近年増加中? ドライバーイップスの悪夢がゴルファーを襲う日
text by Kazuhiro Koyama
配信日時: 2019年6月8日 04時00分
深刻なドライバーイップスだった宮里藍
先月行われたPGAツアー「ウェルズ・ファーゴ選手権」は、伏兵のマックス・ホーマが初優勝を果たした。一時は、ドライバーイップスに苦しんだというホーマだが、前週からタイトリストの『TS3』から『TS4』にドライバーをスイッチしたのが良いきっかけになったようだ。
『TS4』は、昨年発売された460ccの『TS2』、『TS3』に比べて小ぶりな430ccで低スピンなタイプ。日本国内ではカスタム専用モデルとして7月に発売予定だ。ドライバーに問題を抱えていたホーマが、より小さいヘッドに変えたことで、振り切りやすさが生まれたことは想像に難くない。
イップスと聞いて、思い出されるのが宮里藍のケースだ。宮里といえば、キャリア終盤のパッティングイップスが有名だが、アメリカ女子ツアーに参戦して2年目のころ、深刻なドライバーイップスに見舞われた。
宮里のキャリアは、ドライバーのヘッド体積が急激に増加した時期と重なっている。プロ入り直後のドライバーは、ヘッド体積365ccの『TOURSTAGE V36』、その後は宮里の代名詞ともなる『TOURSTAGE V-iQ』を愛用していた。こちらは初代モデルが390ccで、2代目モデルが430ccだ。
ドライバーが不調の時期は、3代目の『V-iQ』でヘッド体積は460ccだった。代を重ねるごとに急速なペースで巨大化し、慣性モーメントも大きくなった。ちなみにこのモデルは、クラブの重心点をヘッド寄りにするというコンセプトを持っていて、その点も操作性の面には不利に働いたろう。
宮里のドライバーイップスが、この急激なヘッドの大型化と無関係とは考えられない。460ccヘッドに慣れた現代のアマチュアゴルファーが、400ccクラスのヘッドを構えたら、その小ささに驚くはずだ。たかだか数十ccとはいえ、フィーリングの面からいえば、大きな差がある。
『TS4』は、昨年発売された460ccの『TS2』、『TS3』に比べて小ぶりな430ccで低スピンなタイプ。日本国内ではカスタム専用モデルとして7月に発売予定だ。ドライバーに問題を抱えていたホーマが、より小さいヘッドに変えたことで、振り切りやすさが生まれたことは想像に難くない。
イップスと聞いて、思い出されるのが宮里藍のケースだ。宮里といえば、キャリア終盤のパッティングイップスが有名だが、アメリカ女子ツアーに参戦して2年目のころ、深刻なドライバーイップスに見舞われた。
宮里のキャリアは、ドライバーのヘッド体積が急激に増加した時期と重なっている。プロ入り直後のドライバーは、ヘッド体積365ccの『TOURSTAGE V36』、その後は宮里の代名詞ともなる『TOURSTAGE V-iQ』を愛用していた。こちらは初代モデルが390ccで、2代目モデルが430ccだ。
ドライバーが不調の時期は、3代目の『V-iQ』でヘッド体積は460ccだった。代を重ねるごとに急速なペースで巨大化し、慣性モーメントも大きくなった。ちなみにこのモデルは、クラブの重心点をヘッド寄りにするというコンセプトを持っていて、その点も操作性の面には不利に働いたろう。
宮里のドライバーイップスが、この急激なヘッドの大型化と無関係とは考えられない。460ccヘッドに慣れた現代のアマチュアゴルファーが、400ccクラスのヘッドを構えたら、その小ささに驚くはずだ。たかだか数十ccとはいえ、フィーリングの面からいえば、大きな差がある。
プロ入り後、卓越したキャリアを積んできた宮里は、400cc前後のドライバーで技術を磨いてきたのだから、それと違うものを持たされたときに、大きな違和感が生まれるのはむしろ自然だろう。技術が研ぎ澄まされるほど、その違和感は大きくなる。
結果的に宮里はその後、425ccで丸型のプロトタイプヘッドである『X-DRIVE P51-5』を選択。小ぶりで操作性が高く、つかまりの良いヘッドを愛用することで、イップスを克服して、世界ランキング1位にまで上り詰める。
宮里に限らず、この年代をプロとして過ごした選手はみな、急激なヘッドの大型化への対応を迫られている。最近では「ダイアモンドカップ」でツアー初優勝した浅地洋佑が、ジュニア時代から天才と称されていながら、プロ入り後、深刻なドライバーの不調に悩んだ時期があったという。
今年のマスターズを制したタイガー・ウッズでさえ、大型ヘッドへの移行は簡単ではなかった。タイガーの長いキャリアの中で、最もフェアウェイキープ率が良かった時代のヘッドは、250ccだったのだ(※タイトリスト『975Dチタン』)。
当時、飛んで曲がらないドライバーがタイガーの大きな武器だった。もし、ヘッド体積が20年前のままだったら、ジャック・ニクラウスのメジャー勝利記録をとっくに更新していただろうと思われる。
結果的に宮里はその後、425ccで丸型のプロトタイプヘッドである『X-DRIVE P51-5』を選択。小ぶりで操作性が高く、つかまりの良いヘッドを愛用することで、イップスを克服して、世界ランキング1位にまで上り詰める。
宮里に限らず、この年代をプロとして過ごした選手はみな、急激なヘッドの大型化への対応を迫られている。最近では「ダイアモンドカップ」でツアー初優勝した浅地洋佑が、ジュニア時代から天才と称されていながら、プロ入り後、深刻なドライバーの不調に悩んだ時期があったという。
今年のマスターズを制したタイガー・ウッズでさえ、大型ヘッドへの移行は簡単ではなかった。タイガーの長いキャリアの中で、最もフェアウェイキープ率が良かった時代のヘッドは、250ccだったのだ(※タイトリスト『975Dチタン』)。
当時、飛んで曲がらないドライバーがタイガーの大きな武器だった。もし、ヘッド体積が20年前のままだったら、ジャック・ニクラウスのメジャー勝利記録をとっくに更新していただろうと思われる。