【記者の目】所有感満点以上!?ムジーク『Deep Forged』アイアンが史上最高の打感かもしれない件
【記者の目】所有感満点以上!?ムジーク『Deep Forged』アイアンが史上最高の打感かもしれない件
配信日時: 2018年7月11日 00時39分
パーツメーカーのムジークから、所有感満点のCNC削り出しアイアン2機種が登場した。キャビティが通称『Deep Impact』。マッスルバックが通称『Deep Mascle』で、両機種ともにバックフェース下部が通常より分厚いことから『Deep Forged』シリーズと名付けられている。
「muziikの最高傑作アイアン。深い打感と芸術的な削り、そして性能。究極の筋肉を表現するために、独自の鍛造金型を製作し、1台のCNCマシーンで、20時間で10個しか削ることの出来ない美しい仕上げを施したマッスルアイアン。ムジークのアイコンを精密に施し、美しさのみならず、打ちやすさとつかまり、すわりの良さを追求したキャビティ。
マッスル、キャビティ共に、軟鉄の厚みによる深く、そして味わいのある打感に銅下を組み込んだ柔らかい打感。見た目の美しさに潜んだ、打ちやすさとテクノロジー。ムジークの最高傑作アイアンがここに生まれました」(ムジーク)
■シンプルに見えて存在感抜群のデザイン■
筆者はいま、このアイアン、特にマッスルバックに大注目している。理由はありがちなマッスルバックではない要素がこれでもかと入っているからだ。まずは、バックフェースのデザイン。通常なら肉厚部分に必ずメーカーやブランドロゴが入るものだが、ここにブランドロゴはなく、ネックに入っている。そして、番手の刻印もソールの真ん中ではなく、トゥ寄り。
まずは、ムダなロゴやアルファベットを敢えて廃したデザインに拍手を送りたい。一番目立つ位置にブランドロゴを配置したいのはメーカーとして当然なのに、敢えてユーザー心理を考えて、シンプルさを貫いた心意気が素晴らしい。
ノーロゴ風で実にシンプルでありながら、バックフェース上部には細かいハニカム模様が施されており、削り出しの証であるCNCミルド痕も残っている。こんなデザインのマッスルバックは大手メーカーではお目にかかったことがない。控えめに入れられた「Forged」ロゴの色抜きをしてバッグに刺さっている姿を想像するだけで、恍惚としてしまうのは筆者だけだろうか…。
■S20Cで鍛え上げられた筋肉がモリモリ■
開発者の吉本社長は「Deep Mascleは、究極のマッスルという自分の中でのテーマの中で、ポンプアップした筋肉隆々のマッスルをアイアンヘッドに具現化したもの」と語る。同社の過去のマッスルバックよりも、インパクトエリアが2.5ミリ以上(約13%)分厚く肉盛りされ、文字どおり、筋肉モリモリのマッスルバックになっているのだ。前述のノーロゴな分、デザイン的にもこの肉盛りのボリューム感が余計に際立って見える。
一般に、打点部分の肉厚が分厚くなればなるほど、打感は深く柔らかくなると言われるが、それだけにとどまらない。素材は、数字が小さくなるほど柔らかいといわれる軟鉄鍛造のS20C。しかも、打感が柔らかくなると言われる銅下メッキまで施されているという。
分厚い筋肉+S20C+銅下メッキ。深く柔らかい打感をウリにするだけあって、波状攻撃にも程がある。これでもかと言わんばかりに、打感を追求してきたことがよく分かる。また、その肉盛りをするため、ネックが通常のマッスルバックよりも5ミリ以上短くなっており、低重心化が図られている。スイートスポット高さはなんと17.5ミリ。マッスルバックでありながら、市販のワイドキャビティも真っ青なほどの低重心をも実現している。
■トレーリングを大きく落としたソール■
ここまでフェース下部を分厚く肉盛りすれば、「さぞかし幅広ソールになっているだろう」と想像するのが通常だ。やさしさをウリにするマッスルバックなため、そうなっても何ら不思議ではない。ところが、吉本社長は、既存の枠組みの考え方には決して捉われることがない。またもや筆者は裏切られてしまった。
「通常ヘッドの据わりを良くするためには、ソールをフラットにしなきゃならないですし、その上で、抜けを良くするにはソール幅が狭くなる=難しいイメージ。今回のDeep Mascleは肉厚がありながら、接地面積は少なく、更にソール中央部のみフラットにしています。やさしく見えて抜けが良く、据わりが良いと、良いことずくめです」
なんと、分厚く肉盛りしてソール幅自体は大きいものの、ソール後方のトレーリングエッジやトゥ・ヒールを大胆に削り落とすことで、C字型に接地面積を減らしていた。上級者向けのウェッジに見られる手法をアイアン全番手にも応用したわけだが、これは分厚い肉盛りがあるからこそ成せる技。これでやさしさを損なわずに打ち込んでも抜けの良さをキープしている。
■今どきあり得ないトップラインの薄さ!■
また、上級者が最もこだわる構えたときの“顔”も男前要素が満点となっている。「薄いトップラインとストレートネック。いま市場にこんなに薄いトップラインのアイアンは無いんじゃないでしょうか」と吉本社長が語るとおり、各社のアスリートアイアンのトップラインがどんどん厚くなる中で、敢えて逆張りをしてきた。
腕に覚えがあるゴルファーにとって、薄いトップラインのものが選べなくなる一方だけに、この心意気が嬉しい。顔つきは極めてシャープで難しそうに見えるかもしれない。だが、その見立ては間違っている。何しろ、この薄いトップラインは前述の低重心化にももちろん寄与しているからだ。やさしく球を拾い上げ、高打ち出し&高弾道を作れるマッスルバックということを忘れてはならない。
なお、ロフトはマッスルバックらしいもの。「#3(21°)、#4(24°)はオプションで、#5(27°)、 #6(30°)、 #7(34°)、 #8(38°)、 #9(42°)、PW(46°)となっております」とのこと。価格はオープンだが、ヘッド一個の実勢価格は23,000円+税になりそうだ。マッスルバック愛好家にとって、性能と所有感の極めて高い選択肢が登場してしまった。
ここ数年、練習量が減り、マッスルバックを諦めてラクなキャビティばかりに逃げてきた筆者。「このマッスルなら」と、心はもちろん揺れている…。
Text/Mikiro Nagaoka
「muziikの最高傑作アイアン。深い打感と芸術的な削り、そして性能。究極の筋肉を表現するために、独自の鍛造金型を製作し、1台のCNCマシーンで、20時間で10個しか削ることの出来ない美しい仕上げを施したマッスルアイアン。ムジークのアイコンを精密に施し、美しさのみならず、打ちやすさとつかまり、すわりの良さを追求したキャビティ。
マッスル、キャビティ共に、軟鉄の厚みによる深く、そして味わいのある打感に銅下を組み込んだ柔らかい打感。見た目の美しさに潜んだ、打ちやすさとテクノロジー。ムジークの最高傑作アイアンがここに生まれました」(ムジーク)
■シンプルに見えて存在感抜群のデザイン■
筆者はいま、このアイアン、特にマッスルバックに大注目している。理由はありがちなマッスルバックではない要素がこれでもかと入っているからだ。まずは、バックフェースのデザイン。通常なら肉厚部分に必ずメーカーやブランドロゴが入るものだが、ここにブランドロゴはなく、ネックに入っている。そして、番手の刻印もソールの真ん中ではなく、トゥ寄り。
まずは、ムダなロゴやアルファベットを敢えて廃したデザインに拍手を送りたい。一番目立つ位置にブランドロゴを配置したいのはメーカーとして当然なのに、敢えてユーザー心理を考えて、シンプルさを貫いた心意気が素晴らしい。
ノーロゴ風で実にシンプルでありながら、バックフェース上部には細かいハニカム模様が施されており、削り出しの証であるCNCミルド痕も残っている。こんなデザインのマッスルバックは大手メーカーではお目にかかったことがない。控えめに入れられた「Forged」ロゴの色抜きをしてバッグに刺さっている姿を想像するだけで、恍惚としてしまうのは筆者だけだろうか…。
■S20Cで鍛え上げられた筋肉がモリモリ■
開発者の吉本社長は「Deep Mascleは、究極のマッスルという自分の中でのテーマの中で、ポンプアップした筋肉隆々のマッスルをアイアンヘッドに具現化したもの」と語る。同社の過去のマッスルバックよりも、インパクトエリアが2.5ミリ以上(約13%)分厚く肉盛りされ、文字どおり、筋肉モリモリのマッスルバックになっているのだ。前述のノーロゴな分、デザイン的にもこの肉盛りのボリューム感が余計に際立って見える。
一般に、打点部分の肉厚が分厚くなればなるほど、打感は深く柔らかくなると言われるが、それだけにとどまらない。素材は、数字が小さくなるほど柔らかいといわれる軟鉄鍛造のS20C。しかも、打感が柔らかくなると言われる銅下メッキまで施されているという。
分厚い筋肉+S20C+銅下メッキ。深く柔らかい打感をウリにするだけあって、波状攻撃にも程がある。これでもかと言わんばかりに、打感を追求してきたことがよく分かる。また、その肉盛りをするため、ネックが通常のマッスルバックよりも5ミリ以上短くなっており、低重心化が図られている。スイートスポット高さはなんと17.5ミリ。マッスルバックでありながら、市販のワイドキャビティも真っ青なほどの低重心をも実現している。
■トレーリングを大きく落としたソール■
ここまでフェース下部を分厚く肉盛りすれば、「さぞかし幅広ソールになっているだろう」と想像するのが通常だ。やさしさをウリにするマッスルバックなため、そうなっても何ら不思議ではない。ところが、吉本社長は、既存の枠組みの考え方には決して捉われることがない。またもや筆者は裏切られてしまった。
「通常ヘッドの据わりを良くするためには、ソールをフラットにしなきゃならないですし、その上で、抜けを良くするにはソール幅が狭くなる=難しいイメージ。今回のDeep Mascleは肉厚がありながら、接地面積は少なく、更にソール中央部のみフラットにしています。やさしく見えて抜けが良く、据わりが良いと、良いことずくめです」
なんと、分厚く肉盛りしてソール幅自体は大きいものの、ソール後方のトレーリングエッジやトゥ・ヒールを大胆に削り落とすことで、C字型に接地面積を減らしていた。上級者向けのウェッジに見られる手法をアイアン全番手にも応用したわけだが、これは分厚い肉盛りがあるからこそ成せる技。これでやさしさを損なわずに打ち込んでも抜けの良さをキープしている。
■今どきあり得ないトップラインの薄さ!■
また、上級者が最もこだわる構えたときの“顔”も男前要素が満点となっている。「薄いトップラインとストレートネック。いま市場にこんなに薄いトップラインのアイアンは無いんじゃないでしょうか」と吉本社長が語るとおり、各社のアスリートアイアンのトップラインがどんどん厚くなる中で、敢えて逆張りをしてきた。
腕に覚えがあるゴルファーにとって、薄いトップラインのものが選べなくなる一方だけに、この心意気が嬉しい。顔つきは極めてシャープで難しそうに見えるかもしれない。だが、その見立ては間違っている。何しろ、この薄いトップラインは前述の低重心化にももちろん寄与しているからだ。やさしく球を拾い上げ、高打ち出し&高弾道を作れるマッスルバックということを忘れてはならない。
なお、ロフトはマッスルバックらしいもの。「#3(21°)、#4(24°)はオプションで、#5(27°)、 #6(30°)、 #7(34°)、 #8(38°)、 #9(42°)、PW(46°)となっております」とのこと。価格はオープンだが、ヘッド一個の実勢価格は23,000円+税になりそうだ。マッスルバック愛好家にとって、性能と所有感の極めて高い選択肢が登場してしまった。
ここ数年、練習量が減り、マッスルバックを諦めてラクなキャビティばかりに逃げてきた筆者。「このマッスルなら」と、心はもちろん揺れている…。
Text/Mikiro Nagaoka