Mr.スパイダー、ビル・プライスに聞く【1】「スパイダーGT TM1/TM2は二刀流のスーパースター」 | 話題のクラブ…すぐ武器になる1本か、否か!?

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Mr.スパイダー、ビル・プライスに聞く【1】「スパイダーGT TM1/TM2は二刀流のスーパースター」

Mr.スパイダーこと、テーラーメイドのパター&ウェッジ責任者であるビル・プライス氏が来日!気になるパターのアレコレを直撃しました!まずは、スパイダーGTとトラスネックが合体した『スパイダーGT TM1/TM2』について。

2022年05月24日

 

「PGAツアーは、65%がマレット型に」

PGAツアーの猛者たちが、マレット型を使うのは、現代の常識です!(GettyImages)
テーラーメイドに務めること20年以上、パターデザイナーのビル・プライス氏が来日した。2008年に初代スパイダーこと『ロッサモンザ スパイダーAGSI』が発売された当時は「クモ(スパイダー)のような見た目から名付けたけど、今の新作『スパイダーGT』シリーズは異素材を複合したいろんな形状の構造物」と、まずは新作を一通り案内。そして、さまざまな疑問に数字で回答してくれた。

―― ビルさんが初代『スパイダー』を作ってから15年近く。当時はPGAツアー選手の約8割がブレード型ユーザーだったと思いますが、最近マレット型ユーザーがかなり増えた気が……。現状はどんな比率ですか?

ビル・プライス 直近のPGAツアーのマレット型ユーザーは、試合にもよりますが、約60〜65%にもなります。13年前くらいはマレットとブレードの比率が2:8くらいだったけれど、今はブレード型ユーザーが30〜35%くらいに落ちました。完全に逆転した理由は、ツアーのデータ環境やストロークの変化など、様々な背景があります。

―― なるほど。後ほど聞きますが、たしかに今は強いプロがみなマレット型。昔は強い男子プロはブレード型で、女子プロの方がマレット型を使う印象でした……。

高MOIと、トラスネック、どちらがブレに強い?

スパイダー=安定性=高MOI!
―― スパイダー』と言えば、高MOI(慣性モーメント)が登場した当初からウリです。MOIが大きく打点ブレに強いことが一世を風靡した理由ですが、最近はブレード型なのに『トラス』の三角ネックの打点ブレへの強さが日本の女子プロたちに受けて、供給不足になるほど人気。MOIは数値としてデータ化可能ですが、ネック形状によるブレづらさの数値化できる指標はありますか? また、高MOIとトラスネックでは、どちらが打点ブレに強いのでしょう?

ビル・プライス 一例を挙げましょう。例えば、普通のクランクネックのブレード型だと、10mmトゥ側に打点を外すと3〜4度もフェースが開いてしまいます。でも、スパイダーのように高MOIのヘッドでブレを抑える場合は1度くらいに開きを抑えられます。トラスネックのブレード型だと、同じ打点で2度くらいに抑えられるテスト結果が出ています。

―― なるほど、どちらも通常ネックのものより、フェースブレに強い効果がある。つまり、トラスネックの打点ブレへの強さと、高MOIヘッドがもし合体したら【最強パター】と言うことですよね?
トラス+スパイダーは、大谷翔平級の二刀流!?
ビル・プライス その通り。トラスホーゼルに高MOIの『スパイダーGT』が加わったスパイダーGT TM1 / TM2』を例えるなら、二刀流のベースボールプレーヤー、大谷翔平選手級かもしれません。打者でスーパースター、投手でスーパースターが合わさった形になります。こう聞くと、興奮しませんか?

▶▶▶スパイダーとトラスが融合『スパイダーGT TM1/TM2』7月発売。『TPハイドロブラストにも6月に追加機種!

―― はい、分かりやすい!カールスバッド(ロサンゼルス近郊)が拠点のビルさんらしいし、日本人好みな例えで恐縮です!

ひたすら高MOIなら、それでイイ?

深重心にしすぎない工夫で、4:2:4の重心バランスにしつつ、高MOI!!!
―― ただ、女子プロに『トラス』は依然人気ですが、女子プロにオデッセイの高MOIブレード『TRI-HOT 5K』や、男子プロには浅重心マレット『ELEVEN』も人気が出てきました。ひたすら高MOIだからイイ!との過去の常識が崩れつつあると思うのですが?

ビル・プライス だから、『スパイダーGT』シリーズでは、両サイドにウェイトを持ってきて、4:2:4の左右の重量配分で、重心深度を30mmと深くし過ぎることを避けました。従来の『スパイダー』など高MOI系パターは38〜40mmとかなり深重心でしたが、これだと選手の操作性に問題が出るケースもあります。そうした理由から、ツアー投入した『スパイダーGT TM1トラスヒール』は、重心深度を31mmに抑えましたが、MOIは5000g・cm2に高めています。
順回転を生む、地面に48°傾いた、金属製のピュアロールインサート!
―― なるほど。MOIが5000もあるのに、重心深度を抑えて操作もしやすいと。その上、トラスホーゼルで打点ブレにも強いなら、全く弱点が見当たりませんね……。

ビル・プライス そう、その上スパイダーGT』シリーズには、48°の下向きの溝がついたフェースで順回転もかけやすくなっていますよ。

通常のセンターシャフトは、ある意味「最強だが、難しい」

例えば、トゥ・ヒールに10mm打点を外しても、トラスセンター構造と通常のセンターシャフトでは、打点ブレへの影響度が段違い!?
―― ツアー投入したものには【トラスセンター】の『スパイダーGT TM2トラスセンター』もありますよね?

ビル・プライス はい。日本はセンターシャフトが売上上位にくることもある珍しい国ですよね。実際、シャフトの延長線上で打てたら、センターシャフトは最強のパターだと弊社エンジニアも言っています。ただ、それは打点がブレずに打てた場合の話。ツアープロでも「その打点で打って」と言って打てるプレーヤーはほぼいません。

国内女子プロも普段真ん中で打つ練習をしていても、試合では多くがトゥ側に外します。だから、理論上打点が合えば最強のパターでも、一本吊りの通常のセンターシャフトは非常に難しい結果になっているのです。ただ、トラスセンターなら30〜40mm幅の3点で支えられた幅中で打てるので、例えば、左右に打点を20mm外しても大丈夫なやさしいセンターシャフトと言えます。

『スパイダーGT TM2』こそ、最強?

左が『TPコレクション ハイドロブラスト バンドンTM2』。右が『スパイダーGT TM2』。幅は違いますが、両方ともトラスセンター構造
―― その図式で言うと、一つ質問が生まれます。『TPコレクション ハイドロブラスト』のトラスセンターネックには、ツノ型マレットの『バンドンTM2』があるじゃないですか。ブレード型よりMOIが大きく、打点ブレには強いはず。その『バンドンTM2』と、同じトラスセンターの『スパイダーGT TM2』だと、どちらが打点ブレに強いのでしょうか?

ビル・プライス ご想像にお任せしますが、ツノ型の『バンドンTM2』のMOIが4400くらい。その点、スパイダーGT TM2』だとMOIが5000くらいと大きな違いがあります。

―― うわっ、そんなにMOIが違うのか……。『バンドンTM2』のトラス幅の方が広く見えますが、スパイダーGT TM2』もトラスセンター構造だし、MOIがこれだけ違うとコレこそ「最強のパター」になるような気がして仕方ないですね……。ただ、前から疑問ですが、これだけ日本でトラスが人気なのに、なぜPGAツアー選手が使わないのですか?

海外では、コロナの影響が大きかった

初代『トラス』がツアー投入された時期は、新型コロナウイルス感染拡大の始まりのタイミング……。コレが国内女子ツアーとPGAツアーとの違いを生んでしまいました。
ビル・プライス ちょうど初代『トラス』が出た頃は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で海外では試合がなかったところ、日本では複数試合をやっていた状況がまず一因です。うまく選手に伝達する時間が物理的になく、しだいに忘れられてしまったというか……。それと、これはボク個人の感想ですが、日本人の方がさまざまなテクノロジーや構造に対する理解が深いような気がしますね。

メディアの皆さんが細かくエデュケーションするのが一因かも。海外では「どのブランドが好きか」が主な判断要因ですし。あとは、「クインテック ボールロール」と呼ぶ計測器を活用して、我々が選手たちの転がりの精密なデータを膨大にとり、エビデンスで案内することでより理解が深まったこともあると思います。

―― 真野さん、コレは日本のツアーでも同じですか? どんな状況か説明してください。

えっ!?日本人の方がファクト重視?

テーラーメイドの男子プロ担当・真野さんが明かす通り、中島啓太も『クインテックボールロール』などの計測器を駆使してパターをエビデンスの基に選びます……。
TM真野さん はい、最近では、コーチがこういった計測器を活用して、A or B、B or Cと、競合他社品ふくめ、コーチ自身が計測データをしっかりエビデンスを基に有利不利を提案しているので、選手も納得して薦められる状況が出来ています。

中島啓太くんもアマチュアですが、以前のパターと膨大なデータを比較して、『トラス』優位を納得のもとに勧められました。もちろん、選手の技術面もありますが、どんなデータ傾向が出るかを可視化・納得して向上できる環境を我々も用意できていますね。

▶▶▶トラス+スパイダー? 中島啓太が試す漆黒・三角ネック『スパイダーGT』プロト発見!

ビル・プライス そう、アメリカのコーチ陣は、「どういうものを使わせたい」といった判断がより働いている気がしますね。日本コーチの方がより「ファクト重視」というか。これはスタイルの違いなのでどうこう言うつもりはないですが、日本の方がファクト・データ重視傾向が強いと思います。

―― なるほど。では、次回はPGAツアーの最新トレンドについて聞きますね!

Text/Mikiro Nagaoka
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