松山英樹V!
ZOZO選手権の最終日ハイライト

打打打坐 第75回【いつでもマン振り、ブンブン丸へ】

打打打坐(ちょうちょうだざ)とは、打ちまくって瞑想の境地に入るという造語。コースで打たなければわからないと試打ラウンドだけで年間50ラウンド以上しているロマン派ゴルフ作家が、瞑想、妄想、迷走…… 徒然なるままにゴルフを想い、語るというお話。

2021年09月24日

ゴルフコンペは楽しい

 
秋めいてきました。
たくさんのゴルファーが、コースに溢れ出します。

一昔前までは、春と秋のハイシーズンに、どれだけゴルフコンペに誘われるかは、ゴルファーとしてのバロメーターになるという説がありました。アイツとは一緒にゴルフをしたくない、という評価をされていなければ、ゴルフコンペに誘われる数は増えていくものだったからです。

最近では、仲間としかゴルフをしないというゴルファーが増えているそうです。先輩後輩という関係よりも、同級生の絆のほうが何倍も大切だという価値観が当たり前になっている世代が、ゴルフに熱中し出しています。

オールドゴルファーの中には、上下関係がないゴルフなんて無法地帯のようで、一緒にやりたくないね、と眉をひそめる人たちもいます。でも、彼らがヤングゴルファーだった頃、仕事関係以外のゴルフをしたことがないのは当たり前でした。現在では、そんなゴルファーは少数派ですが、企業の名刺と役職が、そのままゴルファーの肩書きにもなっていた時代が長く続いていたのですから、しかたがないことだったのです。

若いゴルファーの閉鎖性は、狭い世界で完結するという意味で、オールドゴルファーにも当てはまるのです。

取引先や職場で、ゴルフ好きの人がいれば、今でも仕事関係のゴルフコンペが盛んに行われているケースはたくさんあります。それ以外でも、地域の集まりや、同窓の集まりや、別の趣味の集まりなど、ゴルフコンペの属性は無限にあるのです。

ゴルフの魅力の一つが、たくさんの人たちと一緒にプレーできることです。僕の知っている某企業の社内コンペは、同じ日に全員が会社を休むのが難しいのと、参加人数が200人を超えるので、貸し切りでも1日では終わらないことから、3日間に分けて開催しています。天候やピンの位置などのコンディションに差が出るという問題は諦めるとして、各日でドラコンやニアピンなどのアトラクションだけを現地で表彰して、順位は改めて参加者全員のスコアを集計して、社内メールなどを使って発表され、入賞者の賞品は会社で渡されるのです。

この例は極端で、一日借り切りのコンペの多くはコースが主催で、誰でも参加できるコンペをオープンコンペと呼びます。幹事が声を掛けた人だけしか参加できないコンペは、プライベートコンペです。

僕はコンペの参加者が、朝、集合している様子を眺めているのが大好きです。みんな笑顔で、ワクワク感があって、本当に楽しそうだからです。見ているこちらも幸せになります。

ドラコンは罪なヤツ

僕は自分の主催するコンペで、原則としてドラコン賞を作りません。参加者全員にチャンスがある賞ではないから、というのが理由です。もちろん、文句やクレームもあります。飛ばしが自慢のゴルファーにとって、ドラコンはコンペの華だからです。

スコアだけではなく、個別の技量を試すアトラクションは、コンペの演出として欠かせないものです。ドラコンとニアピンは、定番中の定番です。それをわかった上で、ドラコンをやらないというのは、幹事としては大冒険であり、同時に、レベル違いの幹事の腕前を披露する見せ所にもなります。

実際には、どんなに面白いアトラクションを作って、当日に参加者全員が盛り上がったとしても…… ドラコン命の人たちからは、次はドラコンも、と言われたりするのです。

ゴルフが、現在の形になっていく過程で、飛距離の魅力を取り入れたと推測されています。もし、黎明期のゴルフのように庭先や室内でもできるようなゲームのまま、飛距離を取り入れなかったら、ゴルフは生き残らなかったと思います。ゴルフにおいて、飛距離は恐ろしいほどの魅力を持っていて、歴史を重ねるほどに、その重要性は高くなっているといえます。

ある意味で、技術よりも、用具よりも、体力が最も有効な分野が飛距離です。若いゴルファーを見ていて、一番羨ましいと思うのは、ベースになっているパワーで、一般的なスポーツのように、飛距離争いになると、若さは強烈な武器になるのです。

オールドゴルファーが注意しなければならないNGワードがあります。

「若い頃は、もっと飛んでさ……」

という昔話的な自慢は、聞き手にとっては、リアクションも取りづらく、どうでも良い話の五本指に入るそうです。若い頃にモテモテだったという自慢と同じぐらいカッコ悪く見える、とも聞きますので、該当する人は、グッと飲み込んで注意をしましょう。

どんなに飛んでも、ゴルフは上がってナンボ、だと心の中で自らを慰めながら、奮起できるのもゴルフの魅力で、オールドゴルファーの特権です。

ドラコン命で、飛距離の虜になりすぎると、ゴルフが疎かになってしまうケースもあります。僕が自分のコンペでドラコンをやらないのは、そういう人のリハビリになるかもしれないと思うところもあります。いずれにしても、ドラコンは罪なヤツです。

マン振りの美学

昭和の頃の話ですが、月一開催という熱心なゴルファーの集まりのメンバーで、ブンブン丸というあだ名の先輩がいました。とにかくドライバーが大好きで、スタートホールのティーで素振りしている音が、練習グリーンまで聞こえるという伝説が、あだ名の由来でした。ヘッドスピードを計測したときに56m/sでしたので、かなり遠くでも素振りの音が聞こえたのは事実です。

練習場では、人が集まるぐらいにボールが飛びましたが、コースに出ると、年に1回ぐらい納得のスーパーショットが出るのがブンブン丸さんのゴルフでした。一緒に回ったときに340ヤードのストレートなホールで、グリーンを越えてOBだったことがありました。OBだったことに落胆をしていましたが、それ以上に飛距離が出たことが嬉しくて、その後、20年ぐらいは、会うたびに、そのショットの話になったものです。

ブンブン丸さんは、ドライバーしか練習しないし、興味もなかったので、他のクラブは全て仲間のお古で、かつ、アイアンの番手が欠けていました。ショットは、それでも、そこそこ打てるので、調子が良ければ百を切るぐらいのゴルフをしていました。

全力でクラブを振ることをマン振りといいます。全てを出し切ったショットは、結果としてミスになっても、納得できるもので、後悔はしないそうです。この手の話を聞くたびに、ブンブン丸さんを思いだします。

ドラコン命のゴルファーを見ていると、極めれば全て道となるのだと、感心することがあります。確率を考えれば、もしくは、スコアを考えれば、一時的な快楽のために無茶をするのは愚かなことだとわかります。それでも、やめられない。頭では理解しても、心が叫ぶのです(たぶん)。苦悩しながらも、笑顔でマン振りを続ける姿勢に美学を感じることすらありました。

ブンブン丸さんが、手にしていたのは木製のパーシモンヘッドに、スチールシャフトのドライバーでした。あの頃のドライバーは、技術がなくては上手く打てない本当に難しい用具だったのです。2021年秋。ゴルフ史上、最も簡単で、最も飛ぶドライバーが市場に並んでいます。今日もどこかで、たくさんのブンブン丸たちが、ドラコンを狙ってゴルフをしているはずです。

昔のほうが美学があったとか言い出せばキリがありませんし、嫌われそうなのでやめておきますが……
あのドライバーを買えば、絶対に今よりも飛ぶようになるという心の声に負けそうになる秋が過ぎて行くのです。

【著者紹介】篠原嗣典

ロマン派ゴルフ作家・ゴルフギアライター。ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、現在はゴルフエッセイストとして活躍中。
 
 

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