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打打打坐 第66回【命懸けの夏ゴルフはダメ】

打打打坐(ちょうちょうだざ)とは、打ちまくって瞑想の境地に入るという造語。コースで打たなければわからないと試打ラウンドだけで年間50ラウンド以上しているロマン派ゴルフ作家が、瞑想、妄想、迷走…… 徒然なるままにゴルフを想い、語るというお話。

2021年07月23日

猛暑でもゴルフは楽しいけれど

 
前回、少しだけ真夏ゴルフも準備で乗り越える楽しさがあると書きました。少し無責任なのでは? と、大先輩から注意をされました。確かに、そういう部分があったと反省しつつ、今回のテーマも真夏ゴルフです。

最高気温が35度を超える日もあるのが、近年の夏では当たり前になりました。こういう中で、東京オリンピックは開催されますので、気温を理由にゴルフをしないというのは邪道だという考え方がある反面、7月と8月はゴルフはお休みと決めている人もいます。ゴルファーは十人十色。どちらも正解なのだと思います。

幼い頃から真夏の炎天下の中、屋外で遊び回っていて、耐性がありましたから、若い頃は汗だくになる夏ゴルフが大好きでした。だから、夏ゴルフ独特の面白さや特別な楽しさは、よくわかっています。

40代で大病をして、ゴルフコースではありませんが、熱中症で倒れたりもして、夏ゴルフにはドクターストップがかかりました。

「命をかけてまで、ゴルフをする意味なんてないでしょう。夏はゴルフをやめてください」

と主治医に言われて、

「ゴルフが出来なければ、生きている意味はありません」

と真剣な目で訴えました。主治医は、僕の尋常ではない目を見て、死んでもしりませんからね、と小さな声で言ったのです。

20代の頃、コースでゴルフをしながら死ねたら本望だと本気で思っていましたが、実際にそういうことがあったときに、どれだけの人たちに迷惑をかけるかを知ってからは、ゴルフを愛している者は絶対にコースで死んでは駄目だ、と考え方を変えました。主治医にはムキになって強く言いましたが、実際には、注意されてからは、普通の夏ゴルフを僕はしていません。

少しでも体調に異変を感じたら、プレーをやめてカートの運転手をしながら、休憩しながらクールダウンするようにしています。プレーしなくとも、真夏のゴルフコースは見ているだけでも楽しめるので、本人としては苦痛だったり、我慢をしている感覚は一切ありません。

しかし、それは特別で、一般的には、せっかくのゴルフだからと無理をするものなのです。ゴルフコースが、熱中症で倒れたゴルファーのために救急車を呼ぶことは、最近では、珍しくなくなっています。

単なる夏ゴルフが懐かしい

同世代が集まると、よく話題になるのですが、小学校の頃の夏休みの宿題で、毎日の天候と最高気温を書いて提出課題があったのです。夏休み期間の一ヶ月と少しの期間でしたが、記憶を辿ると、30度を超える日は多い年でも片手で数えられました。つまり、1970年代の東京は、今よりも夏は過ごしやすかったのです。

高校、大学と、僕らの頃の学生ゴルフは、男子は担ぎでのプレーがマストでしたし、合宿などでは、担いで、ときには、走ったりもして、一日に2ラウンドしましたが、ほとんどの学生ゴルファーはピンピンしていました。体力もありましたが、現在ほど、厳しい夏ではなかったから無事だったのだと思います。

ちなみに、僕は30代後半まで、中高のゴルフ部のコーチとして、夏合宿は部員と一緒に担いでプレーしましたが、へっちゃらでスイスイとプレーして、正直な話、部員よりも自分のほうが余裕があるほどでした。夏に、いわゆる真夏が多くなり、猛暑になったのは、本当に近年のことのようです。

「猛暑の中でゴルフをして、終わったあとの冷たいシャワーやアイスを食べる快感って、やめられないですよね」

若いゴルファーが、目をキラキラさせて同意を求めてきたので、羨ましい気持ちを隠しつつ、同意しました。それから僕は、ゆっくりと、彼に話をしました。

「ゴルフは突き詰めれば、単なるゲームに過ぎず、命懸けでやるものではありません。安全でないゴルフは、ゴルフではない、と、かつて、エチケットにも書かれていました」

厳しい暑さの中のゴルフを一緒に乗り越えたゴルファー同士は、見えない絆で結ばれます。これも真夏ゴルフの面白さの一つなのです。スコアが悪くとも、その無念を吹き飛ばすほどの達成感がある真夏ゴルフもあります。いずれも、素晴らしい体験ですが、命をかけて挑戦するのは間違いなのです。

安全第一。無事に家に帰るまでが、ゴルフであることを理解してこそ、ゴルフをする資格があると考えるのは絶対条件です。

ゴルファーの真夏のプライド

何度か紹介をしていますが、僕は、昨年から夏場は原則として、早朝のスタートでゴルフをしています。涼しい内に、スルーで一気にプレーしてしまうというわけです。どこのコースでも出来るわけではありませんが、真夏ゴルフをやり過ごすという意味で、最高の裏技だと気に入っています。

少し困るのは、早朝ではなく、真夜中に家を出なければならないことと、普通なら朝食の時間にランチタイムになってしまうことですが、そんな不満は贅沢だと戒めています。

夏は早朝ゴルフだと決めてしまう前は、プレーできてもハーフがやっとで、酷く暑い日だと、数ホールでリタイヤして、ほとんどのホールをカートの運転手になっていました。ちなみに、それでも普通に料金は支払います。こちらの事情でプレーをやめる場合は、ラウンドの料金を支払うのが決まりでもあり、常識でもあるからです。

昨年と今年は、夏ゴルフでリタイヤすることはほぼゼロになりました。夢のようです。

数年前ですが、知人が真夏のゴルフコースで熱中症で倒れて、救急車で搬送されました。彼の場合、意識が戻ったのは数時間後の病院のベッドの上で、彼の車に同乗してコースに来ていた仲間がどうやって帰京したのか? 自分のゴルフバッグやロッカー内の荷物、貴重品などはどうなったのか? ベッドの上で真っ青になったそうです。

翌日、退院し、コースに戻って、心配していたことは全てコースの手配で、スムーズに処理されていたことを知って、ゴルフコースで倒れることの怖さを改めて考えたと猛省していました。

早起きするのは嫌なので、真夏でも普通のスタートでゴルフをするのは自由です。汗だくで、必死にプレーする真夏ゴルフも間違いなくゴルフで、その日にしか出来ない体験があります。普通の真夏ゴルフを否定しませんが、危険を無視して無理をすることは絶対にダメです。

僕は、早朝ゴルフでも、油断せずに夏ゴルフの装備を持って、プレーするようにしています。氷で冷えた麦茶が入った水筒、冷感スプレー、扇風機、氷嚢、その他、諸々…… 備えあれば憂いなし、です。

その装備の中には、見えないですが、少しでも危険があったら無理をしないという覚悟が入っています。それは負けでも、情けないことでもなく、ゴルファーとしての真夏のプライドなのです。

【著者紹介】篠原嗣典

ロマン派ゴルフ作家・ゴルフギアライター。ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、現在はゴルフエッセイストとして活躍中。
 
 

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