【PGAツアー】バケモノたちの使用ギア【キャリーお化けのダスティン・ジョンソン編】
もうすぐ開幕の全米オープン。練習ラウンドでは、我らの松山英樹が340ヤードのミドルホールをワンオンどころかグリーンオーバーさせたとの情報が届いている。そんな世界最高峰のツアーは松山を上回るバケモノ揃い。今回はスピンオフのPGAツアーデータ・ドリブンシリーズとして、さまざまな公式データからギアとバケモノの相関関係をひも解いて行きたいと思う。
配信日時: 2017年6月14日 09時36分
目次 / index
平均キャリーも平均飛距離も1位はDJ!
1位■ダスティン・ジョンソン(キャリー303.7y、トータル312.1y)
1W■テーラーメイド『M1 460』(11度、Fujikura Speeder Evolution2.0 TourSpec 661X)
BALL■テーラーメイド『TP5x』
1W■テーラーメイド『M1 460』(11度、Fujikura Speeder Evolution2.0 TourSpec 661X)
BALL■テーラーメイド『TP5x』
最大キャリーは340.1ヤード、最低キャリーでも278.1ヤードと、キャリーモンスターぶりを発揮するDJ。その秘密は、持ち球を近年ドローからフェードに移行していることが大きいだろう。
安定したフェードを打つため、『M2』ではなくスライド式ウェートで重心移動が出来る『M1 460』を選んでおり、ウェートのポジションは重心距離がノーマル、重心深度は一番深めの位置に設定。
これで挙動の安定したヘッドを活かしつつ、初速の速い『M1 460』をロフトアップして使うことで、安定したフェードでキャリーを稼ぐスタイルにしてから近年目に見えて成績が良くなっている。
安定したフェードを打つため、『M2』ではなくスライド式ウェートで重心移動が出来る『M1 460』を選んでおり、ウェートのポジションは重心距離がノーマル、重心深度は一番深めの位置に設定。
これで挙動の安定したヘッドを活かしつつ、初速の速い『M1 460』をロフトアップして使うことで、安定したフェードでキャリーを稼ぐスタイルにしてから近年目に見えて成績が良くなっている。
最速と最遅の差が少なく、コントロールしているのにツアー最速級のスピードが出るDJ
ちなみに、飛距離に最も影響するといわれるのがボール初速である。DJが放つボール初速は平均181.4マイル(約81m/s、ツアー9位)。1位のブランドン・ハジーの186.12マイル(約83.2m/s)より劣って見えるが、本当にすごいのはその最速(184.65マイル)と最遅(177.85マイル)の差の少なさにある。最速と最遅の初速の差がツアー平均10.11マイルに対して、DJはわずか6.8マイルしかない。
ボール初速の最速と最遅の差が少ないことから【1】DJがいかにコントロールされたスピードで振ってツアートップのボール初速を出しているか、【2】打点位置のブレが少なく再現性が高いことが分かる。もっと言うなら、他の人間よりも余力を残した状態なのにボール初速がトップクラスというのは驚異的だ。
これはヘッドスピードのデータからも顕著に分かる。ツアートップのライアン・ブレームが平均127.78マイル(約57.1m/s)に対してDJは平均121.64マイル(約54.4m/s、ツアー11位)。ところが、その最速と最遅の差はブレームが10.59マイルに対し、DJは6.66。(ちなみに、松山英樹も差が5.62マイルとかなり少ない!)
また、PGAツアー全選手の平均が8.19であることから、DJが常に同じヘッドスピードでコントロールして振っているにもかかわらず、トップレベルのヘッドスピード、ボール初速を持っていることがよく分かる。結果、ツアー1位の飛距離を持ちながら、GOOD DRIVE PERCENTAGE(ナイスショット率)が86.39%(ツアー9位)を記録している。(ちなみに石川遼は76.56%でツアー198位)
ボール初速の最速と最遅の差が少ないことから【1】DJがいかにコントロールされたスピードで振ってツアートップのボール初速を出しているか、【2】打点位置のブレが少なく再現性が高いことが分かる。もっと言うなら、他の人間よりも余力を残した状態なのにボール初速がトップクラスというのは驚異的だ。
これはヘッドスピードのデータからも顕著に分かる。ツアートップのライアン・ブレームが平均127.78マイル(約57.1m/s)に対してDJは平均121.64マイル(約54.4m/s、ツアー11位)。ところが、その最速と最遅の差はブレームが10.59マイルに対し、DJは6.66。(ちなみに、松山英樹も差が5.62マイルとかなり少ない!)
また、PGAツアー全選手の平均が8.19であることから、DJが常に同じヘッドスピードでコントロールして振っているにもかかわらず、トップレベルのヘッドスピード、ボール初速を持っていることがよく分かる。結果、ツアー1位の飛距離を持ちながら、GOOD DRIVE PERCENTAGE(ナイスショット率)が86.39%(ツアー9位)を記録している。(ちなみに石川遼は76.56%でツアー198位)
左手甲を折ってダウンブローに打ち、球筋もフェードでラン少なめ。あえて最大飛距離はロスさせる
PGAツアーにはTOTAL DISTANCE EFFICIENCY(総距離効率)という指標が出ており、これは平均ヘッドスピードと平均距離の効率の良さを示している。ここでDJは63位。(谷原秀人が現在ラウンド数が少ないものの堂々1位!)つまり、ヘッドスピードの割には飛んでいないということになる。(それでも平均飛距離も平均キャリーもツアー1位なのだが……)
理由は最高到達点がツアートップクラスに遠いフェードが持ち球のため、ランが少なくなる(8.4yしか出ない)ことと、左手甲を折る特異な打ち方によるダウンブローが原因だと考えられる。最大飛距離のことだけを考えれば、アッパーブローでドロー回転のボールを打つ方がインパクト効率も良くなってランも増える。DJはこれと真逆の打ち方で、曲げずに安定した最大キャリーを打つことを重視しているのだろう。(PGAツアー全体のドライバー入射角の平均も約1.3度ダウンブロー)
ロフト11度のドライバーを使っているとはいえ、弾道がさして高い方ではない。DJは超ダウンブロー&ハンドファーストでロフトを殺すインパクトをするため、打ち出し角を出すためには多めのロフトが必要になる。平均弾道の高さは36.3メートルでツアーでは高い方から数えて21位。ただし、11度のロフトだが、おそらく9度以下のインパクトロフトなのか、平均バックスピン量は2282.2rpm(ツアーで16位)と非常に少ない方。このスピン量なら風の影響も非常に受けづらいといえるだろう。
理由は最高到達点がツアートップクラスに遠いフェードが持ち球のため、ランが少なくなる(8.4yしか出ない)ことと、左手甲を折る特異な打ち方によるダウンブローが原因だと考えられる。最大飛距離のことだけを考えれば、アッパーブローでドロー回転のボールを打つ方がインパクト効率も良くなってランも増える。DJはこれと真逆の打ち方で、曲げずに安定した最大キャリーを打つことを重視しているのだろう。(PGAツアー全体のドライバー入射角の平均も約1.3度ダウンブロー)
ロフト11度のドライバーを使っているとはいえ、弾道がさして高い方ではない。DJは超ダウンブロー&ハンドファーストでロフトを殺すインパクトをするため、打ち出し角を出すためには多めのロフトが必要になる。平均弾道の高さは36.3メートルでツアーでは高い方から数えて21位。ただし、11度のロフトだが、おそらく9度以下のインパクトロフトなのか、平均バックスピン量は2282.2rpm(ツアーで16位)と非常に少ない方。このスピン量なら風の影響も非常に受けづらいといえるだろう。
全ショットダウンブローで、パーオン率まで1位に。低スピンで1Wは風にも強い!
まとめると、PGAツアーきってのキャリーモンスターであるDJは、ダウンブローでロフトを殺す打ち方のため、11度と大きめのロフトを選ぶ。また、安定したフェードを打つため、『M1 460』のスライド式ウェートを最大限に使ってフェースが返りづらく、打ち出し角が上がる深い重心設定を選ぶ。低スピン&初速性能に定評ある『TP5x』と相性がいい『M1 460』で安定した中・高弾道低スピンフェードでツアー最大のキャリーを生み出している。
現在、ティショットのアドバンテージを武器に、誰よりも短い番手でセカンドショットを打つためか、パーオン率も1位に君臨する。ちなみに、『2017 M1フェアウェイウッド』の3Wは、ロフト17度で5Wの短さにもかかわらず、芝の上から280yのキャリーを打てるという……。なんというキャリーモンスターなのだろうか。7700ヤードのエリンヒルズGC攻略に最も近いのは、風にも強いキャリーモンスターで間違いないだろう。
現在、ティショットのアドバンテージを武器に、誰よりも短い番手でセカンドショットを打つためか、パーオン率も1位に君臨する。ちなみに、『2017 M1フェアウェイウッド』の3Wは、ロフト17度で5Wの短さにもかかわらず、芝の上から280yのキャリーを打てるという……。なんというキャリーモンスターなのだろうか。7700ヤードのエリンヒルズGC攻略に最も近いのは、風にも強いキャリーモンスターで間違いないだろう。
Text/Mikiro Nagaoka