実録‐‐ヤマハゴルフ、大型契約の裏にあったもの
2017年、ヤマハゴルフが大きく動いた。 藤田寛之、谷口徹、野村敏京、大江香織という既存の契約プロに加え、大山志保、有村智恵、今平周吾、ユン・チェヨンらを獲得。 近年にない大型移籍の裏には何があったのか。 当時、ゴルフHS事業推進部マーケティンググループ グループリーダーだった吉田信樹の証言。
配信日時: 2017年2月27日 11時00分
藤田寛之、谷口徹がそろって推薦した今平周吾
「ヤマハゴルフは藤田プロ、そして谷口プロとともに歩んできましたが、その二人にツアープロとしての技術力があってブランドを担える若手プロを挙げてほしいと別々にお願いしたのです。そうしたところ2位以下は意見が違ったのですが、1位は二人ともピッタリ。それが今平プロだったのです」
2015年初夏、早速アプローチを開始。契約が1年残っているため2016年末にクラブテストを実施してもらうところまでこぎつけ、以降も吉田は事あるごとツアー会場へ足を運び、今平に熱い思いを伝えてきた。
そして、運命の2016年12月。シーズンを終えた今平とヤマハゴルフのテストが、埼玉県のゴルフ場で行われた。
「本人から他社のオファーも受けていることを聞いていたので、正直、獲得できるかドキドキでした。ですから1週間後に返事をもらった際はホッとしましたね。いや、僕よりもホッとしていたのは藤田プロや谷口プロでした。電話がかかってきたのは、葛城ゴルフ倶楽部(静岡県)で藤田プロと打ち合わせをしていたときなんですよ。契約の話を聞いたとき、藤田プロもオーッ!と喜びの声を挙げて握手を求めてきてくれたほどでしたから不思議な縁を感じずにはいられません。谷口プロにもすぐに電話したところ、大変喜んでいただきました。」
そしてもう一人、2月22日で25歳になったばかりの東北福祉大出身、弓削淳詩がヤマハゴルフの新規契約プロとして決まっている。
挫折をはねのけた挑み続ける信念
今年のヤマハゴルフは藤田、谷口、野村敏京、大山、有村、今平、ユン、大江香織を主軸に「ウイニング10プロジェクト」を組む。
「ヤマハゴルフが次のステージに立つために、強い志を持ったプロとともに年間10勝を目指すというものですね。絶対に達成できると信じています」
ここまで吉田が自信満々に言い切れるのも、男女においてトッププロが大量に加入したからこそであり、近年ではマレに見る大移動だ。
実は2016年10月1日付けで、吉田はゴルフHS事業推進部長にポジションが変わっている。メーンの勤務地も本社がある浜松(静岡県)となった。
「これを持ってプロの契約面における実務は後任の担当に引き継ぎます」
「この2年間は大変でしたか?」
「いや、そうでもないですよ」
本音だろうか。答えはノーだ。今だからいえるが2015年11月、ある選手と契約寸前までこぎつけながら、土壇場で不成立となった苦い経験が吉田にはある。この話題を避けるのであればこちらも突っ込まない予定だったが、笑いながら次のように話した。
「その件がトラウマになったのか、寝られない日もありましたね。プロに断られる夢も何回か見ました。自問自答し、とにかく後悔しないためにも2016年はこちらの熱意を訴え続けるしかなかった。現場担当や開発スタッフなどヤマハゴルフの総力で思いが通じた結果だと思っています。達成感がありますね」
選手や現契約メーカーへの配慮から、なるべくトーナメント会場では目立たない行動を心がけ、話す機会があれば常に本音をぶつける。結局、選手との契約で最後の決め手になるのは、人と人のつながりといえるのかもしれない。(了)
「ヤマハゴルフが次のステージに立つために、強い志を持ったプロとともに年間10勝を目指すというものですね。絶対に達成できると信じています」
ここまで吉田が自信満々に言い切れるのも、男女においてトッププロが大量に加入したからこそであり、近年ではマレに見る大移動だ。
実は2016年10月1日付けで、吉田はゴルフHS事業推進部長にポジションが変わっている。メーンの勤務地も本社がある浜松(静岡県)となった。
「これを持ってプロの契約面における実務は後任の担当に引き継ぎます」
「この2年間は大変でしたか?」
「いや、そうでもないですよ」
本音だろうか。答えはノーだ。今だからいえるが2015年11月、ある選手と契約寸前までこぎつけながら、土壇場で不成立となった苦い経験が吉田にはある。この話題を避けるのであればこちらも突っ込まない予定だったが、笑いながら次のように話した。
「その件がトラウマになったのか、寝られない日もありましたね。プロに断られる夢も何回か見ました。自問自答し、とにかく後悔しないためにも2016年はこちらの熱意を訴え続けるしかなかった。現場担当や開発スタッフなどヤマハゴルフの総力で思いが通じた結果だと思っています。達成感がありますね」
選手や現契約メーカーへの配慮から、なるべくトーナメント会場では目立たない行動を心がけ、話す機会があれば常に本音をぶつける。結局、選手との契約で最後の決め手になるのは、人と人のつながりといえるのかもしれない。(了)