“カッコイイのにやさしい”が新常識。【見た目・マッスル】な『P770』『P790』の進化が凄すぎる!
かつて“マッスル”といえば、上級者だけが使いこなせる難しいアイアンだった。しかし、テーラーメイド『P790』ら最新モデルは、見た目はまるで“マッスル”なのに、性能は“やさしく”仕上がっているという。そこで最新『P790』をさまざまな視点から掘り下げて分析してみた。
配信日時: 2021年9月21日 22時00分
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最新『P790』は超低重心の“広”反発ヘッドだった!
さらにシャープなデザインに変更された、テーラーメイドの最新『P790』。これだけ聞くと、旧『P790』よりも難しくなっていそうだが、ヘッド形状を比較すると意外な事実が。最新『P790』は、よりオートマチックに真っすぐ飛ばせて、しかもミスに強いヘッドに仕上がっていた。
筒康博が新旧『P790』を計測して、まず見るべきポイントは「トゥの高さとネック高さが近づいて、オートマチック化が進んだ」ことだと言う。「旧モデルに比べ、トゥが高く、ネックが低くなった最新『P790』。トゥ側に重量が配分され、ヘッド全体の慣性モーメントが高まりました。余分なフェースの開閉を抑えながら、真っすぐなボールが打ちやすい重心設計になっています」(筒)
筒康博が新旧『P790』を計測して、まず見るべきポイントは「トゥの高さとネック高さが近づいて、オートマチック化が進んだ」ことだと言う。「旧モデルに比べ、トゥが高く、ネックが低くなった最新『P790』。トゥ側に重量が配分され、ヘッド全体の慣性モーメントが高まりました。余分なフェースの開閉を抑えながら、真っすぐなボールが打ちやすい重心設計になっています」(筒)
2つめのポイントは「重心がより低くなってスイートエリアが拡大」したこと。初代から『P790』を愛用してきた、5Dゴルフの石塚昌広も「タングステンウエイトの大型化もあって、重心高さは0.5ミリ低くなった」と唸る。「重心が下がると下めヒットでもエネルギー効率が下がらず、高さも出ます。特に最新『P790』はタングステンが打点を裏から支える役割もあるので、打っていてスイートエリアがかなり広がったと気づきます」(石塚)
バックフェースだけじゃなく、顔もシャープに
目が肥えた2人とも、シャープな顔、シンプルなバックフェースを好むのは当然。この点は思いの外、新『P790』の高評価に大きく影響していた。旧『P790』のオフセットが2.2mmだが、新『P790』は1.9mm。よりネックからフェースまでがストレートに見えるようオフセットを微調整。また、トップラインもやや薄くなっており、見た目はアスリートモデルに近いシャープな印象になっていた。
また、見た目の印象だけでなく「ソール幅を狭くすることでよりシャープに振り抜ける」と、新『P790』のソールも好評。見た目に影響しない範囲でソール幅は少し狭く設計されており、「シャープな見た目に合った抜けの良さがありつつ、ソール形状の工夫によってダフリなどミスへの強さも備えてますね」と石塚。
また、見た目の印象だけでなく「ソール幅を狭くすることでよりシャープに振り抜ける」と、新『P790』のソールも好評。見た目に影響しない範囲でソール幅は少し狭く設計されており、「シャープな見た目に合った抜けの良さがありつつ、ソール形状の工夫によってダフリなどミスへの強さも備えてますね」と石塚。
「ヘッドの低重心化、そして1.5mmの極薄フェースの効果で、とにかく芯が広くなりました。さらに、前作よりもトゥやフェースセンターを高く設計することで、構えたときの安心感が増しています。ネックを短くしたことで重量配分がさらに最適化されて、ヘッド全体の慣性モーメントが増え、一層タテの距離感が合いやすくなりました。見た目こそシャープになりましたが、性能的には前作よりもやさしくなっているといえます」(筒)
5Iと7Iで「見た目・マッスル」3機種を比較すると?
ところで、“見た目・マッスル”な新『P790』が出てくるより前に、『P770』がそう姿を変えていたこともお気づきのはず。テーラーメイドファンなら必ず気になる部分でもあるため、最新『P790』の実力チェックで『P770』も含めて比較すると、それぞれの特性が明らかになった。まずは、『P770』の評価だ。
【P770】▶アスリートモデルの操作性に寛容性をプラス
【P770】▶アスリートモデルの操作性に寛容性をプラス
筒 「ソフトな中にも芯のある打感。アスリートモデルに求められるフィーリングや操作性を残しつつ、やさしさだけを足している感じがしますね。7Iロフトが33°なので、飛距離は控えめに見えるかもしれませんが、ミスした時の落ち込みの少なさが印象的」
石塚 「P770の初代は、稲見萌寧プロがずっと使っていますけど、キャビティ構造でした。現行モデルは新『P790』より先に【見た目マッスル】になりましたが、打点ズレへの強さがありつつ、技も使える感じです。中・上級者に特にメリットの大きいアイアンですよね」
新【P790】▶長い番手ほどミスへの強さが際立つ
石塚 「P770の初代は、稲見萌寧プロがずっと使っていますけど、キャビティ構造でした。現行モデルは新『P790』より先に【見た目マッスル】になりましたが、打点ズレへの強さがありつつ、技も使える感じです。中・上級者に特にメリットの大きいアイアンですよね」
新【P790】▶長い番手ほどミスへの強さが際立つ
筒 「旧『P790』はネックが長めで操作性があるぶん、スピン量の増減が大きい印象でスピンが抑えられたときは、かなりの飛距離が出ます。それと比較して新『P790』はソフトな打感だけど、強烈な弾きも感じられます。特に5番は打ち出し高さもしっかり出るので、想像以上にキャリーが出ました」
石塚 「ボクはアイアンのスピン量が少ない方なので、旧『P790』の5番は低スピンで直進性が高くて、長い番手をティショット用に使うのもアリという感じ。新『P790』は思い切り振っても吹き上がらず、強い球で前に伸びます。長い番手はUTに近い性能の高さがありますね」
石塚 「ボクはアイアンのスピン量が少ない方なので、旧『P790』の5番は低スピンで直進性が高くて、長い番手をティショット用に使うのもアリという感じ。新『P790』は思い切り振っても吹き上がらず、強い球で前に伸びます。長い番手はUTに近い性能の高さがありますね」
高弾道でキャリーが伸びた新『P790』
試打を終えた二人が口を揃えたのは、最新『P790』はレベルに関係なく満足度の高いアイアンに仕上がっていることだった。ショットマーカーをつけて、打点ごとのデータを測定したが、「芯を外そうとしても、振りやすく自然に打点がセンター付近に集まってしまう。ちょっとのズレではボール初速がほとんど落ちませんし、そもそもクラブがスイング自体を矯正してくれるのは最新『P790』のバランスのよさの賜です」(筒)
「“やさしいアイアン”というと、パワーがある人が打つと吹き上がったりということがありますが、最新『P790』には当てはまりません。レベルやパワーに関係なく、理想的な弾道が安定して出せる。この性能で見た目もカッコいいときたら、使わない理由がないですね」(石塚)
「ミスヒットへの強さ、そしてそもそもミスヒットになりにくいなど、最新『P790』はやさしく狙った地点にボールを運べるアイアンでした。5番でも安定した高いボールでキャリーが出せるのには驚きましたし、7番の打ちやすさで5番の距離が出せる印象です」(筒)
見た目のカッコよさと、ミスへの強さ・性能の高さは両立できる。【見た目・マッスル】の登場で、どうやらアイアンの常識は大きく変わったようだ。
取材協力/インドアゴルフレンジKz亀戸店
撮影/山代厚男
文/田辺直喜
「“やさしいアイアン”というと、パワーがある人が打つと吹き上がったりということがありますが、最新『P790』には当てはまりません。レベルやパワーに関係なく、理想的な弾道が安定して出せる。この性能で見た目もカッコいいときたら、使わない理由がないですね」(石塚)
「ミスヒットへの強さ、そしてそもそもミスヒットになりにくいなど、最新『P790』はやさしく狙った地点にボールを運べるアイアンでした。5番でも安定した高いボールでキャリーが出せるのには驚きましたし、7番の打ちやすさで5番の距離が出せる印象です」(筒)
見た目のカッコよさと、ミスへの強さ・性能の高さは両立できる。【見た目・マッスル】の登場で、どうやらアイアンの常識は大きく変わったようだ。
取材協力/インドアゴルフレンジKz亀戸店
撮影/山代厚男
文/田辺直喜