【記者の目】ケプカ、フリートウッド、リード。クラブ契約フリーが「全米オープン」で躍動!厳しいコースとの関連は?
【記者の目】ケプカ、フリートウッド、リード。クラブ契約フリーが「全米オープン」で躍動!厳しいコースとの関連は?
配信日時: 2018年6月18日 01時34分
<全米オープン 最終日◇17日◇シネコック・ヒルズゴルフクラブ(7440ヤード・パー70)>
海外メジャー「全米オープン」最終日が終了。アンダーパーが0人という過酷な戦いを制し、ブルックス・ケプカ(米国)がトータル1オーバーで優勝を決めた。クラブ契約フリーのケプカは最終日に5バーディ・3ボギーの「68」をマーク。大会連覇を達成し、ツアー3勝目を挙げた。
過酷なセッティングに何かと批判が渦巻いた今大会。初日から3日目まで天候とナイスショットが報われないセッティングにひたすら耐えることを強いられた選手たち。最終日はUSGAがグリーンに水を巻いたこともあり、一転。アグレッシブに攻めるゴルフが許され、これまでの鬱憤を晴らすかのように、攻めダルマと化した選手が続出した。
■フリートウッド、古巣のアイアンがキレッキレ■
しかし、いくら水を撒かれたとはいえ、そんな攻めがリスク大なのは当然。だが、クラブ契約フリーのトミー・フリートウッドにはこの日、ピンしか見えていなかった。元ナイキ契約のフリートウッド、ドライバーはテーラーメイドを使用するが、FW、アイアンは今もナイキ。(ボールは『プロV1x』)
特にこの日切れ味抜群だったのが、『VR FORGED』と『VR PRO』アイアンだ。パーオン率89%はこの日トップ、4日間でも2位。後半に4連続バーディもあり、計7個のバーディを奪って「全米オープン」の最小スコアタイである「63」をマーク。フリートウッドは昨年も4位に入って飛躍しており、クラブ契約フリーとの関連性をまず疑ってしまった。
■パトリック・リード、前半ハーフで大まくり■
「マスターズ」覇者である、クラブ契約フリーのパトリック・リードもロケットスタートを見せた。PING『G400LSテック』とタイトリスト『T-MB』の3Iで安定してフェアウェイを捉え、古巣・キャロウェイの『MB1』アイアンで面白いようにピンを刺した。
9番のボギーから流れを失い、後半は失速してしまったが、ロケットスタートは間違いなく最終日の前半戦を面白くさせた。メジャーの最終日のスタート5ホールで4つも伸ばす離れ業を演じる辺りはさすが「マスターズ」チャンピオンだ。しかも、彼もクラブ契約フリー…、いや、実力者だから当然ということか。
■優勝したケプカ、豪打より凄いのはアイアンの切れ■
この日、スタートダッシュをはたしたのは、パトリック・リードだけではない。“本命”のブルックス・ケプカも1番ホールからベタピンに付け、その攻撃力で親友・DJをひるませた。クラブ契約フリーとなってから愛用する、ミズノ『JPX900ツアー』がスタートから5ホールでピンを刺し続ける。結果、スタートホールこそ外したものの、5ホールで3バーディを奪い、一気に抜け出す形となった。
その後、幾度かピンチに陥るものの、強気のパットで気合いのパーセーブを見せるなど、寡黙なDJを更におとなしくさせ、スタートから最後まで全米オープンの主役の座を譲らなかった。ドライバーは度々フェアウェイを外すものの、古巣・ナイキの『ヴェイパーフライプロの』3Iを握ればそんな不安もない。プレッシャーのかかる場面も見当たらず、最後まで笑顔を見せる余裕すら見て取れた。
トレーニングを重ねた逞しい肉体から繰り出される豪打にばかり目を奪われるが、ケプカのプレーの本質はピンを刺すアイアンショットにあることを改めて感じた。クラブ契約フリーになって真っ先に手を付けた部分が、ミズノのアイアンへの移行だったこともそれを物語っているのかもしれない。う〜ん、奇妙な偶然は続くものだ…。(ケプカ、ボール契約フリーで『プロV1x』を使用、70年連続使用率1位を更新!)
■直近まで契約フリーだったフィナウ、シャウフェレも…■
そういえば、5位に終わったトニー・フィナウも、元ナイキの選手。(今季からPING契約になった)こちらはスタートからボギー列車となったものの、計5バーディを奪った。アパレルやシューズなどはナイキと変わらず契約しており、トップ5のうち、DJを除く選手が全てナイキのキャップとシューズを使う姿がやけに目についた。
また、キャロウェイ契約のはずが、なぜかドライバー、アイアンともにテーラーメイドを使うザンダー・シャウフェレもスコアを2つ伸ばし、6位タイに食い込んだ。(松山英樹はドライバーだけ好きに使っているが、シャウフェレはもっと…)シャウフェレは昨年の全米オープンでも5位タイに食い込むなど、なぜかコースが毎年変わるはずの「全米オープン」との相性の良さを見せた。
毎年話題となる「全米オープン」の厳しいコースセッティング。今年は特にサディスティックだったが、もしかすると、本当に信頼するギアを使う選手のみが上位に来れる大会なのかもしれない。元ナイキ勢、クラブ契約フリーたちの活躍を観るにつけ、奇妙な偶然の一致を感じてしまう2018年の「全米オープン」だった。
Text/Mikiro Nagaoka
海外メジャー「全米オープン」最終日が終了。アンダーパーが0人という過酷な戦いを制し、ブルックス・ケプカ(米国)がトータル1オーバーで優勝を決めた。クラブ契約フリーのケプカは最終日に5バーディ・3ボギーの「68」をマーク。大会連覇を達成し、ツアー3勝目を挙げた。
過酷なセッティングに何かと批判が渦巻いた今大会。初日から3日目まで天候とナイスショットが報われないセッティングにひたすら耐えることを強いられた選手たち。最終日はUSGAがグリーンに水を巻いたこともあり、一転。アグレッシブに攻めるゴルフが許され、これまでの鬱憤を晴らすかのように、攻めダルマと化した選手が続出した。
■フリートウッド、古巣のアイアンがキレッキレ■
しかし、いくら水を撒かれたとはいえ、そんな攻めがリスク大なのは当然。だが、クラブ契約フリーのトミー・フリートウッドにはこの日、ピンしか見えていなかった。元ナイキ契約のフリートウッド、ドライバーはテーラーメイドを使用するが、FW、アイアンは今もナイキ。(ボールは『プロV1x』)
特にこの日切れ味抜群だったのが、『VR FORGED』と『VR PRO』アイアンだ。パーオン率89%はこの日トップ、4日間でも2位。後半に4連続バーディもあり、計7個のバーディを奪って「全米オープン」の最小スコアタイである「63」をマーク。フリートウッドは昨年も4位に入って飛躍しており、クラブ契約フリーとの関連性をまず疑ってしまった。
■パトリック・リード、前半ハーフで大まくり■
「マスターズ」覇者である、クラブ契約フリーのパトリック・リードもロケットスタートを見せた。PING『G400LSテック』とタイトリスト『T-MB』の3Iで安定してフェアウェイを捉え、古巣・キャロウェイの『MB1』アイアンで面白いようにピンを刺した。
9番のボギーから流れを失い、後半は失速してしまったが、ロケットスタートは間違いなく最終日の前半戦を面白くさせた。メジャーの最終日のスタート5ホールで4つも伸ばす離れ業を演じる辺りはさすが「マスターズ」チャンピオンだ。しかも、彼もクラブ契約フリー…、いや、実力者だから当然ということか。
■優勝したケプカ、豪打より凄いのはアイアンの切れ■
この日、スタートダッシュをはたしたのは、パトリック・リードだけではない。“本命”のブルックス・ケプカも1番ホールからベタピンに付け、その攻撃力で親友・DJをひるませた。クラブ契約フリーとなってから愛用する、ミズノ『JPX900ツアー』がスタートから5ホールでピンを刺し続ける。結果、スタートホールこそ外したものの、5ホールで3バーディを奪い、一気に抜け出す形となった。
その後、幾度かピンチに陥るものの、強気のパットで気合いのパーセーブを見せるなど、寡黙なDJを更におとなしくさせ、スタートから最後まで全米オープンの主役の座を譲らなかった。ドライバーは度々フェアウェイを外すものの、古巣・ナイキの『ヴェイパーフライプロの』3Iを握ればそんな不安もない。プレッシャーのかかる場面も見当たらず、最後まで笑顔を見せる余裕すら見て取れた。
トレーニングを重ねた逞しい肉体から繰り出される豪打にばかり目を奪われるが、ケプカのプレーの本質はピンを刺すアイアンショットにあることを改めて感じた。クラブ契約フリーになって真っ先に手を付けた部分が、ミズノのアイアンへの移行だったこともそれを物語っているのかもしれない。う〜ん、奇妙な偶然は続くものだ…。(ケプカ、ボール契約フリーで『プロV1x』を使用、70年連続使用率1位を更新!)
■直近まで契約フリーだったフィナウ、シャウフェレも…■
そういえば、5位に終わったトニー・フィナウも、元ナイキの選手。(今季からPING契約になった)こちらはスタートからボギー列車となったものの、計5バーディを奪った。アパレルやシューズなどはナイキと変わらず契約しており、トップ5のうち、DJを除く選手が全てナイキのキャップとシューズを使う姿がやけに目についた。
また、キャロウェイ契約のはずが、なぜかドライバー、アイアンともにテーラーメイドを使うザンダー・シャウフェレもスコアを2つ伸ばし、6位タイに食い込んだ。(松山英樹はドライバーだけ好きに使っているが、シャウフェレはもっと…)シャウフェレは昨年の全米オープンでも5位タイに食い込むなど、なぜかコースが毎年変わるはずの「全米オープン」との相性の良さを見せた。
毎年話題となる「全米オープン」の厳しいコースセッティング。今年は特にサディスティックだったが、もしかすると、本当に信頼するギアを使う選手のみが上位に来れる大会なのかもしれない。元ナイキ勢、クラブ契約フリーたちの活躍を観るにつけ、奇妙な偶然の一致を感じてしまう2018年の「全米オープン」だった。
Text/Mikiro Nagaoka