＜LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 最終日◇1日◇宮崎CC（宮崎県）◇6535ヤード・パー72＞

賞金女王戴冠のためには最低単独2位が必要という状況のなか、トータルイーブンパー・17位タイと苦しい状況から最終日をスタートした申ジエ（韓国）。6バーディ・2ボギーの「68」と猛追を見せたが、トータル4アンダーの7位タイと届かず。日本ツアー6年目も韓国、米国に続く3カ国目のマネークイーンの座は逃した。

熱戦を演じた3人　渋野、ジエ、鈴木が笑顔のフィニッシュ【写真】

だが、このプレーで今季の平均ストロークは「69.9399」。平均ストローク60台という前人未踏の記録を達成した。この偉業にホールアウト直後は「自分の目で見るまで信じられません」と冷静なジエらしくない発言も飛び出す。「コースセッティングは年々難しくなりますし、素晴らしいプレーヤーたちがたどり着けなかった記録。今年は技術というよりもゲームの運び方、戦術がうまくなりました。自分を褒めたいと思います」と自己評価の高くない31歳も諸手を挙げて喜んだ。

ケガに泣いた1年だった。元々手首から指にかけて痛めていたことに加えて、女王争いのなか秋口には足を捻挫。この負傷も長引いた。「本当に故障は残念です。メンタルだけでなく、故障との戦いがありました。悔しいといえば悔しいですが、得たものも少なくない。これを生かすかどうかは自分次第」。女王への大きな障害となったこともポジティブに捉えている。

「まだ、これでゴルフ人生が終わるわけではありませんし、賞金女王もまだある。来年レベルアップして頑張りたい」。クラブハウスの入り口に集まった大ギャラリーに一礼をして、長くて苦しかったシーズンを締めくくった。（文・秋田義和）