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【記者の目】「スピーディかつシンプルな」ルール改正でゴルファー人口は増えるのか?
【記者の目】「スピーディかつシンプルな」ルール改正でゴルファー人口は増えるのか?
所属 ALBA Net編集部
高桑 均 / Hitoshi Takakuwa
配信日時: 2018年3月14日 09時10分
ゴルフは上流階級のスポーツといわれ続けてきた。何万円もする道具一式をそろえ、練習場に通う。大都市圏の打ちっ放しで汗を流すほどたんまり打ったとしたら、一回5000円なんてのは当たり前。いざコースへ行くとなれば、都心から1時間ほどのコースで平日だとしてもプレーフィ、高速代、ガソリン代、食事代などなど、いわゆるリーズナブルなコースでも2万円程度はかかると見ていい。土日ならさらに高くついてしまう。
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そんな「ぜいたく」なイメージが強いゴルフに危機が迫っている? 昨年の8月に発表された「レジャー白書2017」では、2016年のゴルファー人口が前年から210万人減の550万人に落ちたのだという。これはあくまでも「ゴルフ場で一回以上プレーした人」の数字。練習場で楽しむゴルファーもいれば、忙しくてコースに出られなかったゴルフ大好き人間はカウントされていないため、一概には大幅(27.6%)減少とはいえないが、年々ゴルファーが減っているのは紛れもない事実だ。
団塊世代がゴルフブームに乗ったのは1980年代。バブル期には企業も会員権を買いあさり、億まで跳ね上がるコースも出た。それがバブル崩壊とともに、いわゆる“ゴルフ場過多”の時代が続き、倒産・閉鎖に追い込まれるケースも少なくなかった。いつしかゴルフはスポーツやゲーム性の側面もなくしていったかのようだった。新たなゴルファー層発掘にも成功してきたとはいえず、ゴルフ場に出向いていた団塊世代層も高齢化。今や平日のゴルフ場にはリタイヤ組があふれ、団塊世代がゴルフからもリタイヤしてしまえば、ゴルフ業界もそのあおりを受けるのは間違いない。
これは日本に限ったことでなく、世界的なテーマとなっている。このほど、世界のゴルフルールをつかさどる総本山R&Aが、ある発表をした。「女性やジュニアの女の子、その家族にプレーしてもらう機会を増やしていくために、オーストラリア、イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズに、ゴルフ発展のための専門家を特命で配置するための資金を援助する」というもの。ちなみに期間は3年間で、金額は7万5000ポンド(約1100万円)。これが安いと見るか高いと見るかは分かれるところだが、少なくとも、具体案が進行するのは間違いない。
日本にも、プロゴルフ協会やゴルフ場の連盟、用品協会など、ゴルフに関連する団体が数多く存在するが、ゴルファー増加策をここまで具体的に打ち出しているところはない。世界のゴルフをリードしてきたR&Aが持つ危機感と、それを打開するための早急な方策は評価に値するものだ。ただ、資金を提供すればいいという問題でもない。
同じく、今週の12日に発表されたのが2019年1月から施行されるゴルフルールの大幅な改正内容だ。昨年3月にR&AとUSGA(全米ゴルフ協会)は、あるテーマを持ってルール改正案を発表した。「難解なものを省き、簡単かつスピーディーにプレーできるもの」が大きなテーマだった。改正案を発表してから半年間、世界中のゴルファーから3万を越える意見フィードバックを受け、さらに改正を施したものがいよいよ発表されたのだ。
主なものを見ると、
・ボールをドロップする際はヒザの高さからでOK(これまでは肩の高さから)
・グリーン上で誤って球を蹴ってしまった場合は無罰(これまでは1罰打)
・バンカーでアンプレヤブルを宣言、2罰打付加すればバンカー外から打てる
・ボール探しは3分以内(これまでは5分以内)
・旗ざおをさしたままパットして、ボールがさおに当たっても無罰(これまでは1罰打)
などなど。
合理性に欠けるものや、難解な内容、言い回しは大幅改正の中で省かれる形となっている。ぜいたくなイメージととともに、「ルールが分かりにくい」、「マナー、エチケットが厳しそう」、「時間がかかる」といった、ゴルフをはじめるにあたっての障壁をルール面でも崩していこうとする取り組みは、これまでのゴルフ界にはあり得なかった。それだけ危機感を持っているということが、今回の改正から大いに伝わってくる。
国内女子ツアーが活況を呈しているように、ゴルフはプロスポーツとして観戦を楽しめると同時に、自身のプレーでも楽しめる数少ないスポーツ。より多くの若者、女性に興味を持ってもらうことが今後のゴルフ界発展には急務だ。そんな課題に真っ先に取り組もうとしているR&AやUSGAの動きをますます加速させてほしいと切に願う。(文・高桑均)
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そんな「ぜいたく」なイメージが強いゴルフに危機が迫っている? 昨年の8月に発表された「レジャー白書2017」では、2016年のゴルファー人口が前年から210万人減の550万人に落ちたのだという。これはあくまでも「ゴルフ場で一回以上プレーした人」の数字。練習場で楽しむゴルファーもいれば、忙しくてコースに出られなかったゴルフ大好き人間はカウントされていないため、一概には大幅(27.6%)減少とはいえないが、年々ゴルファーが減っているのは紛れもない事実だ。
団塊世代がゴルフブームに乗ったのは1980年代。バブル期には企業も会員権を買いあさり、億まで跳ね上がるコースも出た。それがバブル崩壊とともに、いわゆる“ゴルフ場過多”の時代が続き、倒産・閉鎖に追い込まれるケースも少なくなかった。いつしかゴルフはスポーツやゲーム性の側面もなくしていったかのようだった。新たなゴルファー層発掘にも成功してきたとはいえず、ゴルフ場に出向いていた団塊世代層も高齢化。今や平日のゴルフ場にはリタイヤ組があふれ、団塊世代がゴルフからもリタイヤしてしまえば、ゴルフ業界もそのあおりを受けるのは間違いない。
これは日本に限ったことでなく、世界的なテーマとなっている。このほど、世界のゴルフルールをつかさどる総本山R&Aが、ある発表をした。「女性やジュニアの女の子、その家族にプレーしてもらう機会を増やしていくために、オーストラリア、イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズに、ゴルフ発展のための専門家を特命で配置するための資金を援助する」というもの。ちなみに期間は3年間で、金額は7万5000ポンド(約1100万円)。これが安いと見るか高いと見るかは分かれるところだが、少なくとも、具体案が進行するのは間違いない。
日本にも、プロゴルフ協会やゴルフ場の連盟、用品協会など、ゴルフに関連する団体が数多く存在するが、ゴルファー増加策をここまで具体的に打ち出しているところはない。世界のゴルフをリードしてきたR&Aが持つ危機感と、それを打開するための早急な方策は評価に値するものだ。ただ、資金を提供すればいいという問題でもない。
同じく、今週の12日に発表されたのが2019年1月から施行されるゴルフルールの大幅な改正内容だ。昨年3月にR&AとUSGA(全米ゴルフ協会)は、あるテーマを持ってルール改正案を発表した。「難解なものを省き、簡単かつスピーディーにプレーできるもの」が大きなテーマだった。改正案を発表してから半年間、世界中のゴルファーから3万を越える意見フィードバックを受け、さらに改正を施したものがいよいよ発表されたのだ。
主なものを見ると、
・ボールをドロップする際はヒザの高さからでOK(これまでは肩の高さから)
・グリーン上で誤って球を蹴ってしまった場合は無罰(これまでは1罰打)
・バンカーでアンプレヤブルを宣言、2罰打付加すればバンカー外から打てる
・ボール探しは3分以内(これまでは5分以内)
・旗ざおをさしたままパットして、ボールがさおに当たっても無罰(これまでは1罰打)
などなど。
合理性に欠けるものや、難解な内容、言い回しは大幅改正の中で省かれる形となっている。ぜいたくなイメージととともに、「ルールが分かりにくい」、「マナー、エチケットが厳しそう」、「時間がかかる」といった、ゴルフをはじめるにあたっての障壁をルール面でも崩していこうとする取り組みは、これまでのゴルフ界にはあり得なかった。それだけ危機感を持っているということが、今回の改正から大いに伝わってくる。
国内女子ツアーが活況を呈しているように、ゴルフはプロスポーツとして観戦を楽しめると同時に、自身のプレーでも楽しめる数少ないスポーツ。より多くの若者、女性に興味を持ってもらうことが今後のゴルフ界発展には急務だ。そんな課題に真っ先に取り組もうとしているR&AやUSGAの動きをますます加速させてほしいと切に願う。(文・高桑均)