッグ占い

20世紀の始めの頃、ゴルフが育ったスコットランドでは、多くとも7、8本のクラブでゴルファーはプレーしていて、クラブは、そのまま手で持って移動して、打つときには、傍らに置くか、キャディが手に持っているのが普通だったそうです。

アメリカでゴルフが盛んになっていき、スチールシャフトの発明もあって、一人が20本以上のクラブをコースに持ち込むようなケースも出てきました。規則の変更と同時に、手で持ちきれなくなったクラブを運ぶための用具も必要になって、筒状でクラブを運べるように作られたキャディバッグは一気に広まったのです。

キャディを楽にするための工夫が、キャディバッグなのですが、現代の僕らはついつい忘れてしまいがちです。

例えば、バッグから出ているクラブを覆うフードですが、舶来製のバッグには装備されていないこともあります。元々は、雨除けのフードだったからで、雨でゴルフをしないエリアや雨が降らないエリアでは使用しないので省いてあるというわけです。上級者だと判断する基準として、キャディバッグのフードを基本は外していることが挙げられます。

どうして、そうなったのかはわからなくなっていましたが、これは、キャディやコースのスタッフへの心遣いなのです。フードを付けたままのバッグは、フードを外して、カートに積む必要があります。外すのも手間なら、折りたたんで邪魔にならないようにするもの手間です。更に、留め金のホックが破損してしまうと、保証問題になったりもします。簡単なことです。基本はバッグの背袋にフードを入れておけば良いだけのことです。

キャディさんたちが、そういう心遣いが出来るゴルファーは上級者だと感じて、フードをしていないゴルファー=上級者になったのだと思われます。

一昔前ですが、キャディさんの都市伝説を取材しました。その中で、最もビックリしたのは、バッグのカラーでゴルファーの性格や上手い下手がわかるというものだったのです。

『黒系のバックは、上手そうに見られたいけど、本当に上手いわけじゃない人が多い』
『白系のバッグのゴルファーは本当に上手い人が多く、安心できる』
『派手なカラーのバッグは、言い訳ばかりしている人が多い』
『使用しているクラブやボールと、バッグのメーカーが違う人は要注意人物』
『ハンドルを持ったときに重さのバランスが悪いバッグは初級者が多い』

別々のエリアで、複数のコースのキャディさんたちに確認しても、この話は、ほぼ100%出てきました。理由を聞いても、「みんな言うし、実際に当たることが多いし」ということでした。

そう遠くない将来に、キャディバッグという言葉は使わなくなると予言する賢者もいます。名称は変わっても、ゴルフクラブ用バッグは、たぶん、使用者が無意識なことも含めて多弁に色々な情報を発信し続けるのだと思います。

僕は、ゴルフデビューの時に白いバッグを渡されて、その後40数年間で10本のキャディバッグを使用してきました。色々なバッグを使いましたが…… あの取材以降、白ベースのバッグだけを使用しています。

【著者紹介】篠原嗣典

ロマン派ゴルフ作家・ゴルフギアライター。ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、現在はゴルフエッセイストとして活躍中。

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