肉体改造によって大幅飛距離アップしたブライソン・デシャンボー。超人的なパワーを受け止めるギアとは?
大胆な筋肉増量によって、短期間で驚異的な飛距離アップを実現した、“ゴルフの科学者”ブライソン・デシャンボー。肉体改造後は成績も大きく向上し、「ロケットモーゲージ・クラシック」では、圧巻の優勝を果たしたデシャンボーのボールに注目してみた。<br> text by Kazuhiro Koyama photo by Getty Images
配信日時: 2020年7月10日 05時15分
平均で350ヤード、最長飛距離は驚異の377ヤード!
待望の国内女子ツアー初戦となった「アース・モンダミンカップ」は、渡邉彩香の5年ぶりの復活優勝に湧いた。ブリヂストンの看板プロでもある渡邉の使用ボールは『TOUR B X』。昨年、タイガー・ウッズの11年ぶりのメジャー優勝などで、同社のボールは大いに注目されたが、この試合では黄金世代の大里桃子、原英莉花も上位に入り、今年も内外で『TOUR B X/XS』ボールの好調ぶりは継続している。
その代表は、なんといってもブライソン・デシャンボーだ。「ロケットモーゲージ・クラシック」優勝の衝撃は、未だにその余韻でゴルフファンのざわつきが収まらないほどだ。新型コロナウィルスの影響で中断していたPGAツアーだが、再開後のデシャンボーの成績は、3位→8位→6位→優勝という見事なもので、多くのトップ選手がエントリーする中でも、別格の存在感を見せつけた。
そして、世界中で話題になっているのが、大幅に増量したデシャンボーの肉体改造だ。昨年あたりから、カラダが一回り二周り大きくなったのは感じられたが、3ヶ月の中断の後で現れたデシャンボーは、超人ハルクのようなガッチリとした体格になり、その別人のような風貌に驚いた人も多いだろう。
その代表は、なんといってもブライソン・デシャンボーだ。「ロケットモーゲージ・クラシック」優勝の衝撃は、未だにその余韻でゴルフファンのざわつきが収まらないほどだ。新型コロナウィルスの影響で中断していたPGAツアーだが、再開後のデシャンボーの成績は、3位→8位→6位→優勝という見事なもので、多くのトップ選手がエントリーする中でも、別格の存在感を見せつけた。
そして、世界中で話題になっているのが、大幅に増量したデシャンボーの肉体改造だ。昨年あたりから、カラダが一回り二周り大きくなったのは感じられたが、3ヶ月の中断の後で現れたデシャンボーは、超人ハルクのようなガッチリとした体格になり、その別人のような風貌に驚いた人も多いだろう。
しかし、本当に驚いたのは、単なる見た目の変わりようだけではない。その筋骨隆々の体躯から放たれるドライバーショットは、他のパワーヒッターよりも遥かに前に飛ぶ、常識外のビッグドライブになっている。3月にこのコラムでも紹介したように、デシャンボーはすでに3月の時点で、ドライビングディスタンスのトップに立っている。その時点では、何かコースや気候などとの条件が揃ったのではと思われていたが、平均飛距離1位のその時点から、さらに平均飛距離を20y以上伸ばし、優勝した「ロケットモーゲージ・クラシック」では、その平均飛距離は350y、最長飛距離はなんと377yだった。
【Twitter】優勝した試合でデシャンボーが350ヤード以上飛ばした16ショット全て
【Twitter】優勝した試合でデシャンボーが350ヤード以上飛ばした16ショット全て
Bryson DeChambeau had 16 drives over 350 yards at the @RocketClassic.
— PGA TOUR (@PGATOUR) July 6, 2020
The next closest player on the list had 7. pic.twitter.com/jmis9qmN31
デシャンボーのゴルフへの取り組みはいつも常識外だった
すでに完成されたスイングを持つ、トッププロの世界では、これほどの飛距離アップは常識ではまず考えられないことだ。そもそもこの短期間で、これだけの筋力アップを実現すること自体が、かなり常識外のことだと言える。そして、超ハンドアップの特徴的なスイングも、スイングコーチのクリス・コモの指導によって、捻転差を大きくなったより飛距離を重視した動きへと変わっている。
デシャンボーといえば、アイアンとウェッジの長さが全て6番アイアンと同じという、ワンレングスアイアンが有名だ。サイドサドルスタイルのパッティングを試したり、試合中にコンパスを使って注意を受けたりと、とにかく他の選手と違う、独特の取り組み方が特徴的な選手。プロ転向においては、あらゆるツアーボールを自ら塩水に漬けて重心位置を測るテストをして、使用ボールにブリヂストンを選んだというエピソードも、そんなストイックに突き詰めて考える姿勢につながる。
【Twitter】2018年にはコンパス使用が物議をかもし、ルール違反として以後使用不可に
そう遠くない過去には、ゴルフには筋トレは不要、むしろ有害という考え方もあった。筋肉がつくことでスイングのバランスが崩れたり、距離感が出しにくくなるというのがその理由だ。タイガー・ウッズやアニカ・ソレンスタムのような2000年代のスターが、その常識を覆し、現在は、ほとんどの選手が筋力トレーニングに着手しているが、デシャンボーほど劇的に変化させるには、やはりリスクがあるだろう。
デシャンボーの肉体改造は、ゴルフは飛距離が出るほうが有利であるという身も蓋もない現実に、彼らしくストイックに取り組み、研究した成果だ。しかし、ゴルフの試合はドラコン競技とは違い、飛距離だけで勝利することはできない。優勝した週にデシャンボーがどんなスタッツ(統計数値)を残したのか、次ページで見てみよう。
デシャンボーといえば、アイアンとウェッジの長さが全て6番アイアンと同じという、ワンレングスアイアンが有名だ。サイドサドルスタイルのパッティングを試したり、試合中にコンパスを使って注意を受けたりと、とにかく他の選手と違う、独特の取り組み方が特徴的な選手。プロ転向においては、あらゆるツアーボールを自ら塩水に漬けて重心位置を測るテストをして、使用ボールにブリヂストンを選んだというエピソードも、そんなストイックに突き詰めて考える姿勢につながる。
【Twitter】2018年にはコンパス使用が物議をかもし、ルール違反として以後使用不可に
WATCH: Bryson DeChambeau takes his scientific approach to putting to new levels as he uses a compass to help his calculations on the green ... and it worked! https://t.co/mLavtpMAOL pic.twitter.com/Aiuhock3ZF
— Sky Sports Golf (@SkySportsGolf) June 24, 2018
そう遠くない過去には、ゴルフには筋トレは不要、むしろ有害という考え方もあった。筋肉がつくことでスイングのバランスが崩れたり、距離感が出しにくくなるというのがその理由だ。タイガー・ウッズやアニカ・ソレンスタムのような2000年代のスターが、その常識を覆し、現在は、ほとんどの選手が筋力トレーニングに着手しているが、デシャンボーほど劇的に変化させるには、やはりリスクがあるだろう。
デシャンボーの肉体改造は、ゴルフは飛距離が出るほうが有利であるという身も蓋もない現実に、彼らしくストイックに取り組み、研究した成果だ。しかし、ゴルフの試合はドラコン競技とは違い、飛距離だけで勝利することはできない。優勝した週にデシャンボーがどんなスタッツ(統計数値)を残したのか、次ページで見てみよう。