「無限」の超精密加工によって実現した、ルール限界のフルミルドウェッジ
モータースポーツの世界で存在感を見せる「無限 MUGEN」とコラボしたフルミルドウェッジが、ブリヂストンから発売される。溝ルールの限界を追求した超精密加工のフルミルドウェッジの真価とは。(text by Kazuhiro Koyama photo by GettyImages)
配信日時: 2021年6月1日 03時00分
溝設計を1/1000mm台まで追求
6月18日にブリヂストンから発売になる『B-Limited BRMフルミルド』ウェッジ(※以下 BRMフルミルド)。2015年から同社とコラボしている「無限 MUGEN」(株式会社M-TEC)の技術によって、その名の通りフルミルドで作られたモデルだ。
モータースポーツに詳しい人でなくても「無限」という名を知っている人は多いだろう。現在もレーシングカーやバイクの領域で存在感を発揮する「無限」は、限界走行で性能を発揮するパーツを生み出す精密な加工技術を持っている。
2015年に初めてのコラボウェッジ、『TOUR LIMITED無限』を発売。2018年には「BITING BUKO MILLED」と名付けられた新形状の溝を搭載した『TOUR B XW-B』ウェッジが登場し、現在もこれらの「無限」の名を冠したウェッジを多くの契約プロが使用している。
モータースポーツに詳しい人でなくても「無限」という名を知っている人は多いだろう。現在もレーシングカーやバイクの領域で存在感を発揮する「無限」は、限界走行で性能を発揮するパーツを生み出す精密な加工技術を持っている。
2015年に初めてのコラボウェッジ、『TOUR LIMITED無限』を発売。2018年には「BITING BUKO MILLED」と名付けられた新形状の溝を搭載した『TOUR B XW-B』ウェッジが登場し、現在もこれらの「無限」の名を冠したウェッジを多くの契約プロが使用している。
よく知られているように、市場におけるウェッジは大きく分けて、鋳造と鍛造の2種類の製法で作られている。それぞれに特徴とメリットがあるが、最後に手作業によって形状が仕上げられることもあり、微細な加工には限界があること、製品のばらつきがどうしても出てしまうという問題がある。
『BRMフルミルド』は、鍛造された軟鉄ヘッドを「無限」の精密機械加工によって、ヘッド全面を削り出して成型する。「フルミルド」とはこの製法のことを指すのだ。前作の『TOUR B XW-B』までは、フェースとバックフェースまでだったが、今回はソールまで機械加工の範囲を拡大して、ソールの形状精度も大きく向上している。この機械加工の工程によって、一般的な鋳造や鍛造製法では実現できない高精度な製品を作ることが可能になった。
『BRMフルミルド』は、鍛造された軟鉄ヘッドを「無限」の精密機械加工によって、ヘッド全面を削り出して成型する。「フルミルド」とはこの製法のことを指すのだ。前作の『TOUR B XW-B』までは、フェースとバックフェースまでだったが、今回はソールまで機械加工の範囲を拡大して、ソールの形状精度も大きく向上している。この機械加工の工程によって、一般的な鋳造や鍛造製法では実現できない高精度な製品を作ることが可能になった。
どのくらいの精度があるのか、例を挙げよう。
現在、ウェッジの溝のルールは、フェースの溝幅が0.035インチ以下でなければならないと決められている。これは約0.9mmと言われているのだが、正確には0.889mmだ。したがって、0.9mmでは違反になってしまうが、0.8mmではルール限界まで近づけたとはいえない。『BRMフルミルド』は、フェース面の溝設計値を0.889mmのギリギリまで、1/1000mm台まで追求した。
さらに溝と溝のあいだに、μ(ミクロン)レベルの微細な凹凸をミーリング加工で施している。これは前作の『TOUR B XW-B』でも搭載されているが、ミーリングの角度をさらに尖った角度にして、ボールとフェースがより噛みつくようになった。これらの加工はもちろん「無限」の精密機械加工だからこそ実現できるものだ。特殊なエンドミル(切削工具)を用いることで、ミーリング断面を微細に削り出している。
現在、ウェッジの溝のルールは、フェースの溝幅が0.035インチ以下でなければならないと決められている。これは約0.9mmと言われているのだが、正確には0.889mmだ。したがって、0.9mmでは違反になってしまうが、0.8mmではルール限界まで近づけたとはいえない。『BRMフルミルド』は、フェース面の溝設計値を0.889mmのギリギリまで、1/1000mm台まで追求した。
さらに溝と溝のあいだに、μ(ミクロン)レベルの微細な凹凸をミーリング加工で施している。これは前作の『TOUR B XW-B』でも搭載されているが、ミーリングの角度をさらに尖った角度にして、ボールとフェースがより噛みつくようになった。これらの加工はもちろん「無限」の精密機械加工だからこそ実現できるものだ。特殊なエンドミル(切削工具)を用いることで、ミーリング断面を微細に削り出している。
当初、ブリヂストンの開発スタッフが『BRMフルミルド』の設計コンセプトを「無限」に提案したところ、「そこまでの精度はレーシングカーでも求められていない」と回答されたという。その後、両社で精度を求めるやり取りが続き、晴れてこのルールで許されている限界を追求した、高精度フルミルドウェッジが誕生したのだ。