日本でも起こったタイ旋風、支えたのはなんと“兵庫発”の地クラブ
タイのポラニ・チュティチャイが国内女子ツアー「ヨネックスレディス」で初優勝を挙げた。米国女子ツアーではアリヤ・ジュタヌガーンがツアー初優勝からなんと3週連続優勝。米国男子ツアーではキラデク・アフィバーンラトが「マスターズ」で活躍するなど、世界で“タイ旋風”が巻き起こっている。その流れが日本にも上陸した形だが、チュティチャイの優勝で衝撃だったのは、愛用のドライバーが“地クラブ”だったことだった。
配信日時: 2016年7月5日 01時50分
ツアーで目にした見慣れないクラブ、それが…
その手に握られていたのは、ギア通でも見慣れないクラブだったのは間違いない。初日、9アンダーをマークし14年ぶりに大会コースレコードを更新したチュティチャイにそのドライバーは何か聞いてみた。返ってきた答えは「BALDO(バルド)です。タイではかなり人気なんですよ」。
正確にはバルドの『COMPETIZIONE 568』。ブランド名こそ聞いたことはあったが実際にツアーの現場で目にしたのは初めて。早速、バルドを展開する株式会社Evangelist Japan(兵庫県姫路市)の代表取締役・梅本伸昌氏を直撃した。
無名のタイ人ゴルファーにクラブを提供したのは「タイの選手の多くはハングリー、その方たちは契約金うんぬんじゃなくて、自分にあった良いクラブが使いたいんですよ。我々ぐらいの会社でよければ協力してあげるよ、というのが僕のスタンスなんです」。契約金やクラブ調整のことを考えれば、プロのほとんどはツアーバンを出せる大手メーカーのクラブをチョイスするのが一般的。その中で地クラブを選ぶプロはごく一部、本当にそのクラブが気に入ったので使っているのだろう。アリヤが活躍する前のタイの女子プロの代表格、ポーナノン・パットラムはバルドの契約プロだった。兵庫発の地クラブがタイで人気、しかもそれを使用したプロが日本で勝つ――。これは稀有なことだろう。バルドについてもっと知りたいと思い、改めて梅本氏が東京に来るタイミングで話を聞いた。
正確にはバルドの『COMPETIZIONE 568』。ブランド名こそ聞いたことはあったが実際にツアーの現場で目にしたのは初めて。早速、バルドを展開する株式会社Evangelist Japan(兵庫県姫路市)の代表取締役・梅本伸昌氏を直撃した。
無名のタイ人ゴルファーにクラブを提供したのは「タイの選手の多くはハングリー、その方たちは契約金うんぬんじゃなくて、自分にあった良いクラブが使いたいんですよ。我々ぐらいの会社でよければ協力してあげるよ、というのが僕のスタンスなんです」。契約金やクラブ調整のことを考えれば、プロのほとんどはツアーバンを出せる大手メーカーのクラブをチョイスするのが一般的。その中で地クラブを選ぶプロはごく一部、本当にそのクラブが気に入ったので使っているのだろう。アリヤが活躍する前のタイの女子プロの代表格、ポーナノン・パットラムはバルドの契約プロだった。兵庫発の地クラブがタイで人気、しかもそれを使用したプロが日本で勝つ――。これは稀有なことだろう。バルドについてもっと知りたいと思い、改めて梅本氏が東京に来るタイミングで話を聞いた。
一枚のデッサンから全てがはじまる
「クラブのデザインが格好がいいな、これ使ってみたいな。そう思われるデザインを取り入れたブランド、それがバルドの成り立ちなんです」。熱く、エネルギッシュに話してくれた梅本氏。バルドは氏が自ら筆をとって書き上げる一枚のデッサンから開発が始まる。スポーツカーなどからインスピレーションを受けた彫りの深いデザインがバルドの特徴。梅本氏はもとは営業マンで、デザインは独学で習得したという。今でこそ、デザインを重視したクラブが世に出ているが、バルドを立ち上げたようと思い立った10年前にはかっこいいと思えるクラブはなく、ならばと会社を設立したという。「自分たちが楽しみたい、これが原点なんです」。タイでも人気を博しているが売り上げの大半は日本国内。それでもタイ人プロをサポートするには利益よりも、それが“楽しい”からだと梅本氏はいう。
バルドでは“いついつまでにクラブを出す”、といった商品サイクル的な期限は存在しない。それは「いろんな方とお話したり、ギター弾いたり、そういうところでひらめいたりするのを待っている。無理に作ろうとして、作れるものではない」(梅本氏)。また、発売したクラブもそのほとんどが数量限定。チュティチャイが使用した『COMPETIZIONE 568』は問い合わせが急増し、同じスペックをオーダーをする客も多数出たが、それでも「売り切れたら終り。よくもっと作ってくれって言われるんですけども、そんな売れ続けるブランドでもないので(笑)」。本当に商売っ気のない会社のようだ。
バルドでは“いついつまでにクラブを出す”、といった商品サイクル的な期限は存在しない。それは「いろんな方とお話したり、ギター弾いたり、そういうところでひらめいたりするのを待っている。無理に作ろうとして、作れるものではない」(梅本氏)。また、発売したクラブもそのほとんどが数量限定。チュティチャイが使用した『COMPETIZIONE 568』は問い合わせが急増し、同じスペックをオーダーをする客も多数出たが、それでも「売り切れたら終り。よくもっと作ってくれって言われるんですけども、そんな売れ続けるブランドでもないので(笑)」。本当に商売っ気のない会社のようだ。
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タイで人気を博した理由は…!?