大慣性モーメントのドライバーに、新たな潮流
text by Kazuhiro Koyama
配信日時: 2017年12月25日 10時00分
ツアー後半戦で大活躍した、ピン『G400』
今季、ツアー後半で活躍が大いに目立ったのが、ピンの『G400』ドライバーだ。男女ツアーの賞金王、宮里優作と鈴木愛がともに使用、10月にエージシュートを達成した尾崎将司や、圧倒的な飛距離で今シーズン多いに飛躍した、チャン・キムも使用している(※すべて『G400 LSTec』)。
ピンのドライバーは、伝統的に慣性モーメント(※以下全て、ヘッド左右慣性モーメントを指す)が大きい。慣性モーメントが大きいヘッドは、ボールが曲がりにくくなり、方向性が良くなるとされていて、実際にピンのクラブは、その点の評価が高い。
慣性モーメントを大きくする条件は、重量を重くすること、そしてヘッドの周辺部に、より重量を分散させることだ。それを示すように、前作『Gドライバー』までのピンは、ヘッド重量が重く、扁平で投影面積が大きいヘッドが特徴的だった。しかし、最新作の『G400』は、ヘッド体積を445ccとひとまわり小さくしながら、前作以上の慣性モーメントを得ているのが興味深い。
慣性モーメントの上限は、ルール上、5900g・cm2(※100g・cm2の許容範囲)と定められている。仮に、ボールが真っすぐしか飛ばなかったら、ゴルフというゲームは成立しないから、慣性モーメントが大きくなりすぎることをルールで規制しているわけだ。
ところが、大きければ大きいほど有利であれば、ルールの上限いっぱいまで巨大化すればいいのだが、実際には、市販されるほとんどのドライバーが、4000〜5000g・cm2前後に収まっている。以前は、ルールめいっぱいの慣性モーメントを持つ、ナイキ『サスクワッチSUMO スクエア 5900』なども存在したが、むしろ例外的な存在だ。
ヘッド体積も反発係数も、ルール上限に限りなく近づいているのに、慣性モーメントは、ルール限度よりもはるかに小さい数値で収まっているのは、数値が大きくなればなるほど、振りにくくなる傾向があるからだろう。このあたりはシャフト長とも似ている。重量をより遠くに配置する分、操作がしにくくなるので、現代のドライバーは、曲がりにくさと振りやすさの頃合いで、落ち着いているようにみえる。
ピンのドライバーは、伝統的に慣性モーメント(※以下全て、ヘッド左右慣性モーメントを指す)が大きい。慣性モーメントが大きいヘッドは、ボールが曲がりにくくなり、方向性が良くなるとされていて、実際にピンのクラブは、その点の評価が高い。
慣性モーメントを大きくする条件は、重量を重くすること、そしてヘッドの周辺部に、より重量を分散させることだ。それを示すように、前作『Gドライバー』までのピンは、ヘッド重量が重く、扁平で投影面積が大きいヘッドが特徴的だった。しかし、最新作の『G400』は、ヘッド体積を445ccとひとまわり小さくしながら、前作以上の慣性モーメントを得ているのが興味深い。
慣性モーメントの上限は、ルール上、5900g・cm2(※100g・cm2の許容範囲)と定められている。仮に、ボールが真っすぐしか飛ばなかったら、ゴルフというゲームは成立しないから、慣性モーメントが大きくなりすぎることをルールで規制しているわけだ。
ところが、大きければ大きいほど有利であれば、ルールの上限いっぱいまで巨大化すればいいのだが、実際には、市販されるほとんどのドライバーが、4000〜5000g・cm2前後に収まっている。以前は、ルールめいっぱいの慣性モーメントを持つ、ナイキ『サスクワッチSUMO スクエア 5900』なども存在したが、むしろ例外的な存在だ。
ヘッド体積も反発係数も、ルール上限に限りなく近づいているのに、慣性モーメントは、ルール限度よりもはるかに小さい数値で収まっているのは、数値が大きくなればなるほど、振りにくくなる傾向があるからだろう。このあたりはシャフト長とも似ている。重量をより遠くに配置する分、操作がしにくくなるので、現代のドライバーは、曲がりにくさと振りやすさの頃合いで、落ち着いているようにみえる。