打打打坐 第53回【コロナ禍のゴルフも1年が過ぎ】
打打打坐(ちょうちょうだざ)とは、打ちまくって瞑想の境地に入るという造語。コースで打たなければわからないと試打ラウンドだけで年間50ラウンド以上しているロマン派ゴルフ作家が、瞑想、妄想、迷走…… 徒然なるままにゴルフを想い、語るというお話。
配信日時: 2021年4月23日 06時00分
自粛ゴルファー100万人以上
2020年の年明け早々。中国の武漢で新しい感染症が広まっていると報道されましたが、そのときには、外国で起きていることで、自分たちの生活に影響する危機感を持った人は少なかったような気がします。
驚異的な感染力の新型コロナウィルスは、後手後手になる甘い対策をあざ笑うように、日本国内でも広がっていきました。WHOがパンディミックになっていると表明したのは3月11日。日本の政府が、外出を控えるようにお願いをした緊急事態宣言を発出したのは4月7日。それは、5月25日まで続きました。
あれから1年が経ちました。
人との接触をしなければ、新型コロナウィルスには感染しませんが、それをゼロに出来る人はほんの一握りしか存在しません。ワクチン接種が始まったとはいえ、実際に全国民に行き渡るのは、更に1年後という予測もあります。最初の非常事態宣言の1日目の東京の感染者は87人でした。1年後の現在では、1日三桁は当たり前です。四桁になったこともありました。感染者を二桁の人数にすることは、悲願の目標のようになっています。
2回目の非常事態宣言を経て、東京は2021年のゴールデンウィークから3回目の非常事態宣言に突入するようです。
そんな中で、色々なゴルフ関係の統計データが出てきています。日本国内で、新型コロナウィルスの感染リスクが理由で、ゴルフを自粛している人の推定値が出てきました。150万人というものもあれば、120万人というものもあります。まあ、アバウトで最低でも100万人以上が、ゴルフの自粛を続けているというのです。
「そんなにいるんだ?」と不思議に思いました。僕が通っているコースは、春になって、毎週末の予約は満員御礼を連発しています。今年は、例年よりも早い時期から満員になりました。
統計上、1年に1回以上ゴルフコースに行く人をゴルフをしている人とカウントしています。元々、年1回しかゴルフに行かない人にとって、自粛は簡単です。本人のストレスも最小限で、業界全体としても数字にほとんど影響はしません。今回のゴルフ自粛中の100万人以上は、そういう人が多いのではないかと考えています。1年に1回という七夕の逢瀬のようなゴルフは、個人的にはゴルフをしているという数字にカウントしないで良いと、コロナ禍以前から考えていました。
希望的な見解ですが、自粛し続けている熱心なゴルファーは今はもういない、と信じています。ゴルフにおいて、やせ我慢という美学は不可欠な要素ですが、1年も我慢する意味はありません。少し自分で考えることが出来る人であれば、感染対策をしっかりした上で行えば、ゴルフはトップレベルに安全なレジャーであることが、この1年で証明されていると理解できるからです。
個人的な感想ですが、僕の周囲だけを見渡せば、過去10年で、直近の半年は最もゴルフコースに活気があります。
驚異的な感染力の新型コロナウィルスは、後手後手になる甘い対策をあざ笑うように、日本国内でも広がっていきました。WHOがパンディミックになっていると表明したのは3月11日。日本の政府が、外出を控えるようにお願いをした緊急事態宣言を発出したのは4月7日。それは、5月25日まで続きました。
あれから1年が経ちました。
人との接触をしなければ、新型コロナウィルスには感染しませんが、それをゼロに出来る人はほんの一握りしか存在しません。ワクチン接種が始まったとはいえ、実際に全国民に行き渡るのは、更に1年後という予測もあります。最初の非常事態宣言の1日目の東京の感染者は87人でした。1年後の現在では、1日三桁は当たり前です。四桁になったこともありました。感染者を二桁の人数にすることは、悲願の目標のようになっています。
2回目の非常事態宣言を経て、東京は2021年のゴールデンウィークから3回目の非常事態宣言に突入するようです。
そんな中で、色々なゴルフ関係の統計データが出てきています。日本国内で、新型コロナウィルスの感染リスクが理由で、ゴルフを自粛している人の推定値が出てきました。150万人というものもあれば、120万人というものもあります。まあ、アバウトで最低でも100万人以上が、ゴルフの自粛を続けているというのです。
「そんなにいるんだ?」と不思議に思いました。僕が通っているコースは、春になって、毎週末の予約は満員御礼を連発しています。今年は、例年よりも早い時期から満員になりました。
統計上、1年に1回以上ゴルフコースに行く人をゴルフをしている人とカウントしています。元々、年1回しかゴルフに行かない人にとって、自粛は簡単です。本人のストレスも最小限で、業界全体としても数字にほとんど影響はしません。今回のゴルフ自粛中の100万人以上は、そういう人が多いのではないかと考えています。1年に1回という七夕の逢瀬のようなゴルフは、個人的にはゴルフをしているという数字にカウントしないで良いと、コロナ禍以前から考えていました。
希望的な見解ですが、自粛し続けている熱心なゴルファーは今はもういない、と信じています。ゴルフにおいて、やせ我慢という美学は不可欠な要素ですが、1年も我慢する意味はありません。少し自分で考えることが出来る人であれば、感染対策をしっかりした上で行えば、ゴルフはトップレベルに安全なレジャーであることが、この1年で証明されていると理解できるからです。
個人的な感想ですが、僕の周囲だけを見渡せば、過去10年で、直近の半年は最もゴルフコースに活気があります。
アメリカがくしゃみをすると
アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく、と言われます。
新型コロナウィルスの流行で、日本よりも深刻な状態になっているアメリカでさえ、この1年でゴルファー人口が20代、30代を中心として増えています。令和になった日本で、昭和の頃のようにアメリカで流行ったものは日本でも大ヒットするという安易な話をするつもりはありません。面白いことに、アメリカでゴルファーが増えた影響で、日本で色々なゴルフ用品が不足しているのです。
アメリカのメーカーのボールが、日本での発売日を延期したり、クラブも発売直後なのに欠品が続いたり、異常な事態が連発しています。コロナ禍で流通に問題があった、と説明されていますが、実際はアメリカ国内の需要を優先している結果なのです。日本のメーカーのボールも、アメリカ国内の分は、アメリカの工場で製造していますが、それだけでは足りないので、日本の工場からも輸出しているそうです。
アメリカのコロナ禍でのゴルフブームは、ホンモノです。
日本では、この1年、良い兆候はあるもののゴルフブームというほどのボリュームでゴルファーは増えているとは思えません。
1年前。非常事態宣言のど真ん中で、予定していたゴルフコンペが次々に延期や中止になりました。延期されたコンペで、秋に開催されたものは一つだけでした。1年前は、ワンシーズン我慢すれば、どうにかなるという楽観的な空気がありました。秋になって、新型コロナウィルスとの付き合いは年単位になりそうだと多くの人が覚悟をしました。同時に、どうやらゴルフは安全性が高いらしいと理解したゴルファーは、ゴルフの自粛を解除したのです。
それでも、個別のゴルフは安全でも、ゴルフコンペは、ちょっとマズいかなぁ、密接になるシーンもあるだろうし、というような懸念があって、ゴルフコンペは自粛する傾向があったと思います。
ゴルフコンペも、ちゃんと感染予防すれば、大丈夫みたいだねぇ、という空気になってきたのは、最近のことです。
新型コロナウィルスの流行で、日本よりも深刻な状態になっているアメリカでさえ、この1年でゴルファー人口が20代、30代を中心として増えています。令和になった日本で、昭和の頃のようにアメリカで流行ったものは日本でも大ヒットするという安易な話をするつもりはありません。面白いことに、アメリカでゴルファーが増えた影響で、日本で色々なゴルフ用品が不足しているのです。
アメリカのメーカーのボールが、日本での発売日を延期したり、クラブも発売直後なのに欠品が続いたり、異常な事態が連発しています。コロナ禍で流通に問題があった、と説明されていますが、実際はアメリカ国内の需要を優先している結果なのです。日本のメーカーのボールも、アメリカ国内の分は、アメリカの工場で製造していますが、それだけでは足りないので、日本の工場からも輸出しているそうです。
アメリカのコロナ禍でのゴルフブームは、ホンモノです。
日本では、この1年、良い兆候はあるもののゴルフブームというほどのボリュームでゴルファーは増えているとは思えません。
1年前。非常事態宣言のど真ん中で、予定していたゴルフコンペが次々に延期や中止になりました。延期されたコンペで、秋に開催されたものは一つだけでした。1年前は、ワンシーズン我慢すれば、どうにかなるという楽観的な空気がありました。秋になって、新型コロナウィルスとの付き合いは年単位になりそうだと多くの人が覚悟をしました。同時に、どうやらゴルフは安全性が高いらしいと理解したゴルファーは、ゴルフの自粛を解除したのです。
それでも、個別のゴルフは安全でも、ゴルフコンペは、ちょっとマズいかなぁ、密接になるシーンもあるだろうし、というような懸念があって、ゴルフコンペは自粛する傾向があったと思います。
ゴルフコンペも、ちゃんと感染予防すれば、大丈夫みたいだねぇ、という空気になってきたのは、最近のことです。
ゴルフブーム到来の予感と不安
2021年4月。日本のゴルファーを狂喜乱舞させる快挙がありました。松山英樹プロのマスターズ優勝です。
その翌週、練習場に凄い人数が押し寄せている、という情報がSNSでたくさん流れました。僕の周辺でも、ゴルフをやめていた知り合いから、松山プロのマスターズ優勝で、ゴルフを再開しようと思うのだが、何からしようか? という相談が複数ありました。
コロナ禍で、誰もが生活する上で、たくさんの我慢をしています。
ゴルフの再開を考えた経緯を聞いて、納得しました。広々としたゴルフコース。緑の芝生。無邪気にクラブを振り回して、ボールの行方に一喜一憂するというシーンを思い浮かべると、『今こそ、ゴルフだ!』というキラキラした閃きがあったというのです。我慢しないで、思いっ切り楽しめる空間があるなら、新型コロナウィルスとの戦いも、もう少し前向きに考えられるかもしれない、と、ごく自然に思えたそうです。
昨年から延期をしていたゴルフコンペも、5月に再開が決定しました。何度も紹介していますが、若い人たちがゴルフコースに続々と来ています。この傾向は、当分は続くのだと思います。
日本にもゴルフブームが来るかもしれません。それは、ロマン派ゴルフ作家としては嬉しいことです。一人でも多くの人とゴルフの面白さを共感したくて、書くゴルフを生業としているからです。
ワクワクしつつ、朧気な不安もあります。実は、この10年は、自分がゴルフをする環境として、理想的な時空を堪能してきたからです。
僕は、昭和の終わりから平成にかけてのバブル経済下のゴルフブームを経験しています。
良いこともたくさんありましたが、今と比較して、地獄のようなことが、いくつもあったのです。ゴルフブームになって、あの頃に経験したブームだから発生してしまう嫌な思いを再び経験するのは勘弁して欲しいです。
取らぬ狸の皮算用。ゴルフブームが来たほうが、トータルで考えれば良いことが多いはずです。ゴルフブームという大きな流れは、誰が作れるものではなく、神様のシナリオです。神様に与えたれた役があれば、精一杯演じきるだけです。
新型コロナウィルスと戦いながら、ゴルフをしてきた1年を振り返って、貴重な経験が出来たと感謝しています。ゴルフコースでは、旗竿の扱いなどや、スループレーの奨励など、コロナの影響で変わったこともあります。一人ゴルフが出来るようになったり、4人フルに揃えないことを奨励することもあったり、コロナ以前のゴルフしか知らない人は浦島太郎状態になること間違いなしです。
松山英樹プロが、この後のメジャーでも活躍し、東京五輪で金メダルを獲得すれば、ブームは確実に加速すると予測されています。応援しつつ、来たるべきその時に備えたいと思います。
その翌週、練習場に凄い人数が押し寄せている、という情報がSNSでたくさん流れました。僕の周辺でも、ゴルフをやめていた知り合いから、松山プロのマスターズ優勝で、ゴルフを再開しようと思うのだが、何からしようか? という相談が複数ありました。
コロナ禍で、誰もが生活する上で、たくさんの我慢をしています。
ゴルフの再開を考えた経緯を聞いて、納得しました。広々としたゴルフコース。緑の芝生。無邪気にクラブを振り回して、ボールの行方に一喜一憂するというシーンを思い浮かべると、『今こそ、ゴルフだ!』というキラキラした閃きがあったというのです。我慢しないで、思いっ切り楽しめる空間があるなら、新型コロナウィルスとの戦いも、もう少し前向きに考えられるかもしれない、と、ごく自然に思えたそうです。
昨年から延期をしていたゴルフコンペも、5月に再開が決定しました。何度も紹介していますが、若い人たちがゴルフコースに続々と来ています。この傾向は、当分は続くのだと思います。
日本にもゴルフブームが来るかもしれません。それは、ロマン派ゴルフ作家としては嬉しいことです。一人でも多くの人とゴルフの面白さを共感したくて、書くゴルフを生業としているからです。
ワクワクしつつ、朧気な不安もあります。実は、この10年は、自分がゴルフをする環境として、理想的な時空を堪能してきたからです。
僕は、昭和の終わりから平成にかけてのバブル経済下のゴルフブームを経験しています。
良いこともたくさんありましたが、今と比較して、地獄のようなことが、いくつもあったのです。ゴルフブームになって、あの頃に経験したブームだから発生してしまう嫌な思いを再び経験するのは勘弁して欲しいです。
取らぬ狸の皮算用。ゴルフブームが来たほうが、トータルで考えれば良いことが多いはずです。ゴルフブームという大きな流れは、誰が作れるものではなく、神様のシナリオです。神様に与えたれた役があれば、精一杯演じきるだけです。
新型コロナウィルスと戦いながら、ゴルフをしてきた1年を振り返って、貴重な経験が出来たと感謝しています。ゴルフコースでは、旗竿の扱いなどや、スループレーの奨励など、コロナの影響で変わったこともあります。一人ゴルフが出来るようになったり、4人フルに揃えないことを奨励することもあったり、コロナ以前のゴルフしか知らない人は浦島太郎状態になること間違いなしです。
松山英樹プロが、この後のメジャーでも活躍し、東京五輪で金メダルを獲得すれば、ブームは確実に加速すると予測されています。応援しつつ、来たるべきその時に備えたいと思います。
【著者紹介】篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家・ゴルフギアライター。ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、現在はゴルフエッセイストとして活躍中。