天国と地獄を見た2018年のケプカ、3連覇なるか!?3年でどれだけ進化した?【記者の目】
天国と地獄を見た2018年のケプカ、3連覇なるか!?3年でどれだけ進化した?【記者の目】
配信日時: 2018年11月13日 09時22分
いよいよ、今週は「ダンロップフェニックス」が開催される。連覇中、しかも世界一となって帰ってきたブルックス・ケプカの3連覇はなるのだろうか。世界一の男を相手に日本のプレーヤーはどこまで迫れるのか?見どころ満載となるが、ケプカがこの3年でどれだけ進化したのかをスタッツから紐解いてみよう。
⇒ついに世界一のブルックス・ケプカ。タイトリスト→ナイキ→契約フリーが躍進の理由?
■ ドライバーは2016年よりキャリーが10Y伸びた!
2016年はナイキ『ヴェイパーフライプロ』とテーラーメイド『初代M2』(302.6y、19位)、昨年は『2017M2』(310.5y、6位)、今年は序盤『M4』で途中から『M3 460』(313y、8位)を使用した。そして、シャフトは三菱ケミカル『ディアマナD+ホワイト』(白マナ系)を一度も替えていない。今季は1月頭から4月末まで左手の怪我で離脱したにもかかわらず、平均313ヤードを記録。3年前の平均飛距離が302.6ヤードだったのに対し、平均で10ヤード伸ばすことに成功している。
⇒【バケモノたちの使用ギア】9割で振って3Wで340ヤード!? ブルックス・ケプカの破壊力
では、平均ヘッドスピードはというと、54.67m/s⇒55.56m/s⇒54.73m/sと、さすがに怪我をした今季は昨季より下がったものの、3年前よりも速くなっている。筋トレが日課のマッチョマンらしく、年々パワーアップが図られていることがよく分かる。
FWキープ率に関してはどうか。58.6%(117位)⇒54.14%(168位)⇒56.34%(158位)と、飛距離アップに伴って昨季はポイントを落としたものの、今季は回復傾向。飛距離アップ度合いから考えれば、曲がりの度合いはさして変化していないとも言える。
細かいスタッツを見てみる。まずは、バックスピン量。2624.2rpm(53位)⇒2533.7rpm(108位)⇒2660.4rpm(85位)と、前半で『M4』を使用していた今季は、『2017M2』の昨季より少しスピン量が増える結果となっていた。
では、飛距離における7割もの影響度を占める、ボールスピードはどうだろうか。78.99m/s(17位)⇒80.48m/s(14位)⇒80.76m/s(12位)と、こちらも怪我がありながら年々上昇する結果。そして、これにつられてキャリーも289.6y(21位)⇒298y(10位)⇒299.6y(7位)と伸びている。3年前にケプカを現地で見た人は、当時より10y先に着弾すると予想してほしい。
■ アイアンは2017年1月からミズノ『JPX900ツアー』を変えず
ケプカがミズノ『JPX900ツアー』を使い始めたのは、2017年1月のこと。以来、ずっと変えることなく愛用し続けている。このモデルはケプカがタイトリストから離れることを見越して作られたモデルで、2016年のナイキの撤退後に契約フリーとなり、彼の手元に収まった。
⇒ケプカ&申ジエの優勝から、海外のクラブ契約フリー選手が好むアイアンを考える
パーオン率の3年間の推移を見てみよう。現在まで使う愛用アイアンだが、意外なことに66.98%(59位)⇒62.28%(169位)⇒68.3%(57位)だった。また「ストロークゲインド・アプローチ・ザ・グリーン」でも91位⇒118位⇒93位と、メジャーで魅せたキレッキレの印象とは違い、平均的に見ると優位性を持てていない。
原因はどこにあるのか。細かくスタッツを見ると、昨季はフェアウェイからもラフからも、どの距離でも平均を下回るピンへの寄り方だった。距離で言えば、150ヤード以下はフェアウェイもラフも順位は下位。そして、ここはケプカでいえばウェッジの距離となる。反対に、昨季良かった距離はこれより上の距離。特に175〜200ヤードは10傑に入るなど、ミドルアイアンの精度は高かった。
そして、今年はと言うと、フェアウェイからのショットは大幅に順位を改善。75〜100ヤード以外は改善を見せたものの、相変わらずラフからのショットには苦しんだデータが残っている。3年連続で順位が低いのは75〜100ヤード、125〜150ヤードのラフからのショット。ここにまだ弱点が残っていると言える。
契約フリーとなってから、ずっと『ボーケイ』シリーズを愛用してきた。今季も『ボーケイSM7』を中心に使用してきたが、左手首の怪我の影響なのか、何なのか、ラフからウェッジショットでは依然として隙があることがスタッツから紐解ける。
■ 急激に進化した今季のアプローチ技術。パットは元々上手い。
ところが、「ストロークゲインド・アラウンド・ザ・グリーン」では113位⇒102位⇒39位。去年まではツアーでも平均的だったグリーン周りの技術が、今年は急激に良くなっていた。今年の「スクランブリング」は152位⇒154位ときて、なんと今年9位に。20〜30ヤードでは66.67%(152位⇒54位⇒2位)、10〜20ヤードは70.43%(167位⇒168位⇒10位)と、グリーンを外しても寄せ切る技術を年々高めていた。
⇒【勝者のギア】クラブ契約フリーは当分続く!? 「変えたいことは何もない」ブルックス・ケプカ、ついに世界一を戴冠!
また、パッティングは元々上手い。3年間スコッティ・キャメロン『T10 Select Newport 2』を変えずにいる。「ストロークゲインド・パッティング」は19位⇒10位⇒113位と、今季は4ヶ月の怪我での離脱が最初は少し尾を引いたが、復調。
1R当たりの「平均パット」は28.81(48位)⇒28.32(12位)⇒28.69(38位)で、「パッティングアベレージ」は1.744(18位)⇒1.718(3位)⇒1.746(32位)となっている。3年間変わらず、ツアー上位のスタッツを残す距離は25フィート(7.6m)。距離が伸びるほど、入る確率は下がっていくが、ケプカはこの長い距離をねじ込む力がツアーの中でも依然として上位を保っている。
こうして3年間のケプカの進化の度合いを見てきたが、いかがだろうか。4ヶ月の怪我の離脱という奈落の底からの、世界一という頂点へ上り詰めた男・ケプカ。前代未聞のアップダウンを経て、2018年「ダンロップフェニックス」は当然のごとく3連覇を成し遂げるのか? コースと宮崎牛の美味さは知り尽くしているはず。世界一のゴルフを日本で観れるまたとないチャンス到来である。
Text/Mikiro Nagaoka
⇒ついに世界一のブルックス・ケプカ。タイトリスト→ナイキ→契約フリーが躍進の理由?
■ ドライバーは2016年よりキャリーが10Y伸びた!
2016年はナイキ『ヴェイパーフライプロ』とテーラーメイド『初代M2』(302.6y、19位)、昨年は『2017M2』(310.5y、6位)、今年は序盤『M4』で途中から『M3 460』(313y、8位)を使用した。そして、シャフトは三菱ケミカル『ディアマナD+ホワイト』(白マナ系)を一度も替えていない。今季は1月頭から4月末まで左手の怪我で離脱したにもかかわらず、平均313ヤードを記録。3年前の平均飛距離が302.6ヤードだったのに対し、平均で10ヤード伸ばすことに成功している。
⇒【バケモノたちの使用ギア】9割で振って3Wで340ヤード!? ブルックス・ケプカの破壊力
では、平均ヘッドスピードはというと、54.67m/s⇒55.56m/s⇒54.73m/sと、さすがに怪我をした今季は昨季より下がったものの、3年前よりも速くなっている。筋トレが日課のマッチョマンらしく、年々パワーアップが図られていることがよく分かる。
FWキープ率に関してはどうか。58.6%(117位)⇒54.14%(168位)⇒56.34%(158位)と、飛距離アップに伴って昨季はポイントを落としたものの、今季は回復傾向。飛距離アップ度合いから考えれば、曲がりの度合いはさして変化していないとも言える。
細かいスタッツを見てみる。まずは、バックスピン量。2624.2rpm(53位)⇒2533.7rpm(108位)⇒2660.4rpm(85位)と、前半で『M4』を使用していた今季は、『2017M2』の昨季より少しスピン量が増える結果となっていた。
では、飛距離における7割もの影響度を占める、ボールスピードはどうだろうか。78.99m/s(17位)⇒80.48m/s(14位)⇒80.76m/s(12位)と、こちらも怪我がありながら年々上昇する結果。そして、これにつられてキャリーも289.6y(21位)⇒298y(10位)⇒299.6y(7位)と伸びている。3年前にケプカを現地で見た人は、当時より10y先に着弾すると予想してほしい。
■ アイアンは2017年1月からミズノ『JPX900ツアー』を変えず
ケプカがミズノ『JPX900ツアー』を使い始めたのは、2017年1月のこと。以来、ずっと変えることなく愛用し続けている。このモデルはケプカがタイトリストから離れることを見越して作られたモデルで、2016年のナイキの撤退後に契約フリーとなり、彼の手元に収まった。
⇒ケプカ&申ジエの優勝から、海外のクラブ契約フリー選手が好むアイアンを考える
パーオン率の3年間の推移を見てみよう。現在まで使う愛用アイアンだが、意外なことに66.98%(59位)⇒62.28%(169位)⇒68.3%(57位)だった。また「ストロークゲインド・アプローチ・ザ・グリーン」でも91位⇒118位⇒93位と、メジャーで魅せたキレッキレの印象とは違い、平均的に見ると優位性を持てていない。
原因はどこにあるのか。細かくスタッツを見ると、昨季はフェアウェイからもラフからも、どの距離でも平均を下回るピンへの寄り方だった。距離で言えば、150ヤード以下はフェアウェイもラフも順位は下位。そして、ここはケプカでいえばウェッジの距離となる。反対に、昨季良かった距離はこれより上の距離。特に175〜200ヤードは10傑に入るなど、ミドルアイアンの精度は高かった。
そして、今年はと言うと、フェアウェイからのショットは大幅に順位を改善。75〜100ヤード以外は改善を見せたものの、相変わらずラフからのショットには苦しんだデータが残っている。3年連続で順位が低いのは75〜100ヤード、125〜150ヤードのラフからのショット。ここにまだ弱点が残っていると言える。
契約フリーとなってから、ずっと『ボーケイ』シリーズを愛用してきた。今季も『ボーケイSM7』を中心に使用してきたが、左手首の怪我の影響なのか、何なのか、ラフからウェッジショットでは依然として隙があることがスタッツから紐解ける。
■ 急激に進化した今季のアプローチ技術。パットは元々上手い。
ところが、「ストロークゲインド・アラウンド・ザ・グリーン」では113位⇒102位⇒39位。去年まではツアーでも平均的だったグリーン周りの技術が、今年は急激に良くなっていた。今年の「スクランブリング」は152位⇒154位ときて、なんと今年9位に。20〜30ヤードでは66.67%(152位⇒54位⇒2位)、10〜20ヤードは70.43%(167位⇒168位⇒10位)と、グリーンを外しても寄せ切る技術を年々高めていた。
⇒【勝者のギア】クラブ契約フリーは当分続く!? 「変えたいことは何もない」ブルックス・ケプカ、ついに世界一を戴冠!
また、パッティングは元々上手い。3年間スコッティ・キャメロン『T10 Select Newport 2』を変えずにいる。「ストロークゲインド・パッティング」は19位⇒10位⇒113位と、今季は4ヶ月の怪我での離脱が最初は少し尾を引いたが、復調。
1R当たりの「平均パット」は28.81(48位)⇒28.32(12位)⇒28.69(38位)で、「パッティングアベレージ」は1.744(18位)⇒1.718(3位)⇒1.746(32位)となっている。3年間変わらず、ツアー上位のスタッツを残す距離は25フィート(7.6m)。距離が伸びるほど、入る確率は下がっていくが、ケプカはこの長い距離をねじ込む力がツアーの中でも依然として上位を保っている。
こうして3年間のケプカの進化の度合いを見てきたが、いかがだろうか。4ヶ月の怪我の離脱という奈落の底からの、世界一という頂点へ上り詰めた男・ケプカ。前代未聞のアップダウンを経て、2018年「ダンロップフェニックス」は当然のごとく3連覇を成し遂げるのか? コースと宮崎牛の美味さは知り尽くしているはず。世界一のゴルフを日本で観れるまたとないチャンス到来である。
Text/Mikiro Nagaoka