薄フェースを【裏から支える】技術革新の未来。BSとタイトリストが牽引!?【記者の目】
薄フェースを【裏から支える】技術革新の未来。BSとタイトリストが牽引!?【記者の目】
配信日時: 2019年8月12日 08時43分
ブリヂストンスポーツ(以下、BS)が『TOUR B JGR』シリーズを正式リリースした。ALBA.netで新『JGRプロト』としてずっと追いかけ続けてきたモデルで、これまで伏せられていた謎のネジの秘密が判明。最新作に貫かれた哲学は【接点の科学】。6年がかりで開発した「SP-COR(サスペンションコア)」で性能強化した経緯について望月基社長はこう切り出す。
「様々な規制からクラブの性能差を出すのが難しい状況下で、長きに渡りタイヤで培ってきた【接点】に着目しました。例えば、ブリヂストンはタイヤにおける路面との接点を『アルティメット・アイ』で可視化・活用しています。ゴルフに置いても【接点の科学】を追求し、クラブとの接点であるボールが起点となり、この接点の科学を深めることで、ゴルフのパフォーマンスアップにつなげます。当社らしさとは、接点を科学し、接点を極めること。オールブリヂストンで、このような方向から【革新は、この1点から始まる】というコンセプトで革新的な機能を追求しております」(望月社長)
その「SP-COR」誕生の経緯について、マーケティング担当の塩原潤一氏はこう説明する。
「JGRは飛距離への挑戦の歴史です。ツアーステージ時代から今作は8代目となり、4代目までは【ヘッドの大型化】、5代目以降は【ボディ剛性の追求】がありました。さらなる追求で、8代目は革新を求め、新構造に挑戦しております。それが、今回の【フェースを裏側から支える】というコンセプトです。当初は、2点でフェース裏側から支えておりましたが、それだとオフセンターヒットで反発が落ちるため、1点で支える形にしました。
また、金属同士で支える構造上の問題もありました。そこで、ブリヂストンの強みである樹脂素材を搭載することで、サスペンションのように衝撃のエネルギーを活かす【SP-COR=サスペンションコア】という新設計を搭載することに。これは6年かけて開発した技術で、センター下部を裏側から抑えることで、オフセンターヒットの反発を上げるという画期的な構造です」(マーケティング担当・塩原氏)
■薄いフェースを適合にして、エリアも広げ、打感も向上
端的に言えば、「SP-COR」の採用は“良いことづくめ”となる。薄いフェースを裏側から支えることで、ギリギリ適合かつ高い反発性をキープし、その上でオフセンターヒットでも高初速エリアが広く、吸い付くような打感の恩恵まであった。
これらは既に多くのプロが証明・コメントしているが、ドライバーを長年替えられなかった松田鈴英、三ヶ島かならがすぐに替えたことに加え、クラブ契約フリーからBS契約に戻ってきた片岡大育の行動も、そのことを物語っていると感じる。
ドライバー、アイアンに「SP-COR」が搭載されているが、同社の理屈どおりの性能が出ていると筆者も打って体感できた。ドライバーは新『JGRプロト』の段階から入手して試してきたが、吸い付く打感と弾き感、高い初速性能が出ているのは間違いない。
■タイト『T200』『T300』の新技術とそっくり!
そして、この【薄フェースを裏側から支える】という考え方が、タイトリスト『T200』『T300』アイアンに採用された「MAXインパクトテクノロジー」にそっくりだと感じた。(1点を裏側からポリマーで支える点は同じでも、そのクラブカテゴリーは異なるのだが…)
『T200』アイアンはわずか1.9ミリの極薄フェース。そして、フェースのどの位置を裏側から支えるか? BSのウッド類ではフェースセンターの下側を支えたが、タイトリストのアイアン類では、フェースセンターよりトゥの上側を支えることが効果的だと言う結論だ。
同じ【裏側をポリマーで支える】コンセプトでも、クラブカテゴリが違うと支える位置が変わるのに、初速エリアが広がって打感の向上も共通するというのが興味深い。ところで、新しい『TOUR B JGR』にはアイアンもあるが、残念ながらタイトリストのように一点で裏側を支える構造ではなかった。
■『JGR HF3』はどこを支えた? 何がいい?
『JGR HF3』は、ヘッド内部に大量にポリマーを充填する形で、PXGやテーラーメイド『P790』に近いタイプだと言えるだろうか。最薄部1.4ミリの「ディンプルフェース」と呼ぶ特殊なフェースにはなっているが、フェース全体が極端に薄いわけではなかった。
だが、構造は別にして筆者が『TOUR B JGR』シリーズを全部打って、一番強く印象に残ったのは『JGR HF3』アイアンだ。理由は複合構造のアイアンとは思えないほど、打感が柔らかいから。(軟鉄鍛造と誤解するほど)しかも、打点をトゥやヒールに激しく外しても、気持ち良い打感と共に、タテ距離、横ブレも極めて少なく、アゲンスト風の中平均して7Iで190ヤード弱を打ち続けられた。
また、ただ飛ぶだけの飛び系アイアンではなく、めくれ上がるような球質が打てるところも特筆。トラックマンの数字で平均して6000回転のバックスピンが入っていたため、「止まりやすい」プチ飛び系アイアンとして、使いやすさも広がったと感じる。
【接点の科学】が搭載されたBS『TOUR B JGR』ドライバーと、タイトリスト『T200』『T300』アイアン、あなたはどう感じるだろうか。正直、打感も反発も急激な進化だと感じるし、今後、複数メーカーが研究を始めて追随してもおかしくないと思う。腕はどうあれ、ゴルファーは、それくらい反発(飛び)と打感には敏感な生き物だと思うからだ。
Text/Mikiro Nagaoka
「様々な規制からクラブの性能差を出すのが難しい状況下で、長きに渡りタイヤで培ってきた【接点】に着目しました。例えば、ブリヂストンはタイヤにおける路面との接点を『アルティメット・アイ』で可視化・活用しています。ゴルフに置いても【接点の科学】を追求し、クラブとの接点であるボールが起点となり、この接点の科学を深めることで、ゴルフのパフォーマンスアップにつなげます。当社らしさとは、接点を科学し、接点を極めること。オールブリヂストンで、このような方向から【革新は、この1点から始まる】というコンセプトで革新的な機能を追求しております」(望月社長)
その「SP-COR」誕生の経緯について、マーケティング担当の塩原潤一氏はこう説明する。
「JGRは飛距離への挑戦の歴史です。ツアーステージ時代から今作は8代目となり、4代目までは【ヘッドの大型化】、5代目以降は【ボディ剛性の追求】がありました。さらなる追求で、8代目は革新を求め、新構造に挑戦しております。それが、今回の【フェースを裏側から支える】というコンセプトです。当初は、2点でフェース裏側から支えておりましたが、それだとオフセンターヒットで反発が落ちるため、1点で支える形にしました。
また、金属同士で支える構造上の問題もありました。そこで、ブリヂストンの強みである樹脂素材を搭載することで、サスペンションのように衝撃のエネルギーを活かす【SP-COR=サスペンションコア】という新設計を搭載することに。これは6年かけて開発した技術で、センター下部を裏側から抑えることで、オフセンターヒットの反発を上げるという画期的な構造です」(マーケティング担当・塩原氏)
■薄いフェースを適合にして、エリアも広げ、打感も向上
端的に言えば、「SP-COR」の採用は“良いことづくめ”となる。薄いフェースを裏側から支えることで、ギリギリ適合かつ高い反発性をキープし、その上でオフセンターヒットでも高初速エリアが広く、吸い付くような打感の恩恵まであった。
これらは既に多くのプロが証明・コメントしているが、ドライバーを長年替えられなかった松田鈴英、三ヶ島かならがすぐに替えたことに加え、クラブ契約フリーからBS契約に戻ってきた片岡大育の行動も、そのことを物語っていると感じる。
ドライバー、アイアンに「SP-COR」が搭載されているが、同社の理屈どおりの性能が出ていると筆者も打って体感できた。ドライバーは新『JGRプロト』の段階から入手して試してきたが、吸い付く打感と弾き感、高い初速性能が出ているのは間違いない。
■タイト『T200』『T300』の新技術とそっくり!
そして、この【薄フェースを裏側から支える】という考え方が、タイトリスト『T200』『T300』アイアンに採用された「MAXインパクトテクノロジー」にそっくりだと感じた。(1点を裏側からポリマーで支える点は同じでも、そのクラブカテゴリーは異なるのだが…)
『T200』アイアンはわずか1.9ミリの極薄フェース。そして、フェースのどの位置を裏側から支えるか? BSのウッド類ではフェースセンターの下側を支えたが、タイトリストのアイアン類では、フェースセンターよりトゥの上側を支えることが効果的だと言う結論だ。
同じ【裏側をポリマーで支える】コンセプトでも、クラブカテゴリが違うと支える位置が変わるのに、初速エリアが広がって打感の向上も共通するというのが興味深い。ところで、新しい『TOUR B JGR』にはアイアンもあるが、残念ながらタイトリストのように一点で裏側を支える構造ではなかった。
■『JGR HF3』はどこを支えた? 何がいい?
『JGR HF3』は、ヘッド内部に大量にポリマーを充填する形で、PXGやテーラーメイド『P790』に近いタイプだと言えるだろうか。最薄部1.4ミリの「ディンプルフェース」と呼ぶ特殊なフェースにはなっているが、フェース全体が極端に薄いわけではなかった。
だが、構造は別にして筆者が『TOUR B JGR』シリーズを全部打って、一番強く印象に残ったのは『JGR HF3』アイアンだ。理由は複合構造のアイアンとは思えないほど、打感が柔らかいから。(軟鉄鍛造と誤解するほど)しかも、打点をトゥやヒールに激しく外しても、気持ち良い打感と共に、タテ距離、横ブレも極めて少なく、アゲンスト風の中平均して7Iで190ヤード弱を打ち続けられた。
また、ただ飛ぶだけの飛び系アイアンではなく、めくれ上がるような球質が打てるところも特筆。トラックマンの数字で平均して6000回転のバックスピンが入っていたため、「止まりやすい」プチ飛び系アイアンとして、使いやすさも広がったと感じる。
【接点の科学】が搭載されたBS『TOUR B JGR』ドライバーと、タイトリスト『T200』『T300』アイアン、あなたはどう感じるだろうか。正直、打感も反発も急激な進化だと感じるし、今後、複数メーカーが研究を始めて追随してもおかしくないと思う。腕はどうあれ、ゴルファーは、それくらい反発(飛び)と打感には敏感な生き物だと思うからだ。
Text/Mikiro Nagaoka