謎の新作シャフト『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』!?
米国男女ツアーなどで高い使用率を誇る三菱ケミカルから、今までにない全く新しいシリーズの新作シャフトがリリースされるようだ。モデル名が『VANQUISH』ということだけが分かっているが、一体どんなシャフトに仕上がっているのだろう? <br><br> 取材協力/ヒルトップ横浜クラブ 写真、文/田辺直喜
配信日時: 2022年5月2日 01時30分
JGFで参考出品された謎のシャフト
国内初戦、東建男子ツアーにおいて、注目のニューギアが発見された。永久シード選手の片山晋呉が、『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』という三菱ケミカルのドライバー用シャフトを実戦投入したのだ。ギアについて並々ならぬこだわりを持つ片山が選択しただけにその性能が気になるところだ。
実はこの『VANQUISH』、3月に開催されたゴルフの祭典「ジャパンゴルフフェア」の三菱ケミカルブースでも、“参考出品”という形で展示。スペックなどの詳細情報は明かされなかったが、「あらゆるゴルファーに再現性の高いインパクトを提供する新しい“Light Weight”ブランド」となっていた。
三菱ケミカルと言えば、『Diamana(ディアマナ)』や『TENSEI(テンセイ)』など、さまざまなシャフトブランドを持っている。いずれも、重量やフレックスなどのスペックが豊富に用意されていて、50グラム台がラインナップしていることも多い。そんな中で開発された「新たな“Light Weight”ブランド」とはどのようなシャフトなのか?
今回、『VANQUISH』のプロトタイプシャフトの入手に成功したので、スイングとギアの両面に精通するツアープロの谷口拓也に性能分析を依頼。3月に発売されたばかりの最新モデル『TENSEI Pro Orange 1K』と比較しながら、インプレッションしてもらった。尚、スペックはいずれも「5X」で統一している。
実はこの『VANQUISH』、3月に開催されたゴルフの祭典「ジャパンゴルフフェア」の三菱ケミカルブースでも、“参考出品”という形で展示。スペックなどの詳細情報は明かされなかったが、「あらゆるゴルファーに再現性の高いインパクトを提供する新しい“Light Weight”ブランド」となっていた。
三菱ケミカルと言えば、『Diamana(ディアマナ)』や『TENSEI(テンセイ)』など、さまざまなシャフトブランドを持っている。いずれも、重量やフレックスなどのスペックが豊富に用意されていて、50グラム台がラインナップしていることも多い。そんな中で開発された「新たな“Light Weight”ブランド」とはどのようなシャフトなのか?
今回、『VANQUISH』のプロトタイプシャフトの入手に成功したので、スイングとギアの両面に精通するツアープロの谷口拓也に性能分析を依頼。3月に発売されたばかりの最新モデル『TENSEI Pro Orange 1K』と比較しながら、インプレッションしてもらった。尚、スペックはいずれも「5X」で統一している。
今までの三菱ケミカルにはなかったタイプのシャフト
試打を始める前に、『VANQUISH』と『TENSEI Pro Orange 1K』を見比べた谷口。
「シャフトのバット径が明らかに細くなっていますね。これは、グリップの握り心地やアドレス時の見え方に大きく影響する部分で、太ければ“しっかり叩ける”、細ければ“しなやかに走る” 印象になります。これまでの三菱ケミカル製品は太めに仕上がっていることが多かったですが、『VANQUISH』は真逆ですね。もしかすると、軽量で走るタイプのシャフトなのかもしれません」
「シャフトのバット径が明らかに細くなっていますね。これは、グリップの握り心地やアドレス時の見え方に大きく影響する部分で、太ければ“しっかり叩ける”、細ければ“しなやかに走る” 印象になります。これまでの三菱ケミカル製品は太めに仕上がっていることが多かったですが、『VANQUISH』は真逆ですね。もしかすると、軽量で走るタイプのシャフトなのかもしれません」
早速、『VANQUISH』を装着したドライバーを谷口が振り切ると、高い打ち出しのドローボールが飛び出した。
「手元の剛性がしっかりしていて、ダウン以降、シャフトの中間から先端にかけてビュン! と走ってくれます。アドレス時にシャフトの細さから感じた印象とすごくマッチしていますね。面白いのは鋭くしなり戻るのに、方向性の良さが備わっていることです」
これまであった先端が走るシャフトは、1発の飛びがある一方で、曲がりが大きくなりやすいものも少なくなかった。しかし、谷口は『VANQUISH』はこれまでの走るシャフトとは全く別物と断言する。
「手元の剛性がしっかりしていて、ダウン以降、シャフトの中間から先端にかけてビュン! と走ってくれます。アドレス時にシャフトの細さから感じた印象とすごくマッチしていますね。面白いのは鋭くしなり戻るのに、方向性の良さが備わっていることです」
これまであった先端が走るシャフトは、1発の飛びがある一方で、曲がりが大きくなりやすいものも少なくなかった。しかし、谷口は『VANQUISH』はこれまでの走るシャフトとは全く別物と断言する。
「まず、先端にしっかり感があることが特徴的です。楽にボールがつかまるのに、シャフトが走り過ぎないから、引っかける心配もない。さらに、切り返しでのタイミングの取りやすさも備わっているので、インパクトがものすごく安定します。軽量でこれだけヘッドが走るシャフトなのに、ボールが全く暴れないのは驚きです」
さらに、谷口が強調したのは、スイングした時のシャフト挙動の心地よさ。その要因となっているのは“素材”にあると分析する。
「あまり語られませんが、シャフトの性能を考える上で“素材”ってすごく大切なんですよ。同じように先端が走るシャフトを作ったとしても、使っている素材次第で振り感も、結果も大きく異なってくるんです。その点で行くと、『VANQUISH』は素材への強いこだわりを感じますね。『VANQUISH』が持つ滑らかでしなやかなシャフト挙動や走るのに曲がらない安定感の高さは間違いなく素材の良さから来ていると思います」
さらに、谷口が強調したのは、スイングした時のシャフト挙動の心地よさ。その要因となっているのは“素材”にあると分析する。
「あまり語られませんが、シャフトの性能を考える上で“素材”ってすごく大切なんですよ。同じように先端が走るシャフトを作ったとしても、使っている素材次第で振り感も、結果も大きく異なってくるんです。その点で行くと、『VANQUISH』は素材への強いこだわりを感じますね。『VANQUISH』が持つ滑らかでしなやかなシャフト挙動や走るのに曲がらない安定感の高さは間違いなく素材の良さから来ていると思います」
三菱ケミカルと言えば、シャフト性能を引き出すために素材自体の開発も行うメーカー。強いこだわりを持って開発された『VANQUISH』にも、性能を高めるためのさまざまな独自素材が使用されているのかもしれない。
『TENSEI』は前作よりも打ち出し方向が安定
『VANQUISH』に続き、今度は同じ「5X」の『TENSEI Pro Orange 1K』をテストする谷口。
「同じ5Xですが、スイングした時の重量感も硬さも『VANQUISH』と全然違いますね。『TENSEI Pro Orange 1K』は “ザ・三菱ケミカル” と言う感じで、やや重く、シャフト挙動も落ち着いているので、パワーのあるゴルファーが思い切り叩いていけます。切り返しで手元に適度なしなりを感じながらスイングできて、インパクトではボールを強く押していける印象です」
「同じ5Xですが、スイングした時の重量感も硬さも『VANQUISH』と全然違いますね。『TENSEI Pro Orange 1K』は “ザ・三菱ケミカル” と言う感じで、やや重く、シャフト挙動も落ち着いているので、パワーのあるゴルファーが思い切り叩いていけます。切り返しで手元に適度なしなりを感じながらスイングできて、インパクトではボールを強く押していける印象です」
『TENSEI』のオレンジというと、前作では、手元部分の比重を大きくする「カウンターバランス設計」になっていることも特徴だった。
「最新モデルでも、“カウンターバランス”はしっかり生かされていますね。クラブ全体の重量感がありつつ、ヘッドが軽く感じられるから、スムーズに振り切れます。それでいて、先端が前作よりもしっかりしているので、打ち出し方向がタテにも、ヨコにもブレずに安定してくれます。スピンもかなり少なく抑えられるので、叩けば叩くほど飛ばせるシャフトですよ」
「最新モデルでも、“カウンターバランス”はしっかり生かされていますね。クラブ全体の重量感がありつつ、ヘッドが軽く感じられるから、スムーズに振り切れます。それでいて、先端が前作よりもしっかりしているので、打ち出し方向がタテにも、ヨコにもブレずに安定してくれます。スピンもかなり少なく抑えられるので、叩けば叩くほど飛ばせるシャフトですよ」
谷口が打つドライバーの球筋を見ると、『VANQUISH』は高弾道ドロー、『TENSEI Pro Orange 1K』は中弾道ストレートという明らかな違いが見て取れた。同じ三菱ケミカルの最新モデルだが、性能や設計思想に大きな違いがあるのは間違いない。
アマチュアゴルファーには『VANQUISH』が最適
試打比較を終えた谷口は、『VANQUISH』には、「アマチュアゴルファーが楽に飛距離アップできる要素が詰まっている」と分析する。
「アマチュアゴルファーの場合、切り返しで手に力が入り過ぎていて、シャフトのしなりを生かせないケースが多くあります。『VANQUISH』なら手元のしっかり感があるので、手先で切り返してもシャフトが余分にしならず、ダウンからインパクトにかけて鋭く走ってくれます。つまり、適切なタイミングでシャフトがしなりやすくなっているのです。その上で、タイミングの取りやすさもありますから、間違いなく飛距離も方向性も安定するはずです」
一方で、『TENSEI Pro Orange 1K』については、「体の回転で切り返せる人にとっては、ヘッドスピードを上げやすいシャフトです。スピンが多くて吹け上がる人や打ち出しが大きくバラける人には間違いなくメリットがあります」とコメント。『VANQUISH』とは違ったタイプのゴルファーに合うシャフトであることを強調した。
今回の性能分析で分かったのは、『VANQUISH』がこれまでの三菱ケミカル製品でカバーできなかったゴルファーに向けた新モデルであることだ。素材や製造精度の高さといった部分では三菱ケミカルの良さが十二分に生かされているが、シャフトの性質やバット径といった細かな仕様には大きな変更が加えられている。
まもなく、『VANQUISH』の詳細が発表されると思われるが、アマチュアゴルファーにとって大きなメリットのあるシャフトであることは間違いなさそうだ。
「アマチュアゴルファーの場合、切り返しで手に力が入り過ぎていて、シャフトのしなりを生かせないケースが多くあります。『VANQUISH』なら手元のしっかり感があるので、手先で切り返してもシャフトが余分にしならず、ダウンからインパクトにかけて鋭く走ってくれます。つまり、適切なタイミングでシャフトがしなりやすくなっているのです。その上で、タイミングの取りやすさもありますから、間違いなく飛距離も方向性も安定するはずです」
一方で、『TENSEI Pro Orange 1K』については、「体の回転で切り返せる人にとっては、ヘッドスピードを上げやすいシャフトです。スピンが多くて吹け上がる人や打ち出しが大きくバラける人には間違いなくメリットがあります」とコメント。『VANQUISH』とは違ったタイプのゴルファーに合うシャフトであることを強調した。
今回の性能分析で分かったのは、『VANQUISH』がこれまでの三菱ケミカル製品でカバーできなかったゴルファーに向けた新モデルであることだ。素材や製造精度の高さといった部分では三菱ケミカルの良さが十二分に生かされているが、シャフトの性質やバット径といった細かな仕様には大きな変更が加えられている。
まもなく、『VANQUISH』の詳細が発表されると思われるが、アマチュアゴルファーにとって大きなメリットのあるシャフトであることは間違いなさそうだ。