【記者の目】スリクソン『Z85』シリーズ発表。「ゼロから見直した」1Wの芯が広すぎる件。『XXIO』を上回る!?
【記者の目】スリクソン『Z85』シリーズ発表。「ゼロから見直した」1Wの芯が広すぎる件。『XXIO』を上回る!?
配信日時: 2018年7月12日 12時37分
12日、都内でダンロップの新製品発表兼展示会が行われ、New『スリクソンZシリーズ』が正式にリリースされた。ドライバー2機種、FW、UT、アイアン型UT、アイアン2機種が9月22日に発売される。
新ドライバーのキャッチコピーは「ZERO SRIXON」。「Z585/Z785ドライバーは、従来のスリクソンドライバー設計の理念を一新しました」と語るとおり、ゼロから設計を見直して作られた。そのキーテクノロジーと変化したポイントを見てみよう。
⇒松山英樹は使えるのか!?『Z785』ドライバーのマニアックな性能予想
■XXIOも真っ青!?「進化した第3世代のカップフェース」■
「ヘッド全体がたわみやすく、強い反発力を生み出す【カップフェース構造】が、さらに進化しました。『XXIO X』にも使用されている【高強度、軽比重のSuper-TIX51AFチタン製の第3世代カップフェース】を採用したことでフェース中央部、周辺部の更なる薄肉化に成功。高初速で驚異の飛びを実現します。またフェース全体の反発係数0.80以上の反発エリアも176%に拡大し、明らかに進化した飛びと寛容性を体感いただけます」(ダンロップ広報)
実際に弾道計測器を見ながら打ってみても、この高初速エリアの広さは筆者でも十二分に体感できた。打点やフェースのブレが非常に大きな筆者が何球打ってもほぼ曲がりなしの同じ弾道、ビッグキャリーが打てた。
この辺りは「海外ブランドよりフェース面積がはるかに広い上、進化したカップフェースですから」と、同社の開発陣も胸を張っていた。確かに、ほぼ全ての大手メーカーの新作を試しているが、「もしや『XXIO X』をエリアの広さで上回ったのでは?」と思うほど、スイートエリアの広さを感じた。他のアスリートモデルと比べても打点ブレへの強さが際立っていると感じる。
■スリクソン初のカーボン複合でも打球音がいい■
「余剰重量を生み出し、ヘッドの最適重量配分を可能にする【ライトウェイトカーボン】をクラウンに採用。3グラムの余剰重量をヘッドの周囲に配置することで上下左右の慣性モーメントが高まり、打球の直進性が向上しました。ミスに強く安定してフェアウェイをとらえます。また、ヘッドに内蔵したサウンドリブにより、打球音を高くチューニング。カーボンクラウン独特の短い残響音と相まって、耳で感じるナイスショットを実現します」(同)
室内試打のため、打球音が増幅された可能性もあるが、ダンロップの言い分どおりだった。カーボン複合にありがちなこもった音ではなく、弾き感と締まった部分を両立したなんともいい音。そして、【慣性モーメントの拡大】に関しても、特に『Z585』のブレない挙動が特に印象的。こちらは高初速のエリアの広さもあって、PING『G400』にも勝るとも劣らないヘッドの安定感を感じた。
『Z785』は『Z585』より操作性がいいものの、「旧作のやさしい方の『Z565』を上回る慣性モーメント」との言い分もしっかり体感できた。球を曲げて操りたい人にとっては、『Z785』でも直進性が高すぎる可能性すら感じるのは気の所為だろうか…。
■最も変わったのはヘッド形状。
「異なる弾道イメージをデザインしたフォルムで、従来とは激変しています。『Z585』はつかまり感があり、自然とハイドロー弾道をイメージできるアップライト形状。クラウンバックの高さを低くすることで、低重心でボールが上がりやすいイメージ。『Z785』はクラウンバックの頂点をセンターに。高い操作性を想起させる形状で、自然なヘッドターンをもたらすニュートラルなヘッドデザインです」(同)
構えると、どちらも据わりが抜群。ヘッドを置くと地面にピタッと吸い付くようにアドレスが決まる。この辺りはシャローバックでヘッドのヒール後方が地面に近く見える影響かもしれない。(特に『Z585』)フェース向きがビシッとはっきりしてアドレスが決まるため、迷いなく打てて方向性が良くなる可能性も感じる。
また、「シャフトの挿入アングルも従来は左から入っていましたが、今作は真っすぐ。『Z585』は1.5°、『Z785』は3°オープンのフェース角です」とは言うが、どちらも筆者の目(利き目は左)には完全スクエアに見えた。こう書くとスライサーは不安に感じるかもしれないが、両方ともつかまりは良好で(特に『Z585』)、よく泣かされる右へのすっぽ抜けは皆無だった。
■純正『Miyazaki Mahana(マハナ)』の特性は?■
「手元と先がしっかり、中間部に適度なしなりを持たせることで、振りやすく感じる50グラム台の軽量シャフト『Miyazaki Mahana』をメインシャフトとしてラインアップ。挙動の安定性と走り感を両立し、大きな飛びと安定した方向性を実現します。よりヘッドスピードの速い方や、シャフトにこだわりを求める方にはカスタムシャフトとして「Miyazaki MIZU/KIRI/KORI」の3ラインアップを、計18種類ご用意しており、ライトユーザーからコアユーザーまで、幅広いニーズに対応します」(同)
『Z585』は接着式ヘッドで『Miyazaki Mahana』を標準採用(価格は63,000円+税)。このクセのないシャフトが扱いやすく、滑らかなしなりとしなり戻りでミスを吸収してくれると感じるし、万人受けしやすい仕上がりに感じる。また、可変スリーブ付きの『Z785』は『Miyazaki Mahana』の他に『MIZU』ほかも選べて、こちらは68,000円+税。
また、1万円+すれば豊富なカスタムシャフトが選べる。三菱ケミカル『Diamana DF』、『KURO KAGE XD』、フジクラ『Speeder Evolution V』、グラファイトデザイン『TOUR AD VR』、シャフトラボ『The ATTAS』と前作よりも選択肢が増えている。
■一番肝心な飛距離性能は?■
あくまで短時間の室内の弾道計測の結果でしかないが、【ゼロからドライバー設計を見直せ】との号令で設計されただけのことはある。前作でスピン不足で上がらなかったり、つかまりがイマイチだったという人は、間違いなく飛距離を伸ばせそう。高打ち出し・やや低スピンの適正弾道が誰にでも打ちやすく、つかまりも良好。
既に男女ツアーでも使用プロが続々と増えており、香妻陣一朗や勝みなみ他「飛距離が伸びた」とスイッチ。ただし、「秋吉翔太プロほか、フェードが持ち球の選手の一部にはつかまりが良すぎるとの声もあります」とのこと。ただし、今回はプロの声に左右される必要はないと感じる。本当に救うべきターゲットをアマチュアゴルファーに据えたと感じるからだ。
何より、今作で一番大きいのは、その高初速エリアの広さ。ゴルフクラブの金字塔を打ち立てたアベレージモデル『XXIO』に勝るとも劣らないミス許容性を持つと感じるのは筆者だけではないと思う。正直に言えば、「ここまでの性能なのに、この値段で出していいの?」とすら、思ってしまうほどの出来だった。
Text/Mikiro Nagaoka
新ドライバーのキャッチコピーは「ZERO SRIXON」。「Z585/Z785ドライバーは、従来のスリクソンドライバー設計の理念を一新しました」と語るとおり、ゼロから設計を見直して作られた。そのキーテクノロジーと変化したポイントを見てみよう。
⇒松山英樹は使えるのか!?『Z785』ドライバーのマニアックな性能予想
■XXIOも真っ青!?「進化した第3世代のカップフェース」■
「ヘッド全体がたわみやすく、強い反発力を生み出す【カップフェース構造】が、さらに進化しました。『XXIO X』にも使用されている【高強度、軽比重のSuper-TIX51AFチタン製の第3世代カップフェース】を採用したことでフェース中央部、周辺部の更なる薄肉化に成功。高初速で驚異の飛びを実現します。またフェース全体の反発係数0.80以上の反発エリアも176%に拡大し、明らかに進化した飛びと寛容性を体感いただけます」(ダンロップ広報)
実際に弾道計測器を見ながら打ってみても、この高初速エリアの広さは筆者でも十二分に体感できた。打点やフェースのブレが非常に大きな筆者が何球打ってもほぼ曲がりなしの同じ弾道、ビッグキャリーが打てた。
この辺りは「海外ブランドよりフェース面積がはるかに広い上、進化したカップフェースですから」と、同社の開発陣も胸を張っていた。確かに、ほぼ全ての大手メーカーの新作を試しているが、「もしや『XXIO X』をエリアの広さで上回ったのでは?」と思うほど、スイートエリアの広さを感じた。他のアスリートモデルと比べても打点ブレへの強さが際立っていると感じる。
■スリクソン初のカーボン複合でも打球音がいい■
「余剰重量を生み出し、ヘッドの最適重量配分を可能にする【ライトウェイトカーボン】をクラウンに採用。3グラムの余剰重量をヘッドの周囲に配置することで上下左右の慣性モーメントが高まり、打球の直進性が向上しました。ミスに強く安定してフェアウェイをとらえます。また、ヘッドに内蔵したサウンドリブにより、打球音を高くチューニング。カーボンクラウン独特の短い残響音と相まって、耳で感じるナイスショットを実現します」(同)
室内試打のため、打球音が増幅された可能性もあるが、ダンロップの言い分どおりだった。カーボン複合にありがちなこもった音ではなく、弾き感と締まった部分を両立したなんともいい音。そして、【慣性モーメントの拡大】に関しても、特に『Z585』のブレない挙動が特に印象的。こちらは高初速のエリアの広さもあって、PING『G400』にも勝るとも劣らないヘッドの安定感を感じた。
『Z785』は『Z585』より操作性がいいものの、「旧作のやさしい方の『Z565』を上回る慣性モーメント」との言い分もしっかり体感できた。球を曲げて操りたい人にとっては、『Z785』でも直進性が高すぎる可能性すら感じるのは気の所為だろうか…。
■最も変わったのはヘッド形状。
「異なる弾道イメージをデザインしたフォルムで、従来とは激変しています。『Z585』はつかまり感があり、自然とハイドロー弾道をイメージできるアップライト形状。クラウンバックの高さを低くすることで、低重心でボールが上がりやすいイメージ。『Z785』はクラウンバックの頂点をセンターに。高い操作性を想起させる形状で、自然なヘッドターンをもたらすニュートラルなヘッドデザインです」(同)
構えると、どちらも据わりが抜群。ヘッドを置くと地面にピタッと吸い付くようにアドレスが決まる。この辺りはシャローバックでヘッドのヒール後方が地面に近く見える影響かもしれない。(特に『Z585』)フェース向きがビシッとはっきりしてアドレスが決まるため、迷いなく打てて方向性が良くなる可能性も感じる。
また、「シャフトの挿入アングルも従来は左から入っていましたが、今作は真っすぐ。『Z585』は1.5°、『Z785』は3°オープンのフェース角です」とは言うが、どちらも筆者の目(利き目は左)には完全スクエアに見えた。こう書くとスライサーは不安に感じるかもしれないが、両方ともつかまりは良好で(特に『Z585』)、よく泣かされる右へのすっぽ抜けは皆無だった。
■純正『Miyazaki Mahana(マハナ)』の特性は?■
「手元と先がしっかり、中間部に適度なしなりを持たせることで、振りやすく感じる50グラム台の軽量シャフト『Miyazaki Mahana』をメインシャフトとしてラインアップ。挙動の安定性と走り感を両立し、大きな飛びと安定した方向性を実現します。よりヘッドスピードの速い方や、シャフトにこだわりを求める方にはカスタムシャフトとして「Miyazaki MIZU/KIRI/KORI」の3ラインアップを、計18種類ご用意しており、ライトユーザーからコアユーザーまで、幅広いニーズに対応します」(同)
『Z585』は接着式ヘッドで『Miyazaki Mahana』を標準採用(価格は63,000円+税)。このクセのないシャフトが扱いやすく、滑らかなしなりとしなり戻りでミスを吸収してくれると感じるし、万人受けしやすい仕上がりに感じる。また、可変スリーブ付きの『Z785』は『Miyazaki Mahana』の他に『MIZU』ほかも選べて、こちらは68,000円+税。
また、1万円+すれば豊富なカスタムシャフトが選べる。三菱ケミカル『Diamana DF』、『KURO KAGE XD』、フジクラ『Speeder Evolution V』、グラファイトデザイン『TOUR AD VR』、シャフトラボ『The ATTAS』と前作よりも選択肢が増えている。
■一番肝心な飛距離性能は?■
あくまで短時間の室内の弾道計測の結果でしかないが、【ゼロからドライバー設計を見直せ】との号令で設計されただけのことはある。前作でスピン不足で上がらなかったり、つかまりがイマイチだったという人は、間違いなく飛距離を伸ばせそう。高打ち出し・やや低スピンの適正弾道が誰にでも打ちやすく、つかまりも良好。
既に男女ツアーでも使用プロが続々と増えており、香妻陣一朗や勝みなみ他「飛距離が伸びた」とスイッチ。ただし、「秋吉翔太プロほか、フェードが持ち球の選手の一部にはつかまりが良すぎるとの声もあります」とのこと。ただし、今回はプロの声に左右される必要はないと感じる。本当に救うべきターゲットをアマチュアゴルファーに据えたと感じるからだ。
何より、今作で一番大きいのは、その高初速エリアの広さ。ゴルフクラブの金字塔を打ち立てたアベレージモデル『XXIO』に勝るとも劣らないミス許容性を持つと感じるのは筆者だけではないと思う。正直に言えば、「ここまでの性能なのに、この値段で出していいの?」とすら、思ってしまうほどの出来だった。
Text/Mikiro Nagaoka