【記者の目】日本アマ出場者の1Wシャフト、圧倒的一番人気が『クロカゲXT』。マキロイの影響!?
【記者の目】日本アマ出場者の1Wシャフト、圧倒的一番人気が『クロカゲXT』。マキロイの影響!?
配信日時: 2018年8月2日 03時48分
日本アマ出場者の1Wシャフト人気を聞いて驚いた。昨年に引き続き、圧倒的な1位機種が2015年発売の『クロカゲXT』の70グラム台で、『クロカゲ』シリーズ人気が押し上げる形で三菱ケミカルの使用者が一番多くなっていた。それにしてもなぜ『XT』なのか。今年『XT』の後継の『クロカゲXD』が出たばかりなのに…。
■カッコいいスイング、R・マキロイの影響か!?■
近年、日本アマは学生の戦いとなっている。調子が良ければプロをも凌ぐ、実力ある若者たちが腕を競い合う。かつてのように多くの社会人アマが本戦へ勝ち上がることを願ってやまないが、技術・体力があり、最新クラブを手にした練習量豊富な学生は強い。
筆者がまず疑ったのは「ローリー・マキロイの影響ではないか?」ということ。流れるように滑らかかつ、フィニッシュまで高速で振り抜かれる美しいスイングは誰もが憧れる。『クロカゲXT』といえば、マキロイ。マキロイといえば、『クロカゲXT』。カッコいいスイングから放たれる飛距離、アスリートのアイドル的存在の影響を疑う。
ところが、今季のマキロイはちょっと違った。米国仕様の『テンセイCK Pro オレンジ』を約半年使っていた。そして、そのマキロイの飛ばしが起点となり、PGAツアーでこのシャフトに移行する選手(タイガー、ローズ、ガルシア他多数)が続出。同業者に影響を与えるほどであるから、日本の若者にもその影響力は当然だが、米国仕様ゆえ、学生たちがそのまま『XT』を使い続けてもなんら不思議ではない。
そして、直近でマキロイは『XT』の後継である『クロカゲXD』へ移行した。「全英オープン」では安全なアイアンのティショットが当然なのに、マキロイはドライバーで豪打を放ち続けた。やはり『クロカゲ』がこの男の本来の力を引き出すのだろうか。
■なぜ『クロカゲ』シリーズが選ばれる?■
三菱ケミカルは、2004年から14年連続でPGAツアーのトップシェアを握っている。『クロカゲXT』はそのPGAツアープロの要望で生まれただけあり、全体の剛性が高く、絶対に左へ行かせないアスリート御用達シャフト。そして、今年生まれた後継の『クロカゲXD』も『XT』から移行しやすいシャフトで後継と呼ぶにふさわしいアスリートシャフトだ。
正直に言えば、筆者(HS50m/s)には『XT』は少々手強い。絶対に左にいかない代わりに、右へも飛びやすくなるのに対し、『XD』は左へいかない性能はそのままに、『XT』よりマイルドで右へのミスを減らせる印象。これだけ扱いやすくなったものよりも『XT』が好まれるというのは、前述のとおり、学生の使用者が多いということか。
タイガーほどではないにしろ、自分の10代後半、20代前半の体を振り返るとこれも当然。筋肉の柔軟性や、関節可動域は言うまでもなく柔らかい。加えて筋力や瞬発力も高く、「学生時代の方がプロ入り後よりも飛んでいた」なんて逸話はプロゴルファーからも過去に多々聞いてきた。学生が一番ハードなシャフトを使うのはむしろ自然なことだ。
■なぜ三菱? PGAツアーで支持を受ける理由と重なる■
以上のように、日本アマでの『クロカゲXT』の高い使用率を考察したが、【パワフルなアスリートが好む】点は、筆者の目にはPGAツアーの状況と重なる。いいものを合理的にどんどん試して使っていくPGAツアープロと、忖度の必要がない、いわば大人の事情を持たない学生たちの姿と重なるのだ。
もちろん、大元にあるのは、柔軟かつパワフルな選手が意のままに操れる反応の良さと追従性だと思う。これらは同社シャフトに共通したものだ。表現が難しいが、素材がいいというか、海外のシャフトにありがちな棒っぽさがなく、青竹のようなしなやかさと復元力、反応の良さがプレーヤビリティを引き上げると感じる。だからこそ、長年に渡るPGAツアートップシェアの座を築けたのではないか。
マキロイを代表に、若者が憧れるPGAツアープロの多くが三菱製シャフトを使い続ける限り、学生たちの使用者が極端に減ることは今後もなさそうだ。
Text/Mikiro Nagaoka
■カッコいいスイング、R・マキロイの影響か!?■
近年、日本アマは学生の戦いとなっている。調子が良ければプロをも凌ぐ、実力ある若者たちが腕を競い合う。かつてのように多くの社会人アマが本戦へ勝ち上がることを願ってやまないが、技術・体力があり、最新クラブを手にした練習量豊富な学生は強い。
筆者がまず疑ったのは「ローリー・マキロイの影響ではないか?」ということ。流れるように滑らかかつ、フィニッシュまで高速で振り抜かれる美しいスイングは誰もが憧れる。『クロカゲXT』といえば、マキロイ。マキロイといえば、『クロカゲXT』。カッコいいスイングから放たれる飛距離、アスリートのアイドル的存在の影響を疑う。
ところが、今季のマキロイはちょっと違った。米国仕様の『テンセイCK Pro オレンジ』を約半年使っていた。そして、そのマキロイの飛ばしが起点となり、PGAツアーでこのシャフトに移行する選手(タイガー、ローズ、ガルシア他多数)が続出。同業者に影響を与えるほどであるから、日本の若者にもその影響力は当然だが、米国仕様ゆえ、学生たちがそのまま『XT』を使い続けてもなんら不思議ではない。
そして、直近でマキロイは『XT』の後継である『クロカゲXD』へ移行した。「全英オープン」では安全なアイアンのティショットが当然なのに、マキロイはドライバーで豪打を放ち続けた。やはり『クロカゲ』がこの男の本来の力を引き出すのだろうか。
■なぜ『クロカゲ』シリーズが選ばれる?■
三菱ケミカルは、2004年から14年連続でPGAツアーのトップシェアを握っている。『クロカゲXT』はそのPGAツアープロの要望で生まれただけあり、全体の剛性が高く、絶対に左へ行かせないアスリート御用達シャフト。そして、今年生まれた後継の『クロカゲXD』も『XT』から移行しやすいシャフトで後継と呼ぶにふさわしいアスリートシャフトだ。
正直に言えば、筆者(HS50m/s)には『XT』は少々手強い。絶対に左にいかない代わりに、右へも飛びやすくなるのに対し、『XD』は左へいかない性能はそのままに、『XT』よりマイルドで右へのミスを減らせる印象。これだけ扱いやすくなったものよりも『XT』が好まれるというのは、前述のとおり、学生の使用者が多いということか。
タイガーほどではないにしろ、自分の10代後半、20代前半の体を振り返るとこれも当然。筋肉の柔軟性や、関節可動域は言うまでもなく柔らかい。加えて筋力や瞬発力も高く、「学生時代の方がプロ入り後よりも飛んでいた」なんて逸話はプロゴルファーからも過去に多々聞いてきた。学生が一番ハードなシャフトを使うのはむしろ自然なことだ。
■なぜ三菱? PGAツアーで支持を受ける理由と重なる■
以上のように、日本アマでの『クロカゲXT』の高い使用率を考察したが、【パワフルなアスリートが好む】点は、筆者の目にはPGAツアーの状況と重なる。いいものを合理的にどんどん試して使っていくPGAツアープロと、忖度の必要がない、いわば大人の事情を持たない学生たちの姿と重なるのだ。
もちろん、大元にあるのは、柔軟かつパワフルな選手が意のままに操れる反応の良さと追従性だと思う。これらは同社シャフトに共通したものだ。表現が難しいが、素材がいいというか、海外のシャフトにありがちな棒っぽさがなく、青竹のようなしなやかさと復元力、反応の良さがプレーヤビリティを引き上げると感じる。だからこそ、長年に渡るPGAツアートップシェアの座を築けたのではないか。
マキロイを代表に、若者が憧れるPGAツアープロの多くが三菱製シャフトを使い続ける限り、学生たちの使用者が極端に減ることは今後もなさそうだ。
Text/Mikiro Nagaoka