【記者の目】ショットに優位性を持つが故のフラストレーション。タイガー、マキロイ、松山が新パターを模索
【記者の目】ショットに優位性を持つが故のフラストレーション。タイガー、マキロイ、松山が新パターを模索
配信日時: 2018年7月6日 04時38分
2週間後に控える「全英オープン」。「マスターズ」「全米オープン」を取り逃した猛者たちは、当然このタイトルを狙っている。そして、今もその模索の真っ只中にいるようで…。今回はショットに優位性を持つプロたちの苦悩に焦点を。
■SG: TEE-TO-GREENが5位、タイガーの苛立ちが解消■
既報のとおり、「クイッケンローンズ・ナショナル」からタイガー・ウッズがテーラーメイド『TP Collection ARDMORE3』に移行した。投入したサブエースの結果はまずまずだったようで、エースのスコッティ・キャメロン『ニューポート2』を「しばらく休ませる」考えだ。
復帰した「年のはじめは良かった」と語るとおり、メジャー13勝のエースパターが最初は機能していた。そして、ケガ明けでおとなしく振っていた当初から、ケガの不安なく振れると分かってからは、かつてのようなヘッドスピードが甦ったタイガー。ドライバーシャフトをスピードアップに伴って変更する必要に迫られた。
またテーラーメイド製のアイアン、ウェッジの新投入を重ね、それらはショット面では多大なる貢献をして見える。なにしろ、『SG: TEE-TO-GREEN(ストロークゲインド・ティトゥグリーン)』が「1.509」の5位だ。これは、出場選手の平均よりもかなりドライバーからアイアンショットまでが優れていることを示す。
ところが、様々な道具の変更が影響したのか、盤石だったはずのエースパターに陰りが見えはじめる。『SG:PUTTING(ストロークゲインド・パッティング)』は89位と、グリーン上で優位性を失ってしまった。
「パッティングさえ入れば優勝できるのに…」観るもの誰もがそう思う状況が続いた中、ついに決断を下したが、今のところ大正解だと言えるだろう。『ARDMORE3』の投入後、『SG:PUTTING』は89位⇒52位へ大幅ジャンプアップさせることに成功したのだから。「新パターに慣れればもっと良くなる」と期待出来るし、待望の復活勝利の近づきを感じさせる。
■SG: TEE-TO-GREENが9位のマキロイ、アルミインサート&ショートスラントの『SOTO』に戻る■
平均317ヤード(2位)の飛ばし屋、ローリー・マキロイは相変わらずエースパター探しが続いているようだ。直近で今季優勝実績のある『TP Black Copper Collection Soto』へまた戻しており、模索が続いている。
ところで、マキロイの飛ばしは、今季PGAツアーの様々な選手に影響を与えている。現在ツアーで流行する三菱ケミカル『テンセイCK PROオレンジ』に移行した今季、そのあまりの飛びに他の有力プロも動いた。
タイガー・ウッズもご多分に漏れず、影響を受けたくち。発売から丸2年以上を経たこのシャフトに他の選手も飛びつき、ジャスティン・ローズやセルヒオ・ガルシア、チャーリー・ホフマン、イアン・ポールターらが今更このシャフトに移行するという奇妙な現象が春先に続いた。
そんな中、元々のエースシャフト『クロカゲXT』にいち早く戻ったマキロイ。『SG: TEE-TO-GREEN(ストロークゲインド・ティトゥグリーン)』は9位と、相変わらずの高いショット力は維持しているが、『SG:PUTTING(ストロークゲインド・パッティング)』は「0.16」の110位と、まったくグリーン上で優位性を持てていないのは少し前のタイガーと同じ…。
ただし、昨季に比べればこれでも幾分マシということになる。昨季もコロコロとパターを替えたマキロイ、昨季から年初まではマレット型の『TP Collection MULLENプロト』だったが、去年の『SG:PUTTING』は「-0.143」で141位と、ツアー平均よりかなり足を引っ張る結果になっていた。それが、今季のはじめに「マスターズ」を見据えてアルミインサート入りのショートスラントブレード『TP Black Copper Collection Soto』に替えて即優勝、一時は改善して見えた。
ところが、だ。元々キャメロンユーザーのマキロイのこと。ブレードの良さを再確認したものの、やはり使い慣れたクランクネックとノンインサートは捨てがたかったのか、「マスターズ」不発後は即、『SOTO』からプロトタイプのクランクネックブレードへ移行。シネコックヒルズの「全米オープン」では繊細なフィーリングが出せると踏んだはずだが、ここでも予選落ちとなってしまった…。
ショットで他を圧倒する実力者だけに、入らなければフラストレーションは溜まる一方となる。ショットがいいだけに、「パットで損をした」と感じれば、そのストレスは極限だ…。今季4度目となるパター変更はもちろん、「全英オープン」を見据えてのことだろう。『SOTO』ははたして再び好結果を出してくれるのだろうか…。
■松山英樹がスコッティ・キャメロンギャラリー東京へ■
「全英オープン」へ向け、松山英樹も精力的に動いているようだ。スコッティ・キャメロン・ギャラリー東京のInstagramに2日前に投稿があり、「松山英樹プロがフィッティングでご来店されました」とのこと。にっこり微笑むその手には、エースパターとは異なる2本のパターが写っている。画像を見る限り、いずれもクランクネックのシルバーマレット型、黒いブレード型をテストした模様。
今季のここまで『SG: TEE-TO-GREEN(ストロークゲインド・ティトゥグリーン)』は32位、『SG:PUTTING』は「0.102」で87位。意外なことに、パッティングは勝ちまくった昨季よりもツアー平均では改善されている形となる。
PGAツアーで4勝した昨季、『SG: TEE-TO-GREEN(ストロークゲインド・ティトゥグリーン)』は4位と、ツアーでも屈指のショット力を発揮。そして、意外なことに『SG:PUTTING』は「-0.410」で174位だった。
タイガー・ウッズが見せた【メジャー13勝パターを休ませる】決断は、はたして松山英樹の目にはどのようにうつったのだろうか。高いショット力を持つ3人のこと。カーヌスティの「全英オープン」のグリーン上で、歓喜の瞬間を迎える想像をしただけで今からワクワクしてしまう。そして、その手に握られているパターはいったいどんなモデルなのだろうか。
Text/Mikiro Nagaoka
■SG: TEE-TO-GREENが5位、タイガーの苛立ちが解消■
既報のとおり、「クイッケンローンズ・ナショナル」からタイガー・ウッズがテーラーメイド『TP Collection ARDMORE3』に移行した。投入したサブエースの結果はまずまずだったようで、エースのスコッティ・キャメロン『ニューポート2』を「しばらく休ませる」考えだ。
復帰した「年のはじめは良かった」と語るとおり、メジャー13勝のエースパターが最初は機能していた。そして、ケガ明けでおとなしく振っていた当初から、ケガの不安なく振れると分かってからは、かつてのようなヘッドスピードが甦ったタイガー。ドライバーシャフトをスピードアップに伴って変更する必要に迫られた。
またテーラーメイド製のアイアン、ウェッジの新投入を重ね、それらはショット面では多大なる貢献をして見える。なにしろ、『SG: TEE-TO-GREEN(ストロークゲインド・ティトゥグリーン)』が「1.509」の5位だ。これは、出場選手の平均よりもかなりドライバーからアイアンショットまでが優れていることを示す。
ところが、様々な道具の変更が影響したのか、盤石だったはずのエースパターに陰りが見えはじめる。『SG:PUTTING(ストロークゲインド・パッティング)』は89位と、グリーン上で優位性を失ってしまった。
「パッティングさえ入れば優勝できるのに…」観るもの誰もがそう思う状況が続いた中、ついに決断を下したが、今のところ大正解だと言えるだろう。『ARDMORE3』の投入後、『SG:PUTTING』は89位⇒52位へ大幅ジャンプアップさせることに成功したのだから。「新パターに慣れればもっと良くなる」と期待出来るし、待望の復活勝利の近づきを感じさせる。
■SG: TEE-TO-GREENが9位のマキロイ、アルミインサート&ショートスラントの『SOTO』に戻る■
平均317ヤード(2位)の飛ばし屋、ローリー・マキロイは相変わらずエースパター探しが続いているようだ。直近で今季優勝実績のある『TP Black Copper Collection Soto』へまた戻しており、模索が続いている。
ところで、マキロイの飛ばしは、今季PGAツアーの様々な選手に影響を与えている。現在ツアーで流行する三菱ケミカル『テンセイCK PROオレンジ』に移行した今季、そのあまりの飛びに他の有力プロも動いた。
タイガー・ウッズもご多分に漏れず、影響を受けたくち。発売から丸2年以上を経たこのシャフトに他の選手も飛びつき、ジャスティン・ローズやセルヒオ・ガルシア、チャーリー・ホフマン、イアン・ポールターらが今更このシャフトに移行するという奇妙な現象が春先に続いた。
そんな中、元々のエースシャフト『クロカゲXT』にいち早く戻ったマキロイ。『SG: TEE-TO-GREEN(ストロークゲインド・ティトゥグリーン)』は9位と、相変わらずの高いショット力は維持しているが、『SG:PUTTING(ストロークゲインド・パッティング)』は「0.16」の110位と、まったくグリーン上で優位性を持てていないのは少し前のタイガーと同じ…。
ただし、昨季に比べればこれでも幾分マシということになる。昨季もコロコロとパターを替えたマキロイ、昨季から年初まではマレット型の『TP Collection MULLENプロト』だったが、去年の『SG:PUTTING』は「-0.143」で141位と、ツアー平均よりかなり足を引っ張る結果になっていた。それが、今季のはじめに「マスターズ」を見据えてアルミインサート入りのショートスラントブレード『TP Black Copper Collection Soto』に替えて即優勝、一時は改善して見えた。
ところが、だ。元々キャメロンユーザーのマキロイのこと。ブレードの良さを再確認したものの、やはり使い慣れたクランクネックとノンインサートは捨てがたかったのか、「マスターズ」不発後は即、『SOTO』からプロトタイプのクランクネックブレードへ移行。シネコックヒルズの「全米オープン」では繊細なフィーリングが出せると踏んだはずだが、ここでも予選落ちとなってしまった…。
ショットで他を圧倒する実力者だけに、入らなければフラストレーションは溜まる一方となる。ショットがいいだけに、「パットで損をした」と感じれば、そのストレスは極限だ…。今季4度目となるパター変更はもちろん、「全英オープン」を見据えてのことだろう。『SOTO』ははたして再び好結果を出してくれるのだろうか…。
■松山英樹がスコッティ・キャメロンギャラリー東京へ■
「全英オープン」へ向け、松山英樹も精力的に動いているようだ。スコッティ・キャメロン・ギャラリー東京のInstagramに2日前に投稿があり、「松山英樹プロがフィッティングでご来店されました」とのこと。にっこり微笑むその手には、エースパターとは異なる2本のパターが写っている。画像を見る限り、いずれもクランクネックのシルバーマレット型、黒いブレード型をテストした模様。
今季のここまで『SG: TEE-TO-GREEN(ストロークゲインド・ティトゥグリーン)』は32位、『SG:PUTTING』は「0.102」で87位。意外なことに、パッティングは勝ちまくった昨季よりもツアー平均では改善されている形となる。
PGAツアーで4勝した昨季、『SG: TEE-TO-GREEN(ストロークゲインド・ティトゥグリーン)』は4位と、ツアーでも屈指のショット力を発揮。そして、意外なことに『SG:PUTTING』は「-0.410」で174位だった。
タイガー・ウッズが見せた【メジャー13勝パターを休ませる】決断は、はたして松山英樹の目にはどのようにうつったのだろうか。高いショット力を持つ3人のこと。カーヌスティの「全英オープン」のグリーン上で、歓喜の瞬間を迎える想像をしただけで今からワクワクしてしまう。そして、その手に握られているパターはいったいどんなモデルなのだろうか。
Text/Mikiro Nagaoka