ひと昔前まで、日本シャフトといえば「N.S.PRO 950GH」に代表される
軽量スチールシャフトをイメージする人が多かった。
しかし、同社は最近、重い重量帯でも存分に存在感を示している。
転機になったのは、2009年に誕生した「MODUS³」シリーズだ。
今年で10周年を迎えた同シリーズの歴史を振り返ってみよう。

※世界市場での累計販売本数(2019年末時点)

アメリカ市場のシェアを上げるには
PGAでのプロモーションが不可欠だった

日本シャフトが本格的にアメリカ戦略に乗り出したのは、08年の夏だった。
「7月にプロジェクトを任され、翌月にはアメリカに飛んで市場調査を行いました」と語るのは、同社の常務取締役営業部部長・沖田氏だ。現地のマーケティング会社に依頼し、自らの足でもクラブメーカーをまわってヒアリングした結果、衝撃の事実が判明した。「アメリカ市場のシェア率は1ケタ台。想像はしていましたが、現実をつきつけられて愕然としたのを今でも覚えています」

シェアを上げるには、何から手をつければいいのか……。思い悩む沖田氏にヒントをくれたのは、大手クラブメーカーのスタッフだった。
―PGAツアーで採用されていないシャフトは、市場でも採用されないんだ。まずはPGAツアーで認知度を上げることだよ。
日本シャフトは、当時PGAツアーでプロモーションをしておらず、使用者数は当然ながらゼロ。この数字を増やすことがアメリカ戦略のカギになった。

ビジェイ・シン(写真・左)のキャディを務めるなど、長年に渡ってPGAツアーに携わってきたリー・オイヤー氏。多くのプロと信頼関係を築いているリー氏の存在がMODUS³のPGAツアープロモーションを支えている。

ツアーでサポートを開始するには、レップが必要になる。現地で募集をかけると、数名の希望者が集まった。
「その中の一人が、今でもレップをしているリー・オイヤー氏。決め手になったのは、彼の人柄ですね」

沖田氏は面接の時、「09年中にPGAツアーでの使用者を10人、来年には30人に増やしたい」と全ての希望者に伝えたそうだ。ほとんどの人が「任せてくれ!」と応える中、リー氏だけは、「そんなに甘い世界じゃない。約束できるのは、年内に3人、2年後に10人だ」と答えたという。
「大風呂敷を広げるアメリカ人が多い中、正直に話してくれるリーさんは信頼できると感じました」(沖田氏)

ビジェイ・シン(写真・左)のキャディを務めるなど、長年に渡ってPGAツアーに携わってきたリー・オイヤー氏。多くのプロと信頼関係を築いているリー氏の存在がMODUS³のPGAツアープロモーションを支えている。

日本シャフトのPGAツアーレップとなったリー氏だが、それまでにフィッティングスタジオを経営したり、他のゴルフメーカーでのレップ経験やPGA選手のキャディをしていた経歴がある。当時の時点で20年近くPGAツアーに携わっていたため、ツアー関係者や選手の知り合いが多かったそうだ。

頼もしいツアーレップを見つけた日本シャフトは、09年7月からPGAツアーでのサポートを本格的にスタートさせた。

MODUS3 HISTORYMODUS3 HISTORY

※「MODUS³ ツアー105/ツアー120/システム3 ツアー125/ツアー130」、「MODUS³ウェッジ」、MODUS³プロタイプの勝利数
※日本シャフト調べ。2020年6月30日時点